【信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 10.救世の英雄と魔の支配〈上〉】  大崎アイル/Tam-U オーバーラップ文庫

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伝説の勇者を救うため――魔が闊歩する千年前へ!

太陽の女神からの神託を受け、千年前へと時を渡った高月マコト。
大魔王から世界を救うため、救世主アベルを始めとする伝説の勇者パーティーのメンバーに協力を求めることに。
しかしアベルには、史実で語られていない秘密があるようで……?
さらにメンバーを探している最中、千年前における女神ノアの唯一の信者・魔王カインに襲撃される。
一切の攻撃を無効化するカインを前に窮地に立たされたマコトだったが――かつてノアから教えられた攻略法を駆使し……!?
「……なぜ、貴様がその名を知っている」
世界の命運を背負う少年と女神の異世界攻略ファンタジー、波乱の第10弾。



やっぱり大賢者さまだったじゃないかーー!!
いや、前巻ラストで登場した奴隷少女のモモ。でも何も知らないし何の力も持たないただの人間の少女であるモモが、果たして大賢者なんて呼ばれるほどの存在になるのか。時間を掛ければなれる可能性はあるかもしれないけれど、マコトは千年前を訪れた異邦人。そんなたくさんの時間を掛けている暇はないですよね。それに何より、モモちゃんのイラストが明らかに大賢者と違う。
普通なら、ここで会うのは未来の大賢者の可能性が高いのがパターンだけど、これは違うよなあ、と思ったんだよ! 思ったんですよ!
うががが。やられたわー、騙されたわー、勝手に勘違いしてただけかもしれないけれど。

さても、身一つで千年前に送り出され、大魔王によって正史を覆された伝説の勇者アベルの抹殺を阻止することになったマコト。肝心の勇者アベルを探し出さなくてはならないのだけど、これって実は勇者アベルの正体は未来から送り込まれたマコトだったのだー、というタイムトラベルものの王道の一つかなー、とも想像してたんですよね。……普通に出てきましたね、勇者アベルくん。
まあうん、勇者アベルのスキルは光と雷。対してマコトのそれは水なのですから、違いますよねー。その辺もどうにか誤解されるかうまいこと歴史の事実を変換してしまうのかな、とも思っていたのですが。
つまりは真っ当に、まだ弱々で根性も据わっていない軟弱勇者アベルくんをマコトが教導していくのですねー、と思ってたら、アベルくーーーん!?
なんかポンポンと予想外の出来事が起こりまくって、なんかもう楽しくなってきましたよっ。けっこう怒涛の展開のはずなのに、明鏡止水スキルのお陰で常にメンタル安定しちゃってるマコトくんは飄々とその怒涛の展開を流しちゃっていくし。
勇者アベルと聖女アンナが揃って伝説のパーティが全員揃った、良かったね、じゃないよ! そういう問題じゃないよ! アベルの抱えていた真実、とんでもないものだったんですけど!? 
え? 聖女アンナの容姿が千年後の太陽の国の姫であるノエル王女とそっくりって、つまるところ太陽の国の王族の先祖はアンナであるということで……いや、それはわかってたんだよ。太陽の国ってのは勇者アベルの末裔なんですからね……って、ここで大矛盾が発生してしまうんですけどーー!?
そうか、単為生殖という生物学的概念もありましたね……ねェよ!!

そうかー、そういう可能性が出てくるのかー。大賢者さまが度々念押しみたいにマコトを吸血した際に童貞の血は美味しい美味しいと連呼しながら吸ってたのは、あれ確認でもあったのかもしれないなあ。なるほどなあ。
フリアエさま、ルーシー、アヤちゃん、あんたらの旦那、遠い過去で卒業しちゃうかもしれませんぜ?

さても、千年前は絶賛人類絶滅時代。文明がほぼ崩壊して生き残りの人間たちは僅かにコミュニティーをダンジョンの中に構築して青息吐息で生き残っている状態でした。マコトという新たなファクターが現れなければ、彼らはさらに多くの命を失って、救世主アベルを中心とした伝説のパーティーは大切なものを失った燃えたぎる復讐の念を燃料にして魔王たちの支配に挑むはずでした。
それがマコトの介入でだいぶ改善されつつも、伝説のパーティーの破壊的な原動力は失われてしまったんですね。皮肉なことだ。モチベーションが上がらない彼らは、やっぱり飄々として特にテンション盛り上がってないマコトに導かれて、なんやかんやでパーティーを組むことに……あれ? なんかダメっぽい?
ともあれ、人間牧場なんてものが当然のように存在する人が家畜となっている過酷な環境で、マトモな感性ではいられない地獄のような世界である千年前でも、マコトはアタマがおかしいという認識で全会一致しました。聖竜さまがガチでビビってドン引きしてるんですがw
大精霊を大量召喚してガンガンと寿命が減ってしまったのに、まあそれで平然としているのはありとしても、魔物たちから寿命魔力吸い取りまくって補填できました、よし問題なし、で動揺もなく済ましてしまうのは、完全にアタマヤバい人ですからね?
まあそれだけでなく、魔王たち相手でも絶滅しかかっている状況で、取り敢えず大魔王倒しましょうよ、とか言い出すやつは「何言ってんだこいつ?」て誰でもなりますよねえ。
ダイの大冒険で言えば、ハドラー相手に世界中がヤバいことになってるアバン先生の時代に、突然ハドラーはまあどうでもいいので、大魔王バーンの方を倒しましょう、とか関係者各位に向かって言い放つようなものでしょうし。まあ大魔王イブリースと違って、アバン先生の時代にバーンは表に出てきてませんが。
それにしても、イラさまは完全にトラブルメーカーでやらかし要員なのだけれど、出てきてくれるとそれだけでホッと安心してしまうのはもう癒し系マスコット化してますよねえ。女神の威厳とか全然皆無になってますけれど。さすがのマコトですら、たったひとりで千年前に放り出されてちょっとは心細かったのか。過去にも関わらず未来の記憶と連結しているのは、さすがはポンコツでも神様だからなのか。運命の女神だから、というだけならノア様なんかはこの時代、マコトの事は知らないはずなんだけど……なんか未来のノアさま全部知ってるっぽかったもんなあ。
それはそれとして、千年前のノア様の使徒カインは勝手に自己解釈するタイプでこいつはこいつでヤバい系でしたけど、こういう奴の扱いなんだかんだとマコトはうまいのなー。
マコトがノアの使徒だというのは、アベル・アンナには地雷だというのが少々心配ですが。
あと、過去に送り込まれる前にマコトって大賢者の騎士として契約したんですよね。この契約って時間の前後はどう認識されるんだろう。そもそも、今のモモって契約上大賢者って認識されるのか?

色々と錯綜してきていますけれど、だからこそ面白い! アベルを教導しつつ、その仇である魔王カインと同じノアの使徒として手を結ぶ。やってることだけ見ると、マコトくんあくどいってなもんじゃないぞw