【王様のプロポーズ 3.瑠璃の騎士】  橘 公司/ つなこ 富士見ファンタジア文庫

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瑠璃、突然の婚約! 兄の無色は女子校へ潜入!?

『この度良縁に恵まれ、結婚することになりました』

身に覚えのない自身の結婚の知らせを受け、不夜城本家に直談判へ向かったはずの瑠璃から届いた衝撃的な報告。
「彩禍さんに一言もないなんてあり得ません」
「そこですか」
瑠璃の真意を確かめたい玖珂無色だが、不夜城家当主が学園長を務める〈虚の方舟〉は魔術師養成機関唯一の、男子禁制の女子校で――。

特別講師の久遠崎彩禍として潜入することに!?「どうか俺と瑠璃を結婚させてください!」
「わたしと瑠璃は相思相愛さ。そうだろう?」

婚約を破棄させるため兄は妹に、魔女は騎士にプロポーズ!


彩禍さん命の極みに至っている無色だけど、彩禍だけしか眼中にないというわけじゃなくて、こいつ結構なシスコンでもありますよね。相当にぶっ飛んでいる瑠璃の内面についても非常に理解が深いし、その彩禍に関しての奇行に関してもわかり味が深いですし。まあ同類という理由もあるんでしょうが。
てかこの兄妹は兄妹で彩禍さま命に溺れまくってるんだよなあ。業が深い兄妹だよなあ。
この兄妹のアレっぷりにはさすがの彩禍さまたる黒衣も全然ついていけてないし。置いてけぼりだよ。
ただ、無色が瑠璃のことを本当にかわいがっているのも確か。一方で瑠璃は瑠璃で兄への愛が重すぎるくらい重い。堂々と公式にカラー口絵で兄のことを偏愛している、偏愛している!と語られてるくらいだもんなあ。
その上で、彩禍に対してもトリップしているレベルで傾倒し偏愛し溺れまくっているわけで。この少女、一つだけでも魂ごと歪みそうな重たい愛を二人分も抱えて両方とも取りこぼさずにいるって、ちょっとヤバいんじゃないだろうか。どれだけ愛のウェイト背負ってるんだ!?

ただ瑠璃はそれだけのウェイトを背負って踏ん張れる根性の持ち主なんですよね。気合というか泥臭さというか我慢強さというか執念深さというか滅気なさというか。それを踏まえて、可愛い。瑠璃は実に可愛い娘ですよぉ。
彼女が幼くして騎士を目指した理由から、可愛いしカッコいいですもんねえ。あれだけ兄に、無色に憧れながら、守ると誓われながら、自分こそが無色を守るのだと無色の代わりに身を立てたのなんて、可愛いじゃないですか。カッコいいじゃないですか。
ついに繰り出した瑠璃の第四顕現も、今まで出てきた顕現の中でもぶっちぎりにかっこよかったですし、その戦い方のもろに消耗戦など根性な戦法も瑠璃らしくて非常にいじらしかった。
いやー、こうして改めて見ると無色と瑠璃の兄妹の絆って本当に強いんですよね。ただの兄妹愛というには、もちろん瑠璃側からも重いんだけど、無色の方からもめちゃめちゃ厚いのが伝わってくる。そりゃ黒衣も若干、複雑な感じになりますわー。
瑠璃の結婚のことに関しても、それを阻止するために兄である自分が婚約者として名乗りをあげることに、無色って全然躊躇いとか迷いとか見受けられなかったんですよね。もう全然余裕で瑠璃への愛を語らい、彼女の可愛さを表現することに言葉は尽きず、ですよ。いやもう瑠璃のことめちゃくちゃ好きじゃないですかー。無色が彩禍に対して異常極まる尋常ならざる偏愛を示していなかったら、普通にこの兄、妹のこと好き好きのラブラブだろうと勘違いしてしまいかねないくらいに。いや、好き好き度に関しては全然勘違いじゃないんだろうけど。ほんと、めっちゃ大事にしてますしねえ。
そういう意味でも、似たもの兄妹であるんだろうなあ。彩禍にハマってしまう趣味のアレさも共通してますし。

てか、結果的に無色と彩禍が現状では同一人物となっている事について、瑠璃にもバレてしまう流れになってしまいましたけど……これ、よくよく考えてみると瑠璃的にはもうエライことじゃないんですかね!?
無色も敬愛する彩禍自身になってしまった事については、困る以上に幸せの絶頂、あの彩禍さまと終始同一化していられるというトリップ状態に入っちゃってるくらい、本人としては大いにアリ、な感じでしたけれど、これを瑠璃側の視点から見ると。
もう好き好き大好き超愛してるなお兄様と、好き好き大好き超愛してるな魔女様が二人で一人セットでお得、纏めて揃って一緒くたになってくれている、というわけで、兄を愛でれば魔女様もセットで愛でれて、魔女様とイチャイチャしてたら兄ともイチャイチャしてる事になって、何この楽園状態!?
瑠璃的にはこれ、大勝利も大勝利。両手に花どころか、一括でウハウハですよ。どっちかを選んでとかじゃない、どっち選んでも一緒にセットでついてきてくれるわけですから、フィーバーですよ、フィーバー。
ある意味、無色よりも有頂天な状態じゃないですかー。

ちなみに、まだ黒衣の正体が彩禍だという事は知らないんですよね、瑠璃。作中の最終盤で、瑠璃が無色と黒衣の二人の首をホールドする形で、二人一変に抱き寄せてるシーン、あれを抱き寄せてるというべきなのかはアレですけれど、一応二人まとめて抱き寄せているシーンを思い返すと、色々とうーん、アレなんですよね。本当の意味での両手に花を、瑠璃も叶えられるんだよなあ。カラー口絵では、水着な彩禍様(無色)が黒衣と瑠璃を抱き寄せて自撮りしてますけれど、瑠璃もこれ同じことが出来る環境になるんだよなあ、正体を知ると。
まあ、黒衣に対してこれからどういう反応になるかは定かではないのですが。黒衣が瑠璃に正体バラすかもまだわかりませんしねえ。ただ黒衣に対してはずっと気安く接してきた分、真・彩禍とも距離感縮まってもいるわけで。場合によっては無色/彩禍に黒衣の三種盛りまで瑠璃的には可能という、無色を上回るパラダイスの可能性が瑠璃にはあるんですよ。これもう、事実上の瑠璃の勝利じゃないですかね!?
これまで微妙に阻害されて不遇ぽかった待遇を一変させる、環境大確変だ。おめでとう! おめでとう! やっぱり妹最高ですねッ!

これ、ふと表紙絵見たら、瑠璃のプロポーズとも読める構図にもなってるなあ。サブタイの瑠璃の騎士にも色んな意味込められてるし、今回は色々と読み込ませてくれるところが多くてとても楽しかった!