【ねぇ、もういっそつき合っちゃう? 2 幼馴染の美少女に頼まれて、カモフラ彼氏はじめました】  叶田キズ/塩かずのこ HJ文庫

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水着や浴衣の恋人と過ごす夏は刺激がいっぱい!!

幼馴染であることを隠して偽装カップルを演じる正市と十色。夏休みに入り、泊まり込みで友人と一緒に海の家で働く二人は、とあることから本当に恋人か疑われてしまう事態に!!
ならばと恋人ムーブを強化することにした二人は、同じ部屋で寝泊まりしたり、水着や浴衣姿で二人きりになったり。幼馴染の安心感以上に恋人としてドキドキする夏を過ごすことになって――

((これって本当にただの恋人ムーブだよね……))

相性抜群な幼馴染で偽装カップルの、本物以上な純愛ラブコメ!!

……いや、もうこれ本当に付き合ったらいいんじゃね?
真面目な話、二人が今抱えている懸案ってぶっちゃけ二人が交際すればほぼほぼ片が付くんですよね。
そもそも、十色が正市を偽装彼氏にしよう、なんて言い出したのはフリーの十色が声かけられすぎたり、女同士の付き合いに時間を取られすぎて、正市とゲームして遊ぶ時間が少なくなってしまったから、というのが理由なわけで。
正市とずっと一緒にいたいからカモフラージュ彼氏になってもらったわけですよ……って、最初の一歩目からおかしくね?
もうその段階で、本当に付き合えばよかったのに、と思わなくもないのですけれど、幼馴染という関係の固定観念に囚われていた二人にとって、自分達の関係に恋愛というファクターを噛ませる発想がなかった、或いは現実味を持てなかったというべきなのかもしれない。
とはいえ、二人の時間を邪魔されないための偽装交際は、一定の効果はありました。途中、二人の関係が本当に交際しているのか疑われ、十色にちょっかいを掛けてくる男が増えて偽装交際の意義が失われかけた事もありましたけれど、正市の自助努力で釣り合いという面で十色と付き合うのに一応の格好が付き、邪魔をしてくる厄介者は減少したようです。
この段階で、外からもたらされる問題はほぼなくなって、偽装交際に関する問題は大体十色と正市、当人同士の問題に集約されることになるのである。
十色の友人のまゆ子などから疑念を持たれたりもしましたけど、正直友人くらいの関係の人から多少疑われてもどうってことはないんですよね。付き合ってる、と言い張ればそれ以上どうにもならないことですし、それでもなお疑ってかかって真実の関係を暴こうなんてちょっかいかけてくるのはそれもう友達とは言えんでしょう。
それに、恋人と言いながらなんだか疎遠だったり余所余所しい、ならともかく二人の場合は逆に付き合って間もないのに、やたらと以心伝心で熟年夫婦みたい、なんて違和感であって……それ普通、疑念抱くことかしら、と思わないでもない。
これも、元々自分達は幼馴染同士で最近付き合い出したんですよー、とホントの事を交えて伝えれば簡単に納得してもらえると思うんだけどなあ。なんで秘密にしてるんだ?

そもそも、もうこの段階では十色の言う恋人ムーブって周囲からの疑念の払拭のためというよりも、十色がしたいからやってるようにしか見えないんですよね。周りに疑われないため、というのは最初は本当の事だったかもしれないけれど、今ではもう自分と正市への言い訳でしかないように見える。
偽装交際というのも本当に当人達二人以外には秘密で周囲は家族も含めて二人が付き合っていると本気で思っていて、やってる事は周りから見られていない時でも恋人と変わらなくて……二人が本当は交際していない、という以外は周囲の認知も含めてほとんど交際してるも同然なのである。
……付き合ってないという事実を除けば、二人は付き合っているのである!
なに書いてるかよくわかんなくなってきたぞ。でも事実だ。
だから、実際に付き合っていないという事実そのものを解消すれば、実は付き合ってないという事実を起点に発生していたモヤモヤはすべて解消され、問題は解決するのである。周囲は元々付き合ってると思ってるんだから、そこはさざなみが立つ余地もないだろう(実際どうだかわからんが)。

まあでも、実際に付き合おうと思うに至れるかが、ハードルとなるのでしょう。中学校が違ってもなお疎遠にならずに続いた親密な幼馴染という関係そのものが、自分達が恋人同士になるという事に強烈な違和感を抱かせ、意識がそちらへと行かないように無意識に縛ってたのでしょう。
でも、そうした固定観念は偽装とはいえ実際に交際の形を取って今までと違う関係を体験していくことで、徐々に消えていっていたんですね。そうして消えていく殻の中からまろびでてくるのは無意識によって覆い隠されていたホントの気持ちのその姿。恋という名のきらきら星。
なるほど二人にとって必要だったのは、リハーサル。オープンキャンパス、体験入学、結婚前の同棲生活、みたいなものだったのかもしれません。
偽りの交際だからこそ、でも相手の事は本当に大切で一緒にいたい関係だからこそ、付き合うとは何なのか、どういう風にすればいいのか、というのを一生懸命に考えるいい機会だったのかもしれません。本当に付き合っていたらお互いに言い出せなかったり相談できなかった事も、協力して行う偽装交際だからこそ、遠慮なく頼めたりねだったり話し合えた事も多かったのかもしれません。

ついに意識してしまった今からだからこそ、これまでで得た経験値が無駄にならずに済む、のかどうかはこれから次第なんでしょうけど。
しかし、表向き交際しているからといって、泊りがけのバイト先で十色と正市同じ部屋にされるって、また随分とこれはあれですなあ。バイト紹介してきた正市のねーちゃん、もうそのつもりだったとしか思えんのだけどw