【はるかリセット 1】  野上武志 チャンピオンREDコミックス

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休みでリセット、そしてリブート! 忙しく過ごす日常のすき間にも、ワンダーランドは隠れてる!
「紫電改のマキ」の野上武志が贈るホリデーエンジョイコミック登場!
締め切りに追われる作家のはるかが、忙しい毎日の合間を縫ってわずかな時間で気持ちをリセット。ご近所散策、銭湯、近場グルメ、公園満喫…まとまった休みが取れなくても、遠くへ旅行に行けなくても、少しの発想の切り替えで、ワクワクできる「休み」は満喫できる! 休みが足りないすべての人に、はるかがステキな休日を贈ります!

専業執筆業というのは就業時間が決まっている訳ではなく、更には自宅で仕事をするという人も多かろうという事で、セリフコントロールが求められます。いつまでだって書いててもいいし、いつまでだって休んでも良い、という自由さは時として働いてる時間と休んでる時間の境界が曖昧になっちゃうんですよね。
これ、あらゆる時間に焦燥が付き纏うことになる。せっかく休んでても、心の何処かで書かないと書かないと、と焦りが募り、書いていても集中しきれず時間だけが過ぎていく。
だから一旦初期化(リセット)して思いっきり休んで、そして再起動(リブート)。集中力を取り戻して一心不乱に書き散らす。
この切替がうまくいくなら執筆業は最高だろうな。そしてそんな様々な息抜き時間を描いたのがこの作品【はるかリセット】であります。
野上武志さんと言えば、チャンピオン系では【紫電改のマキ】。他にもガールズ&パンツァーのスピンオフ作品【リボンの武者】などミリタリー系を中心に描いている漫画家さんですけれど、思えばマキやリボンでも試合の合間の日常シーンなんかでは、ちょっとした息抜きとしてくつろいでいるシーンは結構多かったんですよね。
さても本作では、今時珍しい紙原稿派の売文書きである春河童はるか先生の、煮詰まった時の息抜きとして昼から銭湯いってビール飲んだり、水族館やタイ式マッサージ。巡っては文豪さながらのカンヅメ……これって感じでは館詰めって言うんですね。さらには街の昭和なお寿司屋さんに飛び入りしたり、公共プールで泳いだり。そういう結構多岐にわたるジャンルで息抜きするお話である。
これは専業作家さんでないとなかなか出来ない時間の使い方ですよなあ。そして、かなり締め切りに追われているにも関わらず、現実逃避じゃなく本気で自分の中の切り替えとしてこの、リセットとリブートを使いこなし、曰く「休む勇気」! いやーーこれはほんとに勇気いるでしょ。締め切りまで後少しというときに、これだけ大胆に時間使って休むって、休んでいる最中に気が気じゃなくなっちゃいますよ。それを完全に気持ち切り替えられる、初期化できるというのはそれはそれで凄いなあ。
さてはるか先生、祖父(遠縁のおじいちゃんと言ってるので実の祖父ではないのかしら。大叔父とか?)の形見の万年筆がきっかけで作家になったそうですけれど、それはそれとしてパソコンのたぐいは一切使ってないんですよね。使えないことはない、と言ってるけれどスマホ持っていなかったり、水族館の回ではモニタを見れないと言ってるのは目が疲れてたのか、それとも理由があるのか。
いずれ、はるか先生の詳しいお話も広がっていくのでしょうか。
気になるのは、どうやら元同級生らしいマリコさん。はるか先生の執筆のお手伝い、というか事務仕事かスケジュール管理か何かしてるっぽいんですよね。もしかして同居してるの!? と、思ったら、結婚してて旦那がいるらしく、通いで来てるのかこれ? 家事のたぐいもしてくれてるんだろうか。作家というのは孤独なものですし、一人で仕事してると行き届かないところもあるでしょうけれど、誰かがこうして一緒に過ごしてくれているとまた気分も全然違うんだろうなあ。それが従業員というだけではない友人でもある相手ならなおさらに。
こういう関係の人がそばにいる、というのはなんかいいなあ。面白いなあ。

野上武志・作品感想