【乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル 4】 春の日びより/ひたきゆう TOブックスノベル

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二年ぶりの盟友・王女エレーナの姿に、アーリシアは微笑んだ。冒険者パーティ狷色の剣瓩鵬弾したことで、王族である彼女の護衛を引き受けることになったのだ。行き先は、精霊から加護(ギフト)を得られるという大規模な離島ダンジョン。だが、乗り込んだ大型船で、乙女ゲームの主人公と三人の悪役令嬢が一堂に会することに!? 死亡ルートから逃れたいクララ。破滅的な力を欲するカルラ。国の安寧を願うエレーナ。そして、我が道を切り開く主人公(ヒロイン)アリア。それぞれの宿命(シナリオ)を背負った少女たちを乗せ、船は迷宮へと出発する! 「“望み"は、私の力で手に入れる! 」 壮絶&爽快な異世界バトルファンタジー第4巻!

ファーーッ!? ええっ、ちょっとなんかアリアが普通の女の子みたいな反応しましたよ? 乙女か? 乙女なのか? アリアがこんな乙女みたいな反応するの初めて見たんですけれど。そういう回路備わってたの? 備わってたとして生きてたの?
その相手がフェイドだった、というのも驚き。いや、アリアさん、前に再会した時はそこまで反応してなかったじゃない。命の恩人だとは思って適切な対応は取ってたけど。

フェイドが「虹色の剣」のメンバーだった、というのは驚かないんですけれど。いや、いつ加入したのかは気になるか。浮浪児だったアリアに技術を教えてくれた時のフェイドはまだそこまで凄い立場の冒険者じゃなかったですよね。アリアが一端の冒険者になった後に再会した時はどうだったんだろう。
フェイドも「虹色の剣」のメンバーの中ではわりと新顔らしいというのは、他のメンツの反応からしてわかるんですけれど。てか、ヴィーロも古株の方みたいだし、ミラとドルトンは創設メンバーなんだからそりゃフェイドも新顔扱いにはなるよなあ。
ともあれ、フェイドが再び登場してくるなら多分虹色の剣としてだろうなあ、というのは想像の範疇だったので驚きはなかったんですけれど、そんな彼に対するアリアの反応ですよ。
いや、彼女がフェイドに対してかなり巨大な信頼を寄せているのはわかってましたよ。本当に何も持っていなかったアリアに生きるための技術だけじゃない、見ず知らずの浮浪児を何のメリットも無いのに何日も大切な時間を費やしてくれたことは、アリアに人間の中には信じられる人がいる。情や厚意といったものを惜しげもなく分け与えてくれる人がいる、というのを教えてくれたのが彼だったんだと思うんですよね。フェイドと出会わなければ、それこそアリアはカルラみたいな厄災になってたんじゃないだろうか。
それを思えば、アリアの絶対の信頼がフェイドに寄せられているのはよくわかるんですけれど、絶対それだけじゃないじゃないですかー。あの時気まぐれかもしれないけれど、生きる術を教えた浮浪児が自分だ、というのをフェイドになんとなく教えたくない、というのは完全に乙女心ですし。
フェイドの服の裾をつまんでトコトコとついていく姿なんか、懐いて離れたくなくてでも無邪気にまとわりつくには恥ずかしくて、という完全にあれですよ、乙女ですよ。
それをよりにもよって、アリアがやってるんですよ? 仰天ですがなー。
そ、そうかー。アリア、こういう男がいいのかー。けっこう脳筋だぞ。おまけに、筋肉ダルマっぽいぞ? 乙女ゲームの攻略対象にはなりにくいタイプの男なんだが、そうかー、そういうのがいいのかー。
でもちょっと微笑ましい気分でもある。なりこそでっかくなったけど、実年齢はまだまだ幼いアリアですからね。形どころか、中身も冷静沈着クールな仕事人であるアリアですけれど、こういう柔らかい側面があるとやっぱり微笑ましく思ってしまいます。
エレーナとの関係だって、二人共お互い格式張ったというか、堅苦しいというか、単純な友情という枠に当てはめたくないくらい特別なんでしょうけれど、そういう装いを取り払ったら普通に久々の再会を喜ぶ親友同士、でいいんじゃないですかね、この二人。
エレーナさんなんて、そりゃもうはしゃいじゃってますし。ウキウキのワクワクじゃないですかー、エレーナさん。もっとシンプルになってもイイと思うんですけどね、この二人は。

さても、王族の子女の責務として加護を得るためにダンジョンに挑むことになったエレーナたち。オマケに王太子や王弟までついてきて脚を引っ張る中で、アリアを加えた虹色の剣が兵士や従者たちと共に護衛となって彼らを守ることに。
これまでずっとソロでやってきたアリアが、連携取れるんだろうか、とか。乱戦特化で、常に攻撃攻撃だったアリアが護衛任務なんかうまく出来るんだろうか、など心配要素は色々あったのですけれど、そも虹色の剣からして100年来続いているような老舗パーティーで、ノウハウはなんぼでもあったわけだし、アリアだってその辺の器用さ柔軟さはお手の物。思いの外問題なく務められたんじゃないだろうか。
それにしても、野外泊にすら慣れてないだろう王族たちを、何週間もダンジョンの探索に送り込むって、これ相当に成功率低かったんじゃないだろうか。いや普通に疲弊しますって。戦いがなくても疲れるでしょう、これ。
被害とかもっと出るかと思っただけど、特に王弟の人なんかあからさまに被害者要員なのかと思ってましたが、そこは虹色の剣の凄腕という以上に経験豊富なベテランパーティーという味が出ていたように思います。とはいえ、最終試練たるダンジョンボスは強力なんてもんじゃなかったですけれど。
よく勝てたなあ。アリアがオリジナル戦技を貰ってなかったらほぼ無理ゲーだったんじゃないだろうか。いや、アリアが貰った戦技は強力だったけれど、一発逆転を狙えるほど火力が高いわけじゃなかったから、やはりそこは練達の強みよなあ。とは言え、火力を考えるとやっぱりサマンサ婆さん抜けたの痛そうだけど。カルラが入ってくれたら満点なんでしょうけどね。それこそ無理な話だが。

しかし、カルラは元より後戻りできない在り方をしていたから仕方ないし、ラスボス一直線なのはよくわかるのだけれど、クララの方は完全に自滅の道を歩んでますねえ。
何もしなくても、その出自が原因となって粛清されてしまうのが確定している以上、自分から積極的に危険要素を排さねば、というのはわかる理屈なんだけど、そのために余計に危険でリスクばかりが高いルートへと、破滅するしか無い道へと突き進んでしまっているのは痛ましさすらある。
とにかく危険要素は排除しなければ、という考えなんですよね。協力したり、相談して一緒に考えたり、というやり方がハナからアタマにないんだなあ。粛清を回避するためのやり方はあったはずと思うのだが。危険を排除しようとして自分からより危険な要素を引き入れてしまっているその矛盾が、なんともはや。それは決断ではない、勇気でもない。恐怖と臆病から冷静さを失って無謀に打ってでているだけだというのを、指摘してくれる相手が一人もいないのが可哀想だ。
カルラですら、殺し合う関係とはいえ、アリアという理解者が出来たのにねえ。