【乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル 3】 春の日びより/ひたきゆう TOブックスノベル

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暗殺ギルド支部の壊滅後、二年ぶりに故郷の町を訪れたアーリシア。そこでかつての師匠・ヴィーロから持ちかけられたのは、自分を消そうとした元暗部の戦闘執事・グレイブの暗殺だった。今や「灰かぶり姫」という二つ名で恐れられるようになった彼女は、覚悟を決める。彼との決着をつける、そしてもう一度この“乙女ゲーム"に対峙すると。「私はもう逃げない! 」。幻獣との遭遇、師匠との絆。孤高の少女が、初めて信頼する味方を得て国家権力へと挑んでゆく! 壮絶&爽快な異世界バトルファンタジー第3巻、第四章開幕!


いやこれ、凄えなあ。もうランボーじゃん。
前回、暗殺者ギルドを相手に一人で立ち向かい、正面から戦うこと無く様々な罠や策略を用いて高位の暗殺者含めて一人ひとり仕留めていったあの手腕とやり口。これ読んだ時はダーティーでクレバーな暗殺者らしい……必殺仕事人的な立ち回りだと思ってたんですけれど。
今回のこの森林地帯や森の奥の集落を中心にしての、オークジェネラルに率いられた群れ……群れというよりそこそこの規模の軍隊と言ってもいいだろう集団を相手にしての、たった一人でのアリアの戦い方を見てると……うん、これゲリラ戦じゃん!
相手方に気づかれないように森に同化し潜伏しながら毒を撒き、相手がバッドステータス塗れになり弱って弱体化したのを見計らって、さらに見つからないように影に潜みながら一匹一匹殺していく。しばらくは、仲間が襲われた事にも気づかせないように立ち回っていましたからね。相当数が減るまでオークたちは自分たちが襲撃を受けていることにすら気づかなかったくらいで。
もうこれ、特殊部隊によるジャングル戦みたいなもんじゃん! ランボーかよ! って最初に叫びましたけど、よくよく考えるとランボーよりもこれ「プレデター」だよ!
もちろん、アリアの方がプレデター(捕食者)側ね。見えない敵にいつの間にか一人ひとり狩られて消されていく、ある種のホラーだった名作SFアクション映画。オークたちから見たら、このときのアリアって完全にプレデターですよ、これ。そりゃオークどもも大半がパニックになるわ。実際怖いってこれw
実際の話、アリアの目的の一つが強力な敵と戦って、そいつとの戦闘経験を食らうことで強くなることですからね。思いっきり捕食者ですよ。

これでダークサイドに振り切っちゃってたら、アリアも闇落ち一直線なんですけれど、これだけ人のこと殆ど信じない子にも関わらず、やってることは正義の味方なんですよね。オーク討伐だって、知り合いの子に故郷の村を助けてと頼まれたからですし。本来は偵察だけだったのに、全滅させるまでやっちゃうあたりはまあアレなんですけれど、それもオークの集団が思いの外早く村に攻めかかってきそうだと見てとったから、多少無茶してでも足止めにかかった結果なんですよね。
ほんと、困ってる人を見たり助けを求められたら、迷わず助けるんですよねえ、この子。これだけ中身冷めてるのに、この躊躇いのなさが凄い。そして、敵と見做したら躊躇いなくぶっ殺すのを同じ温度でやってるのがまた凄い。暗殺者ギルドも盗賊ギルドも敵対してきたらすぐに首チョンパですもんね。
「灰かぶり姫」の異名がガチで両ギルドにとっての忌み名になっていやがります。

ともあれ、ここまで有名になった以上は暗部も捕捉は容易だったでしょう。いずれはあちらともコンタクトを取らなくてはならなかったでしょうから、この段階でヴィーロを通じて接触してきたのは幸いだったかもしれません。そこから直でいきなり裏切り者グレイブの討伐任務になるとは思いませんでしたけど。いやこれ、どちらかというと暗部総力で仕留めないとメンツ立たないんじゃないですか? ヴィーロたち虹色の剣に任せるというのは、結構リスクあるんじゃないかと。それだけ、ヴィーロたちを見込んでいるという事でもあるんでしょうけれど、これグレイブが組織から抜けてからさらに強くなっている可能性を考慮に入れてませんでしたよね。実際、当初の予定であるヴィーロと砂掛けおばあちゃんの二人だけなら、かなりの確率で返り討ちにあっていたでしょうし。グレイブは完全に待ち構えていましたしね。
ついでにアリアも連れてって参戦させようというヴィーロの判断はスマッシュヒットだったわけだ。
そこでアリアにはこれ、エレーナとはまた別の、もう一つの運命の出会い、というべき同類との出会いが待っていたのですね。
相棒というべきか、或いはやはり同類というべきか。アリアが強さを求める理由は明確にあって、まあ自分を縛り付けようとする運命からの脱却がそれなんですけれど、彼…或いは彼女、どっちだろう。ネロと名付けられることになるそれは、最初から生まれた時から強者であったがゆえに自分の強さの意味を見いだせずにいた存在でした。
自分と対等以上の強さを持つものがいないがゆえにネロは孤独だった。そんな彼が出会った自分以上の強者。何より誇り高く生きるもの。自分と寄り添い照らし出してくれる月のような存在を、ネロはついに見つけたのである。
しかし、クァールですか。マイナー寄りではありますけど、ちょいちょい目にすることもある魔獣種ですよね。でも珍しいは珍しいか。そしてクァールを箱猫化させた作品は類を見ないだろうなあ。
箱に詰まったネロとアリアが再会するシーンはちょっと楽しみだぞ、これw