【望まぬ不死の冒険者 10】 丘野優/ じゃいあん オーバーラップノベルス

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不死者、王女殿下に謁見する。

マルトで起きた事件を報告し、総冒険者組合長を迎えにいくべく、ふたたび王都へ向かったレントとロレーヌ。
だが、冒険者組合にて申し出をしたところ、数日後まで不在だと告げられてしまう。
先にリリアンから頼まれた用事を済ませようと、二人は手紙を東天教の僧正エルザへ送り届けることに。
次いで以前襲撃から救ったジア第二王女殿下に謁見するため、旧知の銀級冒険者オーグリーと合流。
王家の圧力をかわし続けたオーグリーに提案されたのは、塩漬けになった依頼の手伝いだった。
そしてジア王女との謁見にのぞんだ三人に告げられた、ヤーラン王国とエルフが住む古貴聖樹国、レントにまつわる因縁とは……!?
『人族が神具を持った者と縁を持つ。その者をここに連れてくるように』
強大な魔物と戦い、多くの謎を解き、そして強くなる。
死してもなお遙かなる神銀(ミスリル)級を目指す、不死者レントの『冒険』、第10弾――!


そうだよね! 王女さま助けてから、王宮に招待されたのになんかずっと放置してたけど、普通に考えたら大丈夫じゃないよね!?
いやー、結構大胆に、というかこれレントあんまりちゃんと考えてなかっただろう。王女様からの招待を後回しにして随分とあっちこっち回っていたレントたち。忘れてたのか? ちょっと忘れてただろう。なんで仮にも王族からの招待を塩漬けにしちゃってんだよ。
レント曰くの田舎国家だからその辺大らかだったのかもしれないけれど、まだかまだかまだ来ないのか、と王都に居るもんだからせっつかれてるオーグリーの胃のダメージは相当だったんじゃないだろうか。再会した時軽く皮肉言うくらいだったけど、本当はもっと焦ってたんじゃなかろうか、オーグリーくん。剽軽な立ち居振る舞いしてる男だけれど、その内面は表向きほど軽々とした人じゃないからなあ。真面目だよね、彼。まあ細かいことをあんまり気にしない肝の太さもあるから、本当に大して気にしていなかったのかもしれないけれど。

さても随分と放置されてしまっていた王女様の招待。これだけ待たされると王女さまも感謝の念がそろそろ薄れておいおいいい加減にせいよ、という具合に逆に怒りを勝ってるんじゃないか、と思えてしまったのだけれど、本当におおらかな人だった。
というか、これ時代背景もあるんでしょうね。簡単に連絡が取り合える、それこそ電話電信が当たり前のようにインフラとして設備された近代と違って、この異世界もそうだけれど遠くの人と連絡を取り合うというと、誰かに託した手紙がせいぜい。移動は馬車で何日もかけて、というのが当然。郵便という制度もそれを専属の仕事とする人もおらず、冒険者や商人が預けられた手紙を依頼で届けるのがせいぜい、ですからねえ。
そんな遠くの人と連絡を取り合うのが難しい世界では、それこそ行き違いや待ちぼうけなんてのは当たり前に発生するもので、いちいち怒るものでもないのかもしれません。
実際、レントたちも頼まれて冒険者組合の総組合長に会いに来たにも関わらず本人は不在。一週間くらい待ってください、戻ってくる保証はないんですけど、なんて行き違いが発生しても、レントたちもまあ仕方ないか。その間なにか仕事したり用事を片付けたりして待っておこう、てな具合に大らかに受け止めてますからねえ。
……いや、王女さまとの約束は率先して片付けた方がいいだろうに、ギルマスが戻ってくるまでに王族との面会なんて余計な日数とられるかもしれないからどうしようか、などと後回しにしちゃってるあたり本当に大丈夫か、と他人事ながらハラハラしてしまったのは、あくせくした時代に生きている弊害なんですかね、これ?
さても、王女様の方も向こうの、つまりレントたちの都合がつくまで待っているのもまあ当然、みたいな大らかさで待ってくれていたので、何も問題が起きずに王女様に再会できました。こういう時代の大らかさみたいなものへの面白味みたいのを感じます。いやこれ、田舎だからそうなんじゃないの? 帝都みたいな文明の中心地だったらもうちょっと約束事の時期とかはしっかり調整されるんじゃないの? と思わないでもないですけど。

さて、王女様との面会で助けた謝礼なんかを受け取りつつも、今王家で発生している問題にまつわる依頼をレントたちが受けることに。どうも王女さまが探していた対象が明らかにレントを指していたので、これはどうやっても逃げられない案件だったのですが、順当に王家のゴタゴタに巻き込まれたなあ。
そもそも、襲撃受けていた王女様を助けた時点で手遅れだったとも言えるのですけれど。
本編後半で明らかにレントたちを狙って仕掛けてきた工作員たちの根っこがどこに繋がっているのかは気になる所。でも、ちゃんとレントたちについて情報収集しているのはプロとして当然なんだろうけれど、上っ面の情報と実態は全然違うからなあ。レントだけでなく、ロレーヌやオーグリーも並の銀級ではないですもんね。案の定工作員たちのほうが手玉に取られていく始末。
あんまり話自体は進まなかった気がするけれど、次回でこの一件何らかの決着はつくんだろうか。
てか、組合長待ってる時間で他の塩漬け依頼を暇つぶしに片付けにいったら工作員に絡まれました、てなもんだしなあ。本筋ってどこだ? 組合長との面会? 取り敢えずそれが終わらないと、エルフの里案件に取りかかれないんですよね。わりと同時進行で複数の案件が片付かないまま進んじゃってるからなあ。
あっ、アニメ化おめでとうございます。結構でっかいLサイズモンスターとか本格ダンジョンが出てくる作品なだけに、口絵みたいな迫力ある絵面だったらアニメも映えそうなんですよねえ。