【会話もしない連れ子の妹が、長年一緒にバカやってきたネトゲのフレだった 2】 雲雀湯/jimmy ダッシュエックス文庫

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義妹の平折と一つ屋根の下で暮らしている昴。
そんな平折がネトゲ上での大親友であったことがわかり、二人の距離は急速に縮まっている。
それまで地味で大人しかった平折も“変わりたい”と、学園のマドンナ・南条凛の協力を得て美少女へと大変身を遂げた。
嬉しい反面で平折を意識することも増えてきた昴だが、その一方で凛との仲も徐々に深まりつつあった。
絶妙なバランスの三角関係で保たれている三人だけど……。
「私が彼女になってあげよっか?」――ひょんなことから再会した、今をときめく高校生モデル・有瀬陽乃が現れて!?
昴が忘れていた過去、平折が抱える問題、陽乃の登場により様々なことが明らかになり――。
青春真っ盛りの男子高校生がおくる、ほのぼのラブコメ第2弾!


若者にも大人気の高校生モデル・有瀬陽乃。彼女が実は平折の妹だったことから、毒親によって別れ別れになっていた姉妹の再会によって、大きく物語が動き……出したんですかね、これ?
今も陽乃を自分の出世のための駒として利用するしかアタマにない父親によって、昔に平折がどれだけ傷つけられた挙げ句に家を出され、陽乃とも別れ別れになり、平折の今の性格を作る大きな要因になったこと。さらに、幼い頃に昴が平折と陽乃に出会っていて、決して親密な幼なじみというわけではなかった彼の存在が、幼くも苦しく生きていた二人にとってのかけがえのない思い出になっていた、などと色々と複雑な家庭の事情や昴の記憶の中にあったひぃちゃんの正体など、多くの謎が明らかになる再会でもあったんですけれど……。
だがちょっと待って欲しい。そういう激動の要素をドバドバとつぎ込む前に、まだ平折と凛との関係が全然煮込めていないんですけど!? 素材を鍋に投入したばかりで、味付けをはじめたばかりなんですよ。
そこに新しい要素を大量に突然にドバドバと投入してしまったら、どうなるか。

今回、ちょっとびっくりするくらい平折の存在感が消えちゃってた気がします。ずっと昴の横に居たはずなのにね。それに平折の今の関心って昴に向いていて、過去の家族についてはもう過去のこと、とは言わずとも取り敢えず棚に閉まっておいていいや、というくらいに意識の上に登ってなかったようにみえるんですよね。
サイン会で昴に巡り合ったのをきっかけに平折の存在にも気づいて、色々と前のめりに突っ込んでくる陽乃だったんだけど、肝心の平折が戸惑いっぱなしで特に強い意志表示を示していなかったのだ。
妹に対して別に恨みつらみを抱えていなかったのは良かったと言えるのかもしれないけれど、突然の再会にだからといって無邪気に喜ぶほどアタマ花畑ではなく、突然押しかけてきた陽乃の性急さにも対応できずに、本当にただ戸惑うばかりだったんですよね。
過去の家族、父親とかにも強くこうしてやりたい、こういう思いをぶつけてやりたい、みたいな強い感情を持ってなかったのもあるんでしょう。平折自身のことでもあったはずなんだけれど、だからこそなんとなく埋没してしまった感じがありました。メインヒロインなんだけどなあ。
むしろ、横に居た凛の方がここぞという時に邀撃必殺右フック、みたいな勢いで盤面に割って入って盤面そのものを割っちゃうど迫力を見せてくれた気がします。それでも、今回の一件は家の事が関わりあったとはいえどうしても部外者なので、助っ人以上の立ち位置にはなれなかったんですが。
まあ必要以上に冷徹な在り様に傾いてしまいそうだったのを、昴が引き止めたのは凛という少女の内面や在り方に友達という関係上に踏み込む行為だっただけに、重要といえば重要だったのでしょうけれど。

まあいずれにしても、今回は陽乃や彼女が引き連れてきたエピソードはまだ持ってくるのが早かった気がするなあ、という感想でした。それだけが原因じゃないのでしょうけれど、全体にとっ散らかって薄味散漫となり、一つ一つはくっきりと明晰に描写していたはずの各エピソードも、そこで動く登場人物たちも思いの外印象に残らない薄らぼんやりした感じになってしまった気がします。
それがちと残念。次回があるなら、しっかりと立て直してほしいけれど。
あと、平折と凛まではまだ良かったんだけど、陽乃までゲームで実は一緒だったというのはこうなるとちょっと都合良すぎとしか感じなかったんですよねえ、なんでだろ。