【百花宮のお掃除係 6 転生した新米宮女、後宮のお悩み解決します。】  黒辺 あゆみ/しのとうこ カドカワBOOKS

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正月に向け忙しく働いていた雨妹は、踊り子や楽師などの宮妓が生活する教坊区画の掃除と調査依頼を受ける。最近その区画に急に人が寄りつかなくなってしまった原因を探ってほしいと言われては、野次馬根性と好奇心が隠せない! さっそく探偵気分で乗り込んだものの、後宮を大混乱させる激ヤバな品を発見!? さらに、その危険物を持ち込んだと自首したのは、雨妹が知り合ったばかりの、悲しそうな目をした琵琶師で……。名探偵・雨妹、天才琵琶師を救えるか!?




菊! 菊の花って食べれるの? いや、食用菊というのはあるのは知っているけれど、観賞用の菊を食べるというのは……ああまだ、そういう分類がされてないのか。
雨妹も色々と試してみて、持ち寄られた菊の中でも食べられるのとにがすぎて食べられないものがあったみたいだし。
主に食い気ばっかりな雨妹だけれど、食べ物に関しては好奇心旺盛で何でも試して見る所もあるから、今回みたいに花を調理して彩り鮮やかでセンスを感じさせる料理という流行を発信する側にも回れるわけか。当人は、食べてみたいという考えだけだったんだろうけれど。
先の皇女が嫁いだ佳の黄家のところに皇太子にくっついて出張に行った時に、黄家とは縁が出来ていたわけだけれど、黄家から百花宮に入っていた二人の徳妃と好を結ぶことに。普通の貴族の娘とは違う闊達で奔放な姫様たちは、ある意味フリーダムな雨妹とも息があったみたいで、変な企みとか謀など関係なくシンプルに仲良くなって……なんだかんだといろんな所に人脈繋いでるんですよねえ、雨妹。
血筋とか素性関係なく、本人のあっけらかんとしつつもなんだかんだと面倒見の良い性格で。
血筋というと、父親の皇帝陛下は直属の暗部を張り付けてまで、雨妹の事を過保護気味に見守っているわけですけれど、本当にただ見守っているだけであれこれと口出ししてきたり、なにかしようとしてくる素振りは一切ないんですよねえ。下っ端の掃除係の宮女なんて身分に落ち着いてしまっている事にもとやかく言ってこない。便宜を図ったりとかしてくるのかなあ、ともうちょっと干渉してくるかなとも思ってたのですけれど。
そのあたり若干不思議には思ってたんですけれど、陛下は雨妹に出世欲がなく低い身分で満足している事をそれは良いことだ、と考えていたのか。それも自分都合じゃなくて、あくまで雨妹の事を思って。変に身分高くなっても自由が失われて面倒くさい事になるばかりでイイ事なんかない、と実体験から考えていたんですなあ。雨妹の性格からしても下っ端で責任追わずに自由にやっている方が気楽で楽しそうですし。そういう意味では、お父さん最大限娘のことを気遣ってるんですなあ。
お兄ちゃんと合わせて、実に理解のある肉親である。
しかし、陛下自身元々は継承権とは縁のない市井で生きてた人なのか。それも、母親から放り出される形で。
その上で、軍人として戦乱を戦い抜いて武勲を上げまくって名声をあげてきた叩き上げの武人でもあり、現場主義の人だったんですねえ。これ、過去の皇太后との経緯を知ってしまうと、血の繋がった母子ながら和解は不可能だなあ、としみじみと実感した次第。生きてきた世界が違いすぎる上に、先に捨てたのは向こうなわけですしね。そのくせ、陛下が皇帝の座についたらその生母として勝手に権力ふるいまくって利用してくるわけで、嫌悪感しか湧かないよなあ。

さらに今回、雨妹が薬ネタな厄ネタを拾ってきた訳で。これまではちょっとした病気とか健康被害がメインだったけれど、麻薬中毒は色々と洒落にならないぞぉ。しかも、出処がまた危ういところで、陛下や皇太子の派閥と皇太后派の軋轢がこれ、致命的になる可能性すらあるぞ。本格的な対立の引き金になりかねない。
雨妹は、掃除係と言いつつ何気にあっちこっちに潜入して掃除しながら情報拾い上げてくるので、侮れない探査方なんですよねえ。密偵かよw
しかもこの娘が偉いところは面倒事に首突っ込みつつ、それを一人で抱えてしまわずに即座に責任あって事件に対処できる権限を持っている人に丸投げしてしまうところでしょう。正確には、取り敢えず困ったら立彬に投げちゃえ、というルーティンが成立してしまっているw それだけ、立彬を頼りにしていて信頼しているという事でもあるんだけど、呼んだらすぐ来てくれるというのも絶対あるぞw
ともあれ、雨妹は変に抱え込まずに情報共有をすぐに皇太子やお医者さんにもするので、みんな対応策を事態が本気でやばくなる前に動き出せるので、だいぶ助かってると思いますよ。こういうところは、前世で看護師してたというのも大きいんだろうなあ。
さて、薬物については解決せずに次回に持ち越し。知り合った妓女の琵琶師の許子の抱えている事情も、取り敢えず雨妹のカウンセリングで一番危うい所は脱したものの、解決したわけじゃないですもんね。そのあたりは、何気にフットワークの軽い陛下が動いているので悪い方向にはいかないでしょうけれど。
てか、陛下もちょっと前まで腐って燻ってたのに、なんだかんだと人助けみたいなことしてたのねえ。わりとそういう困ってる人目の当たりにしてしまうと放っておけないの、似たもの親子なんだろうか。