【放課後の迷宮冒険者(ダンジョンダイバー) 2 日本と異世界を行き来できるようになった僕はレベルアップに勤しみます】  樋辻臥命/かれい GCN文庫

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「アキラの世界に行ってみたい」――耳長族のスクレールからの要望を受けたアキラ。
お世話になっている紫父神アメイシスさまに友人を日本に連れていって良いかと相談したところ、
「いいよー」とゆるーくOKが。

早速スクレールを連れて日本へGO! なのだけれど、そこで彼女が“ある存在”に心奪われてしまい……!?
樋辻臥命&かれいのコンビで贈る「ゆるふわ異世界冒険譚」、待望の第2巻が登場!

日本、サクッっと行ってサササッと帰ってきたな! 異世界人が日本に行く、となると大イベントになりがちだけれど、この作品だとスクレールを連れて地元で食べ歩き、という庶民イベントに早変わり。
普通に地方で友だちになった娘に地元の美味しいもの食べさせてあげたくて、ちょっと連れて帰って一緒にご飯食べた、というぐらいの話になってるあたり、ユルユルで良いですよねえ。
なんでか、そんな緩いお話でスクレールが突如出没した怪人をサクッと倒しちゃってますが……。

なんで怪人とか普通に出るの、この日本!!?
ちょっ、ちょっ、クドーくん。キミの地元も普通じゃないじゃん! 普通の日本じゃないじゃん! あかん、ただの現実世界じゃなかった。なんか怪人が出没してそれをヒーローが登場して倒す世界だった! クドーくん、怪人の出没に対してはよくあることだしー、みたいな態度だったけど、こいつの神経はイマイチ信用できないところがあるからなあ。果たして、怪人が出てきて暴れるのが市民の皆様もなれきっている日常イベントなのか、はたまた結構世界緊張状態でピンチだったりするのか微妙に判断し辛い。
まあ出てきた怪人の人、いきなり残虐行為しまくるようなえげつないキャラじゃなかったので、比較的危険度は少ないのかもしれないけれど。

さてもこのクドーくん。毎日放課後に異世界に来てソロでダンジョンに潜り続けるエンジョイガチ勢である。冒険者のサイクルからすると、午後だけとは言えほぼ毎日潜るのはだいぶオカシイらしい。
死んでも生き返れるような世界ではなく、死ぬ時はガンガン死んでしまう決してぬるい世界じゃないんですよね。いくらクドーがユルユルだとはいえ。
本人も決してダンジョン舐めているわけではなく、むしろ超慎重派。力によるゴリ押しは極力避けて、戦闘を回避する方法に関しては現地のガチ勢冒険者たちなどより遥かにアタマをひねり分析を重ねて安全マージンを取っている。
実力の方も、師匠に常時半殺し状態で鍛えられまくったお陰で、上澄みも上澄みなんですよね。本人、師匠が基準なんで自分が果たして全体の中のどの位置、というか魔術師の常識をイマイチ把握してないわけだが。
彼がダンジョンに挑むのは遊びのためである。楽しむためである。自由にダンジョンという摩訶不思議を堪能し、冒険というスリルに身を焦がすためである。
だからといって、本気ではないわけではない。むしろ、遊びだからこそ本気なんですよね。ちょっと放課後ゲーセンに遊びに行く、という感覚ではなく、むしろ登山やガチキャンプくらいに装備から準備から自身のスキルから鍛え、用意し、計画を立てて挑む、だからガチエンジョイ勢なのだ。
でもそれも、普段の生活を蔑ろにしないことが前提。
だから、いつも学校が終わった放課後からしか異世界に行かないし、だからこそ本気で金のため、生活のため、名誉のため、野望のためにダンジョンに潜っていると正式にパーティー組むのは難しいんですよねえ。
あと、これを新米パーティーに加えてしまうのは、新米たちがまともに成長できなくなると思うので推奨できませんよ、受付さん。いや、実力的におんぶにだっこになってしまうというだけでなく、彼の能力に慣れてしまうと、とてもじゃないけど他の魔法使いに求める要求が果てしなくなっちゃいますしね。あと、食い物が違う、違いすぎるのでクドーくんが提供してくれる食べ物でないと満足できない体になっちゃうぞ。スクレールあたりはすでにその気配がプンプンと漂っている。中毒なりかけじゃね?
たまたま、クドーの供してくれた迷宮産の高級食材に地球サイドの料理法をハイブリッドしたクドー飯を食べてしまった新米パーティー。あれ、性癖歪んじゃったぞ、多分。純真に生活のため生きるためにダイバーとしてダンジョンに挑む普通の真っ当な冒険者たちだったのが、あれ下手すると食材ハンターとかになっていきそうなんですけれど。ある意味将来有望になりそうだけど。

やっぱり、ある程度でも臨時にクドーがパーティー入り出来る相手というのは、既に完成されている実力派パーティーでないと無理なんでしょうね。後は、同じソロでダンジョンに挑んでいるような変わり者のトップダイバーたちか。
クドーが恐らく同性では一番仲の良い、友達と言っていいよな、悪友のミゲル率いるパーティー。
偶然、ダンジョンの奥で探索中にバッタリと遭遇し、臨時にパーティー組んで深層に挑むことになったのですが。
こうしてみると、クドーはソロで潜っていると言っても決して協調できないというわけでなく、またミゲルたちの方もトップパーティーという事で結構トリッキーで常識外れなやり方をするクドーにもちゃんと合わせてきてくれるんですよね。相性は悪くないんだよなあ。
ミゲルはいいヤツですし、前々からクドーを引き入れようとしてましたけれど、それは魔法使いとしての図抜けた実力を欲してじゃなくて(知らなかったみたいだし)、クドーのリスク管理の能力を買ってたあたり、クドーのことよく理解してるんですよね。お互い、屈託なくダベれる気のおけない関係ですし、クドーのエンジョイ勢としての気質もよくわかってくれている。パーティーのメンバーもいいヤツばかりなので、相性としては本当に悪くないと思うんですが、彼らが上を目指すという意識のパーティーであることがやっぱりハードルなんだろうなあ。クドーは学校があるから、ダイブの時間帯も合わないでしょうしね。ミゲルたちは、今回の協働でさらにクドーを勧誘するつもりアップしたみたいですけれど。
臨時パーティーならなんぼでも行けそうではあるんですけどねえ。まあお互いさっぱりした性格だから拗れないとは思うのですが。
クドーが固定パーティーに所属してしまうと、スクレールもエルドリッドあたりも黙っていなさそうだけど。さて、どうなるか。