【転生魔王の大誤算 5 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート】  あわむら赤光/kakao GA文庫

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ある日、気付くと魔王城の暮らしとはほど遠い庶民の生活を送っていたケンゴー。ルシ子やアス美いわく、自分たちは魔将などではなく、幼なじみのご近所さん!?

何者かに常識を書き換えられた幻惑攻撃の一種だと即座に見破ったケンゴーだったが、魔王扱いされない生活って逆にご褒美なんですけど! 庶民生活最高! むしろ一生続いてもいいのにと思いはじめた矢先――あれ?
「お前も幻惑されてないのかよ!?」
なぜかベル乃も元の記憶を残していると判明。その意外な理由が明らかになる時、彼女の内面を知り、ケンゴーは自ら魔王になる決意をする。
守るべき者のため名君であり続ける最強サクセスストーリー第5弾!!

ちょっとー。表紙絵の順番前回と逆じゃないですか、これ?
サ藤とリモーネのコンビは前回がメインでしょう……いや、今回も良い所でこの二人活躍してくれましたが。
でも、今回はあくまでベル乃の主役回。前回特に出番ないのに表紙絵を飾ってしまっていたベル乃さんですが、本来なら今回こそが表紙を飾るにふさわしかったんですよねえ。

いやー、それにしてもやらかしおるな、マモ代ちゃんわー。ははは、こいつぅ。
この作品ってケンゴーと七大魔将たちとの本当の信頼の構築。そして成長を描いていく物語でもあると思うんですが……マモ代、まったく成長していない!w
てっきりホントは舐めてたケンゴーにガチで入れ込みだして対応変わってくるのかなー、と思ったらやること変わってないじゃん! 一緒じゃん! いや、他の魔将たち排除してケンゴーだけ囲って独り占めして自分は権力握ってウハウハ、というの前より悪化してないだろうか。
そしてこれだけの陰謀張り巡らせておいて大失敗。しかも密かに暗躍し始めていた悪魔の反魔王勢力にイイように利用されてしまう大失敗! ここでバレずにうまいこと敵勢力に全部責任押し付けて被害者になりすますあたり、危機回避能力は飛び抜けてるんですけどねー。相変わらずケンゴーからの信頼厚いマモ代なのですけれど、やはり本当の信頼とは乖離しているので大丈夫かと心配に……は、あまりならないか。マモ代に関してはこのまますれ違ってても別にいいかなあ、と思ってしまう枠に入ってますねえ、ポンコツだし。でも実務はガチで有能なんだよなあ。アタマポンコツなだけで。

さて、そんなマモ代と比べても比べなくても、ただ食べてるだけで何にも考えてないとケンゴーにも思われていた暴食のベル乃がついに本当の顔を見せてくれたのが、今回の一件でした。
おいおい、もしかして七大魔将の中で一番の賢者、ベル乃じゃないの? 少なくとも意識して愚者を演じることで多くの問題を回避している事は間違いないんですよね。卑近的にもケンゴーから面倒くさい仕事任されそうになったり、痴話喧嘩に巻き込まれそうになったりするの、めっちゃ回避してますし。そうかー、あれ全部意図的だったのか。そういう意味では狡猾ですらあるんですよね。
そんでもって、ケンゴーの事全部知っている幼なじみのルシ子を除けば、ベル乃が一番ケンゴーの事虚飾もなく理解してるんじゃないだろうか。いや、他にも見抜いてそうな人いるけれど。
そんでもって、ベル乃ってケンゴーの一番の似たもの同士でもあるんですよね。優しいところも臆病なところも、傷つきやすいところも。そして、誰かのためにそうした臆病さを押し殺して勇気を振り絞れるところも。
そういう所、どれだけヘタレチキンだろうとカッコいいと思いますよ、ケンゴーは。何がヘタレチキンだ。勇者っていうんだ、そういうのは。

それに、いくらケンゴーでも一人ではかなり厳しい局面だったんですよね。それを助けるのが本来なら罠にハメられていたはずのサ藤くんだった、というのがまた素晴らしいんですよ。
以前の盲目的に自分勝手な魔王像をケンゴーに当てはめるだけの人の話を聞かないサ藤ならば絶対にハマっていた罠に、リモーネの助言を聞き入れて冷静に状況を判断して、ケンゴーの援軍に現れたサ藤。めっちゃ成長してるやん! マジの名将になりつつあるじゃないですかぃ。
ってか、もうこのサ藤少年とリモーネ王女の淡くも初々しい関係が見てて微笑ましいのなんの。リモーネが賢妻すぎて、もうサ藤にとって無くてはならない人になってますよね、これ。彼女がいるとサ藤の元々の暴虐性がピタリと収まるあたり、周囲の家臣たちもこれ諸手を挙げて歓迎なんじゃないだろうか。それに、ずっと傍にいて欲しいって、それもう実質プロポーズじゃないですかね!? いいなあ、この二人本当にいいなあ。
表紙絵ではツンツンしてるように見える二人ですけれど、今となってはもうお互い仲睦まじくデレッデレですからねえ。眼福である。

さても、ついにケンゴーとその仲間たちに対する対抗勢力が、人間の側ではなくて悪魔の中に現れた、というかこれまで暗躍していたのがついに顔を見せた、という所でありましたけれど、なんかこう利害関係が一致しているだけのギスギスした共闘関係なんですよね。お互いに腹に一物抱えて、事が終われば食い合うつもり満々みたいな。
いやー、まー。それを言うたら七魔将たちも大概仲いいとは言えないかもしれませんけれど、それもわりと初期だけで今は罵り合ったりしつつもかなり気心知れた身内感があるんですよね。お互いしっかり認めあっていますし、もう家族みたいな付き合いになりつつある。
さて、結束高めつつある七大魔将に、果たして暗躍する連中がどう対抗してくるのか。まだ組織自体の存在すらケンゴーたちに認識されていない点が、主導権を握り続けるアドバンテージではあるんでしょうけれど。