【時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん 4.5 Summer Stories】  燦々SUN/ももこ 角川スニーカー文庫

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アーリャさん達の煌めく夏物語が描かれた番外編!

新たな恋のはじまりを予感させた夏合宿。しかし、アーリャさん達の夏はまだまだ終わらない!
――有希の催眠術で政近が溺愛系イケメンに?予想外のスキンシップに妹と従者は悶絶寸前!――アーリャさんの激辛修行、向かったラーメン屋には意外な人物がいて?――妹に可愛い水着を着させたい!欲望全開な姉に巻き込まれたアーリャさんが着せ替え人形に!?――強くて美しいお姉様、あのカップルの馴れ初めエピソード――
生徒会メンバー達の煌めく夏物語が描かれた番外編!
【さーくん。もう、会えないのかな……】
そして約束の場所で運命の相手を待つ彼女の想いが今、明かされる――。


ついに、沙也加と乃々亜のように有希が政近の実妹であるという事実に辿り着く人が現れだしたわけですが……、実のところ有希って妹バレ、オタバレという秘めたる姿の最終形態として、本性バレというものを備えてるんですよね。
ぶっちゃけ、その本性さえバレなければある程度どうにでもなる……逆に言うとあの深窓のお嬢様な姿が欠片もない本性が暴かれてしまうと何気にやばいのでしょうけど、なんかもう周防有希は三段階の変身を残している、てな感じでラスボスらしくはある……のかなあw
でも、あの本当の身内しか知らない有希の素顔は、凄まじいギャップも相まってまず本人が意図的に見せないことには絶対バレないんだろうけど。
ぶっちゃけ、一番明らかになった時にみんなの反応が面白そうなのって、実妹なのがバレた時よりもあの有希の素顔を目の当たりにしたときだと思うので、それが結構楽しみだったりします。
或いは、そうした家族にしか見せない素顔を、公の場で見せる機会が訪れるというのは有希にかせられた周防家の重荷が取り払われた時でないといけないのかもしれませんねえ。

そういう意味では、有希も正当派ヒロインなんですよね。政近と個と個のセッションとしてラブコメが繰り広げられるアーリャとはまた違って、有希のそれは旧家のしがらみ、政近が家を出ることで代わりに有希が背負うことになった周防家の責任、と家に縛られるお嬢様を開放するために巨大な力を持つ祖父と対決する、という王道的なストーリーが控えてるんですよね、こっち。
有希は兄貴には自由にしてもらって、自分で全部やってのけるつもりでしょうけれど。
この短編集でも繰り返し描かれる兄妹の仲の良さを見るにつけ、有希を取り巻く問題は絶対に放置されないと思うしなあ。いやあ、実の父親からも本当にただの兄妹の仲の良さなのか?と疑念を持たれるくらいの、この年頃としては異常なくらいの打ち解け砕けた親密度。そして催眠術再び、によって明らかになる政近の妹への溺愛っぷり……いや、綾乃に対してもダダ甘なので、この男の抱く愛情の深さは近しい人に対してはかなり濃い目深めなのかもしれないけど。愛も裏返れば憎しみへと変わる、というようにあの母親への激情は翻せば愛情の深さでもあったわけですしねえ。
……アーリャさん、この男かなり重い男ですよ?
クソ真面目だけど結構鈍チンでポンコツなアーリャさんの方が、この男の重さにあんまり囚われずに済むのかもしれませんが。
むしろ、マリヤさんの方がいつまでも幼い頃の初恋を引きずっているように、あっけらかんとしているようでズルズル行きやすい可能性があるだけに、こっちが絡んでくると重い×重いになりそうな気配も見えてきたような。
アーリャさんルートの方はまさかの姉妹対決編という可能性も出てきてるんだよなあ。とはいえ、マーリャさんはいかんせん周回遅れすぎるんですよねえ。参戦するにしても。散々擽り擽りで政近の情動をアーリャさんが弄びまくって意識させまくってるあとだけに。
アーリャが鈍感力を発揮しまくって、自分の気持ちに自覚がない、というあたりが陥穽なんでしょうけれど。

しかし、こうして短編集という短い話で細かくいろんな所に焦点をアテていくことで、この作品の登場人物たちが思いの外濃ゆいキャラクターであるというのが、より鮮明に伝わってきましたねえ。
本編の方はわりとフォーマルなタイプの王道学園ラブコメスタイルだと思うので、本筋のストーリーの流れに沿って登場人物の多くがわりとひとまとまりで動いているので、個々の掘り下げはあっても本編の展開に沿った真面目な内面の掘り下げの方に顔が向いているので、ある種の突拍子もない側面についてはそこまで描かれてなかったんですよね。
それがこの短編集ではそれぞれのキャラクターの濃さにスポットがあたって、何気にどの登場人物もかなり濃ゆいギャグ属性、コメディ属性の持ち主だというのが発覚してきて、大変面白いんですがw
綾乃なんかの天然で他の人と妙な錯誤を起こしやすいところなんかも面白いんですけれど、ぶっちぎりで何か明らかに変なのが、茅咲副会長だったりするんですよね。この人だけ作品のジャンル違うんじゃね?
いや、わりと剣崎生徒会長と非常にまっとうなラブコメしてる愛い人なんですけどね? 

一番面白かったのは、やはり催眠術編でした。有希によって催眠術をかけられ溺愛系イケメンへと変貌してしまい、有希と綾乃がとろとろにされてしまうあたり、もう笑う笑う。
いや、ほんとにこのお兄ちゃんてば妹と幼馴染好きすぎじゃね?
わりと本気でアーリャと出会わなかったら何だかんだで綾乃ルート入ってたんじゃないだろうか。幼馴染メイドのヒモになって生涯お世話されまくる堕落メイド編に突入したんじゃないだろうかw
それはそれで羨ましいw
綾乃に関しては、アーリャと二人でド級の辛さを誇るラーメンを食べる話も、彼女の天然な可愛らしさが出てて好きなんですよねえ。この娘、お世話さえしてれば幸せそうなので、ダレとくっつくにしても政近はメイドとして傍に置いてやらねばならんのじゃなかろうか。