【陰キャだった俺の青春リベンジ 3 天使すぎるあの娘と歩むReライフ】  慶野 由志/かる 角川スニーカー文庫

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少しずつ熱くなる、この気持ち。夏休みのお泊り編、スタート!

文化祭も期末テストも大人のメンタルと社畜力で乗り越えてきた新浜は、球技大会という新たな課題に直面していた。春華に良いところを見せるため、新浜は筆橋にコーチを頼んで猛特訓を開始して……。

いやーー、もうなんでしょうね、この多幸感。春華と心一郎、このメインの二人がイイ子すぎて、良いカップルすぎて、初々しくも微笑ましすぎて、見てるだけでこっちまでブワーーッと幸せな気持ちになってくるんですよね。
これ、作中の友人たちやクラスメイトたちなんかもそうなんだろうなあ。
実のところ、あんまり真面目な良い子ちゃんって好みとはハズレてるんですよ。主人公にしてもヒロインにしても、心がキレイで善人で筋斗雲にも乗れそうな良い子すぎる良い子って、生き過ぎると嘘くさくなるじゃないですか。そうでなくても、現実を直視出来ていない夢見がちでふわふわとした地に足がついていないようなキャラだと、見てても面白くないんですね。
真面目すぎても愛嬌がなくて人間としての遊びがなくて、キャラクターとしても人形みたいなどこか人間味を感じられないキャラになってしまう事が少なくありません。
実は結構、描くうえでは難しいタイプだと思うんですよね、心のキレイな純真なキャラとか真面目なキャラって。それがメイン二人共となると、尚更に難易度あがりそうなものなんですが。

この二人、春華と心一郎はなんかかわいくて仕方ないんだ。ついつい愛でて見守ってあげたくなる初々しさに、メロメロにされてしまっています。
球技大会の展開なんて、ぶっちゃけクサいくらいですよ。あんなあからさまな奇跡的な結末とか、出来過ぎもいいところです。でもこれ、敢えてそういう白けかねない展開を叩き込んできてるっぽいんですよね。その上で直球で熱くさせてくれた上で、劇的な展開にやったーー! と盛り上がってしまう話の描き方、登場人物たちのワイワイとしたテンションと登場人物の描写になってるんですよね。

これまで死に戻る前の社畜時代に培った社畜スキルを応用して、幾つものピンチを乗り越え、チャンスを掴んできた心一郎ですけれど、球技大会では社畜時代に身に着けたスキルは何の役にも立たなかったのです。だから、彼はひたすらに努力して、運動神経のなさをカバーするために尽力したんです。この新しい人生で一から努力して成長した能力で、球技大会に挑んだのです。春華にカッコ悪いところを見せたくない、カッコいいところを見せたい、というベタベタだけど男心の詰まった思いで頑張ったわけだ。泥臭く、汗に塗れて、年頃の男の子らしい見栄でもって。
いいじゃないですかー。そういう所が、この男の子の可愛いところなんですよ。そして、そういう心一郎の上辺見た目のカッコつけじゃない、バタバタと足掻きながらも立派に見栄はる男心をわかっているのかいないのか、でも無粋なくらいには理解しきらず、でも本質的な部分を掴んで心一郎の頑張っている根っこの部分を見つけて、そこに胸高鳴らせているのが春華の天使らしさなんですよねえ。
可愛い子じゃぁないですか。

実は純真すぎて、一歩間違えると闇のヤンデレと化す可能性まで浮上してきてしまいましたがw
ヤンデレって、純真一途な子ほどハマりやすいですしねえw
今はまだ恋を自覚せず、自分の中に溢れ出しそうになっている想いの名前を知らない春華。だからこそ、無意識に生じている嫉妬心ははっきりとした形をなさずにモヤモヤとした不定形の雲のまま漂うばかりでありますが、友人となった風見原と筆橋の両名がちょいちょいと突いた際に、暗黒春華の萌芽が顔をのぞかせてしまったあたり、かなりアンタッチャブルな領域であることが発覚してしまいました。
表情変えずに飄々とバカやらかす風見原ちゃんあたり、安易に心一郎にちょっかいかけるフリをして春華をからかう可能性もなきにしもあらずだったのですが、まあヤベえものを垣間見てしまった二人です。余計なことはしないでしょう。死の気配を感じてましたしねw

さても、物語の後半は春華が嫉妬心というものを初めて産んでしまったきっかけとも言うべき、新浜妹こと香奈子と春華の偶然の遭遇からはじまる、新浜家お宅訪問編でありました。
未来では母を心労死させてしまったこともあり、妹とは絶縁状態だった心一郎。この舞い戻った新しい人生では、疎遠にならないまま良好な兄妹関係を取り戻すことに成功したわけですけれど……いや、妹がお兄ちゃん一緒に買物デートしようぜー、と誘ってくるとかメチャメチャ仲いいと思うんだが。元々これくらい仲が良かった、ということですよね。ある程度サバサバした兄妹関係だったら、未来ではそこまで拗れなかったかもしれない。期待し兄に思い入れあったからこそ、それを裏切った兄を許せなかったのだろう。或いは、そう成り果てるまで取り戻せなかった自分自身に対しても憤りがあったのかもしれない。いずれにしても、これだけ元々仲の良かった家族を死別や絶縁という形で失った妹は、自分の新しい家族があったとしても辛い思いを抱えることになったんだろうなあ。
そういう意味でも、こうして兄妹の仲を取り戻せて良かったと本当に思う。さらにここに、春華という新しいお姉ちゃんが加わってくれたわけですしね。
前巻では春華の家に訪問して、両親にご挨拶と大騒ぎだったわけですけれど、まさか今度は新浜家に春華さんご訪問、加えて荒天も相まって急遽お泊り、という大胆展開になるとは思わんかった。
これ、二人きりでお泊り、というのじゃなくて、母や妹が家にいる状態で春華がお泊り、というのがこの場合むしろポイント高いんですよねー。それでいて、ちゃんと二人きりでの良い雰囲気な場面もあり、と美味しいところは欠かさない。
しかし、春華の天使っぷりに妹もお母さんも一気にメロメロにされて、こちらの家族も二人の仲の推進派に。これで、両家ともに二人の仲を後押しする態勢に入り、外堀埋められるどころじゃない勢いじゃないですかー。
いやじゃーー!と孤軍奮闘する春華パパが哀れに思うほどに孤立無援である。春華さん家、使用人さんたちもみんな揃って応援体制ですもんねー。そして、ママさんの権力が強すぎるw

お互いに告白して付き合う、とか以前にまだ春華さんてば恋の自覚すらない状態にも関わらず、二人の家庭環境まで含めて状態を見る限り、もう結納も済ませて結婚まで秒読み段階まで入ってるんじゃないか、というくらい温まっちゃってるんですけどねー。友人たちも全面的に応援してくれてますし。
もう本当にあとは新浜が告白する、或いはちゃんと春華の情緒が恋愛できるくらいに成長する、くらいでお膳立て揃いきっちゃってる気もするんですけどねえ。……だから、本人に告白する前に相手の両親に告白するのは順番前後しすぎですよ!? 前巻の話ですけどさ!
この二人の恋が完全に成就するのを、ちゃんと見たいだけに、なんとか次巻出てほしいものです。ここまでお膳立てされて、お預けは辛いとですよ。