【乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル 2】 春の日びより/ひたきゆう TOブックスノベル

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「私が"自由"にしてあげる! 」
第1巻・即重版の人気シリーズ!
壮絶&爽快な異世界バトルファンタジー第2巻!
書き下ろし番外編2本&キャラクター設定集収録!
早くも第3巻、発売決定!
コミカライズ好評連載中!
魔物ひしめく河流を生き延びて、数ヶ月。魔術の師匠・セレジュラに弟子入りしたアーリシアだったが、その平穏は唐突に破られる。師匠を脅す暗殺ギルドの幹部が、依頼を手に現れたのだ。自分たちを利用しようとする相手に対し、彼女の答えは一つ——「敵になった者はすべて殺す」。師匠の代わりに暗殺仕事を引き受けると、賊の内部へと潜り込んでいく! 偽りの"仲間"との騙し合い、最恐の悪役令嬢カルラとの邂逅......少女を待ち受けるのは自由か、死か? 大切な人のため、技を鍛えろ! 武器を取れ! 最強主人公【ヒロイン】が闘う、爽快バトルファンタジー第2巻! 書き下ろし番外編2本&キャラクター設定集収録!

一巻を読んだときには、【殺戮の灰かぶり姫】ってちょっと大仰なあだ名だよなあ、とアリーシアが独自に努力と工夫を重ねながら強くなっていくのを見つつも、思ってたんですよね。
確かに強くはなっていっていたものの、凄く堅実性にあふれていて殺す事にも躊躇はないにしても、一人ひとり確実に確殺していくような慎重さ、丁寧さも感じられたので「殺戮」なんて冠を与えられるほど、やたらめったら殺して回るタイプには見えなかったのですが……。

あ、うん、殺戮ですね。これは殺戮と言われますね。
恐るべき事に、彼女の戦闘技法や考え方の方向性がグルっと反転したわけではなく、最初から一貫してブレることがなかったからこそ、そして慎重さや堅実性を保ったままそれを嵩上げしていく形で【殺戮の灰かぶり姫】と呼ばれる所業を成し遂げてしまったんですよね。それにこそ、恐ろしさを感じる。
最初にガンギマリになってから、本当にブレてないんだよなあ。

それでいて、暗黒面にも落ちてはいないんですよね。運命に流されない、自分の生き方は自分で決めるという決意のもとに戦いながら、運命に打ち勝つために強さを求めながら、同時にその力を発揮するのは自分のためだけではなくて、大切な人を守るために発揮されているのです。
やり口こそダークサイドかもしれないけれど、一貫してその生き様は正の方向を向いてるんだよなあ。だからこそ、女性ながらもダークヒーローと呼ぶに相応しい存在感を示してるんだよなあ。
意外と敵認定も慎重だと思うんですよね。過剰に攻撃性を振りまいているわけじゃない。大人や他人を信用せず疑い続けながらも、だからこそ安易にどいつもこいつも自分の敵だ、みたいにはしないんですよね。
グレイブに殺されかかった段階で、彼の所属する組織は敵認定してもおかしくなかっただろうに、最大の警戒と疑念は持ちつつも、確定はしないあたり冷静だなあ、と。
こういう所に、根底の所で人を信じる人らしい心を失っていない、というのが感じ取れるんですよね。
だから、同志であるエレーナだけじゃなく。失った両親と同じくらい心を寄せられる、セレジュラという師匠が出来た事は彼女にとって本当に良かった、と思うのです。暗殺ギルドのちゃちゃによって、一年も経たずに師匠の元から旅立たなくてはならなくなったわけですけれど。
ってか、師匠のもとでは甘えてしまって成長できん、と師匠の元を出なきゃいけなくなった事に関しては肯定的に受け止めているアリアさん、ストイックすぎやしないですかね!?
いや、それだけ早く強くならないといけない環境にあると言えばあるのでしょうけど。でもまだ8歳でしょ? 9歳になるのか。
魔力に影響によって見た目年齢はもう12,3歳に達しているとはいえ、まだまだ子供のはずなんだけどなあ、ガンギマリすぎる。

でも、その小学生か中学生かという段階で、既に魔性の蠱惑を発揮しだしているのは何とも凄いです。本人は無自覚ながら、完全に傾国じゃないですか。ゲームの正ヒロインのまっとうな、というか正当な清純無垢な魅力よりも、ダークサイドに入った事でより魔的な艶っぽさや妖しい魅力がいや増してしまったような気がします。
これだけの魔性の容姿を持ちながら、その手の女の武器は一切使う気なく、ストイックに殺しの技術とセンスを高めていくアリアさん、もうなんかマジアリアサンですわー。
自分を人質に、もう戦えない師匠を死地に連れ出そうとした暗殺者ギルドを、もうその時点で完全に敵と認定してしまったアリア。
いやわかる、すごくわかるんですよ。こういう輩は、一度絡みつかれたら絶対に離さず食い物にしてくるんだから。でも、相手は組織。抵抗して一部を撃退しても、組織として狙われたら逃げることは能わない。だからこそ、あれだけ強いセレジュラ師匠も裏社会とは縁が切れず、今回のように養分として食われそうになっていたわけですから。
誰でも思いますよね。組織だろうと、根こそぎ全部潰してしまえれば……。
でも、それが出来るのはそれこそ超常的な力を持った超人や神か魔王のような存在だけ。アリアは歳の割には強いし技も巧みだけど、暗殺者ギルドでは普通の幹部クラスと相手が油断してたら真正面から渡り合えるかどうか。とても、組織そのものを相手取る実力なんてない。
にも関わらず、この子は最初から殺るつもりだったんですよね。必ず殺る。必殺である。こいつらは敵、敵は必ず殺す。覚悟ガンギマリである。
それで感情的に突っ込んでぶっ殺しまくる、のではなく組織を根絶やしにするために冷静に準備を整え策を巡らし罠を張り、相手の思考をハメ込むために、着実に堅実に一つ一つ重ねていく。
その過程でも、敢えてギリギリに自分を追い込み、崖っぷちに立たせて自分を鍛え上げていく。もっともっと強くなるために、殺すべき敵をただ消費するのではなく自分の糧として食っていく。
ほんと、この冷たい覚悟が癖になりそうなほど惹き込まれてしまいます。

クライマックスの決戦も去ることながら、そこまで到るまでのすべてがなんかもう凄かった。冷たい熱量にジワジワとあぶられるようなテンションでした。これもまた、痛快というんでしょうかねえ。

……面白かった。

しかし、セレジュラ師匠。あの最初にアリアに殺された馬鹿弟子のこと、師匠は本当に可愛く思ってたんだなあ。馬鹿な子ほど可愛い、ってことなのかもしれないけれど、あの愚かさをこの人だけが慈しんでくれていた。ちゃんとこうしてその死を哀しみ悼んでくれる人が一人でもいた、というのはあの愚かな転生者にとって、唯一の幸いだったんじゃないでしょうか。

そして、本当にそういう人が、愛してくれる人がただの一人もいなかったのが、最凶の悪役令嬢カルラなのか。あの家庭の事情を見ると、どう考えても家族が悪いじゃない。家族がこの子をあんな風にしてしまったのだ。殺すこと以外何の価値も見いだせない彼女にとって、自分をまっすぐ見てくれて、殺し合うという愛情すら噛み合うアリアはまさに運命だったのでしょう。常識的な救いはどうあっても訪れなさそうだけど、ある意味もうカルラはアリアにあった事で救われてしまったのかもしれないなあ。