【じつは義妹でした。 ~最近できた義理の弟の距離感がやたら近いわけ~】  白井 ムク/千種 みのり 富士見ファンタジア文庫

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親の再婚で、高校生の俺にできた義理の弟・晶。複雑な家庭環境で育ったせいで、美少年だけど人見知り。
兄弟に憧れていた俺は、晶のためにいつも一緒に遊んで過ごしていたら……めちゃくちゃ懐かれて、意気投合して、距離も急接近!
「……兄貴、もしかして僕のこと好き?」「ああ、もちろん」
勘違いをしたまま、深まる2人の仲。そして、ついに晶が「妹」だと気付き、戸惑う俺に……
「兄貴とはこれまで通りの距離感がいい。むしろ今よりもっと僕と--」
「兄妹」から「恋人」を目指す、晶のアプローチが始まって!?
気安くて可愛すぎる、弟…のような妹との、いちゃラブコメ!

一緒に住んでてしばらく男と勘違いし続けてたって、どれだけ鈍感やねん、この主人公!
別に晶はボクっ娘というだけで、とりわけ意識して男のフリしていたわけでもないのに。まあ思い込みって時に本当に目の前の厳然とした事実を認識できなかったりするので、なきにしもあらずなのでしょうけれど。
いやー、でもさーー……涼太くん、君相手が男だからって、弟だからってちょっとそれはベタベタしすぎじゃない?w
同性故の気安さでグイグイ行き過ぎである、この男。いやー、突然出来た義理の弟ってそりゃ距離感難しいですよね。妹とかの方がむしろ気を使って丁寧に接するかもしれないけれど、男同士でいきなり家族になりましたとか言われてもかなり困ると思う。
その点、この涼太くんはなんなんだろう、初めて出来た後輩についつい構っちゃう部活の先輩的な馴れ馴れしさ、ってこんな先輩居ねえか。むしろ、ラテン系の外国人のおっちゃん的なアーパーのノリじゃなかろうか。初対面の旅行者相手でも十年来の友のように肩組んでベタベタしてくるような。
これ、晶がマジで男で弟だった場合、むしろドン引きされてたんじゃないだろうか。そうでなくても、相手するのかなり困るぞw
少なくとも、一緒に風呂入ろうぜ、などと誘ってくる義理の兄弟はイヤだ!

ただ、同性相手でもちょっとどうかという距離の詰め方をされた結果、晶の感性明らかにバグってるんですよね。
元々、人見知りで他人との距離感は遠くに置きがちだった晶。学校側から母親に対して人との接し方について警句がもたらされている時点で相当ではあるんですよね。
また、両親が離婚しているにも関わらず、未だに離れてくらす父親に対して執着している事からも、感情が重たい子である事は感じていたところではあったのですが。
ハリネズミ的に周りを寄せ付けないことで自分を守る、どこか小動物めいた他人への臆病さを根ざしている晶。こういう子は、絶対的な庇護者と認識してしまった相手にはとことん懐に入り込んでピタリと身を寄せて離れなくなる、そんな依存系な側面が往々にして確認されるのですが、晶ちゃんはモロそれだよなあ。
本来なら、徐々に時間をかけて慣らしていくだろう距離感を、無茶苦茶なコミュニケーションで一気に破壊されてバグってしまった晶。
面白いことに、ここで彼女は一足飛びに妹という関係性を無視して、涼太の事を兄ではなく男として認識して、これまで弟と勘違いしていた涼太の距離感を利用するかのように、逆にそれは妹との距離感じゃないだろうという勢いでベタベタしはじめるのである。
途中、父親と再会した際の出来事が彼女の意識に拍車をかけたと思うんですよね。それまで、拠り所としていた父への依存心。新しい家族を築いている娘と元妻の様子に、一方的に縁を断ち切ろうとした父の別れ方を、涼太が穏当に繋ぎ止めてくれた事で、晶にとっての父親へのそれは健全な親子間の愛情へと立ち戻ったように思えるんですよね。
そして、その分ドバドバと晶の重たい感情が涼太に注がれることになるのである。もうノンストップですよね、晶さん。全然繕うこと無く積極的の一言である。変に誤魔化さずに思いの丈を打ち明けて涼太に迫る晶さん。いや、こんな子と一緒に暮らしてたらもう耐えるの無理でしょう。逃げ場ないですし。まあ、あんまり逃げるつもりもなさそうですが、涼太くんの方も。

しかし、微妙に不穏なのが親友とその妹のひなたの二人。彼らからすれば、晶は完全にポッと出でいきなり現れた泥棒猫ですしねえ。意外にもひなたちゃん本人よりも、妹の恋を応援しているらしい光惺の方が晶に対して剣呑な感情を抱いてるっぽいのが不安要素となってくるのか。