【となりの悪の大幹部!】  佐伯 庸介/Genyaky 電撃文庫

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俺の部屋のお隣さんに銀髪美女が!? 元悪の幹部と過ごす日常コメディ!

街に蔓延る怪人たちを打ち倒す、万色戦隊バンショクジャーの緑色担当、バンショクグリーンこと草間ミドリの私生活は荒んでいた。
昼は高校の非常勤講師(世界史)。学校が終われば緑色のバトルスーツを身に纏い、残業確定の怪人退治と、毎日疲れ果て注文したフィギュアも受け取れない日々を送っていた。
そんなミドリの住む部屋のお隣さんに、銀髪セクシーな異国のお姉さん・久里アシェラーと、その娘・タラタットが引っ越してきた!?
帰り道で一緒になったり、スーパーで遭遇したり、疲れ果てソファで力尽きたところを介抱してもらったりと、美人母娘と夢のお隣さん生活が始まる……かと思いきや、彼女たちの正体は、なんとミドリたちの天敵、元悪の大幹部だった!?
戦隊ヒーローって実はちゃんと見たことなかったよなあ、と今更ながらに振り返ってみたり。
宇宙刑事シリーズとか仮面ライダーブラックを、日曜朝に見てた記憶はあるんですけどね。
そんな戦隊ヒーローの中で、特に目立たない緑色。もしかしたら黄色よりもマイナーなんじゃないの? と思って調べたら、結構緑色のレギュラー度は高いんですね。
ともあれ、どうしても緑というのは地味目の扱いになってしまうのも仕方なく、本編における主人公・草間ミドリもまた戦隊メンバーの中では前衛ではなく後衛から支援する形で戦うためか、今ひとつ世間の人気は他にメンバーに比べると一歩引けを取る形になっておりました。
メンバー内では年齢層十代の若いメンバーが多い中で大人としてちゃんと頼られてる風でもあるんですけどね。でもブラックの人も渋めのダンディーな大人の男性なので、そういう大人の役割的にも一歩引けを取ってるかもしれない。戦闘では強化バフを飛ばす役なんで何気に欠かせない重要なポディションではあるんですけど。
そして何より、五人いるメンバーがそれぞれ男女でカップルとなっているため、微妙にあぶれちゃっているのだ!
そりゃ、突然隣に持ちながらも若くて色っぽい外国人の褐色美人が越してきて、仲良くなったら期待しちゃいますよね。ミドリだって若いんだもん。学校の先生とはいえ、男だもん。
普段の生活に出会いがないんですよ、忙しすぎて。いやこれ、学校の先生と戦隊ヒーローの二足のわらじはキツいですよ。非常勤講師でほぼ授業の受け持ちだけで余計な業務はしなくて良くて常勤の教師とは仕事量が全然違うみたいですけれど、それでもヒーローの方は体力仕事を通り越した戦闘要員ですからね。若いとはいえ疲れますよ。これ、ヒーローの方はどういう勤務形態というか給料形態になってるんだろう。収入はわりと気になるなあ。
だって、ミドリが住んでる所って結構古そうな団地ですもんね。目下の収入がなかったアシェラーとタラタットが越してくるくらいだから、それなりには家賃も安いはず。非常勤講師とヒーロー業務の二重取りしてたら、もっと良い所住めそうですもんねえ。
ともあれ、日中は非常勤講師として高校に勤め、放課後は出てくる怪人相手に戦って、一人暮らしだから戦闘の帰りに食材やら生活消費財を買って帰り、帰り着いたら家事やって……と、わりとこれ忙しいで済まない繁忙多忙さ加減なんですが。ヒーロー戦隊グッズも出してるみたいなので、売上から歩合でなんぼか出してくれないんだろうか。あ、いやグリーンはグッズも人気ないんか。
そんな疲れ果てた状態で帰宅したて、夕食作ったんで一緒にどうですか? なんて美人未亡人さんに請われたら、そりゃもう一発ですよ。ころっといかない方がおかしい。健全です。健全です。

とはいえ、これアシェラーの方も全然ミドリの正体には気づいてなかったんですね。むしろ、ミドリの方が既視感感じてて疑念を覚えてたくらい。
まったくの真っ白な状態から、アシェラーはミドリに惹かれてただの隣人と言えないくらい仲良くなって、ご飯に誘ったりちょっとした買い物デートしたり、帰宅してきたミドリにわざわざ外に出て迎えてあげたり、なんてしてたわけだ。挙げ句に盛り上がってしまって、自分から押し倒す勢いで迫ってしまったわけだ。
アシェラーの素の性格を考えると、このあたり別に打算とか思惑あって、とかでもなさそうなんですよね。そういう策略めいた考え方は出来ないタイプっぽいし。そのうえで、タラタットのことを一時でも頭からすっ飛ばして、ミドリに迫っていたあたりこれ相当に夢中になってたんじゃないだろうか。
ミドリの正体を知ってしまった事でツンデレ状態になってしまいましたけれど、本来の彼女って妖艶で思慮深い大人の美人というよりも、どこか幼いくらいの一途な少女めいたところのある女性なんですよね。見た目と違って、見た目の色気の塊みたいな姿と違って。
ここらへん面白いんだけど、正体が発覚するまではタラタットというまだ幼い娘を抱えてシングルマザーとして頑張っている妖艶な未亡人という感じだったアシェラーですけど、正体が明らかになるとむしろタラタットの方が上司上位者というよりも、保護者・母親めいた感じでアシェラーを見守っていて、アシェラーの方がまだ世慣れしていない初々しい娘さん風な立ち位置になるんですよね。
キャラクターの属性的なものが逆転するわけだ。
というか、隣に越してきた子連れ人妻未亡人だと思ってたら、むしろその美人の方が連れ子の側だった、みたいな?
そして大人の魅力というか包容力にやられてしまうのは、ミドリの側じゃなくてアシェラーの側なんですよね。正体が明らかになったあと、パニックになるアシェラーと対象的にミドリは比較的落ち着いて彼らを受け入れることにしていましたし、タラタットに至っては達観してあらゆる結果を受け入れている状態でした。
タラタットはあれもう、完全に神様ですよね。敵対していた悪の組織の首領ではありましたけれど、ある種の地母神系の神としての価値観に基づく愛情故の世界征服事業であって、根本的に人間のことは敵と思っておらず、みんな我が子というスタンスだったんでしょう。
しかし、その愛情ゆえの征服を人間に拒否され、また実力ではねのけられたことで、その結果を粛々と受け入れていたわけですけれど、アシェラーという娘の無垢なくらいの直向きな忠誠、生きて欲しいという願いに応えて、二人で力をほぼなくしながらもこうして落ち延び、場末で生きていくことを選んだわけで。ある意味今のタラタットにとっては、母一人子一人のアシェラーのための余生なんですよね。だから、娘が所帯持って幸せになるというのなら、それは喜ぶべきことだったのでしょう。
こうしてみると、愛されてますなあ、アシェラー。
母の愛に見守られ、男の愛情に抱きしめられ、とまあこんなの経験値少ないなんちゃって人妻としては染まっちゃいますよね。後半、望みを増幅されて願ったのが、ミドリとタラタットと自分の誰にも邪魔されない三人だけの世界、というのもなんとなくわかるというものです。
それでも、ミドリが死んだら、或いは心が離れても生存に必要なエネルギーが得られなくなって死ぬ、という所まで自分を調整してしまうのは、純真無垢な一途さ故だけど愛が重いw
ある意味、タラタットが便乗してくれて良かったかもしれない。二人きりだと、幾らミドリでもしんどかったかも。タラタットも一緒に乗っかったように見えますけど、この神様はむしろ支える側に回ってくれる面倒見の良さと愛の広さの持ち主なので、ある種二人がかりでアシェラー支えようという形なのかもしれません。余裕アレばどんどんミドリに乗っかる気満々ではありそうですけど。
しかし、隣に越してきた家族の娘の方と付き合いだしたら何でかお母さんとも関係しちゃってまとめて家族になりました、てほぼえっちい漫画の流れですね。しかも、ロリの方がお母さんだしw

あと、ちゃんとレッドという彼氏がいるにも関わらず、叔父であるミドリにいい人が出来て色々と複雑そうなブルーのアオちゃん。この娘、けっこう叔父さんっ子だよねえ、これw