【望まぬ不死の冒険者 11】 丘野優/ じゃいあん オーバーラップノベルス

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不死者、《刺客》と交戦する。

王都でオーグリーと臨時パーティーを組んだレントとロレーヌは、村娘フェリシーの助けを得て順調に依頼を消化していく。
最後の依頼を終え、村へ戻ろうとした矢先、老人と遭遇。
不審に思ったレントが声をかけたその瞬間、突如として老人の襲撃を受け、吹き飛ばされてしまう。
それは、《ゴブリン》と《セイレーン》の次に派遣された第三の刺客だった。
応戦するロレーヌとオーグリーに《分化》して復活したレントも加わり、巨大化した腕をふるう老人を相手に奮戦を続ける。
だが、さらに老人は全身を巨大化する『巨人』の姿で襲いかかってきて……!?
巨体に打ち勝つべく、三人は一計を案じることに。
眼前に迫る『死』にレントが取る手は――!?
強大な魔物と戦い、多くの謎を解き、そして強くなる。
死してもなお遙かなる神銀級を目指す、不死者レントの『冒険』、第11弾――!

表紙絵はまったく新しいキャラクター三人組で、一体誰だと思ってたらこれ、刺客三人衆だったのか。
てっきり行きずりに適当に蹴散らされるザコ敵役かと思ったら、思いの外扱いがいいじゃないですか。
<ゴブリン>なんて描写からして目立たない中年のおっさん商人風体かと思い描いていたのですが、右下の被る丸傘に丸メガネ、と風情ある雰囲気でけっこうカッコいいぞ。

前回、早々に雇った馬車の御者が刺客だった事に気づいていたレントたち。背後関係を調べつつ、まだ仲間がいるなら引っ張り出すために、依頼消化の傍らで泳がせていたら案の定、村人を操って襲おうとしていた<セイレーン>をちゃっちゃと捕獲。
までは簡単で良かったのだけれど、最後の刺客<スプリガン>が本物の実力者で、これはこれまでで一番の激戦だったんじゃないでしょうか。これまでもラウラやニヴ・マリス。それに故郷の師匠筋の人達と実力上位の相手とは出会っていたけど、モンスター以外の人間の本物の強敵相手との命がけの戦いははじめてでしたしね。
この巨人化する老人、単純に図体がデカくなって質量が増えるだけでも苦戦必至なのに、スピードは落ちずに巨体になった分一挙動で動ける範囲が劇的に広がるわ、自己再生するわと、普通に考えてこれに勝つの無理だろう、というダンジョンボス級の相手だったんじゃないでしょうか。
確かにこの老人相手なら、銀級冒険者風情では太刀打ちできませんですわー。それに抗してみせた時点で、オーグリーもロレーヌも並の銀級ではなかった、という事なのでしょう。それでも、レントと三人一緒でなかったら逃亡はともかく、妥当はかなり難しかったでしょうからね。スプリンガンの爺さん、実力的には金級でもおかしくなかったんじゃないだろうか。
てか、レントの武器が自壊してしまう切り札と、ロレーヌの軍まるごと吹っ飛ばせそうな古代魔術の連発食らって死ななかったというだけで、とんでもない化け物なんですが。
てかロレーヌもあんな魔術連発できるとか相当におかしいよなあ。大魔術師じゃないの、普通に。

刺客側もレントたちの実力を詳しく知らされていない上っ面の情報だけを受け取っての襲撃だったようで、いやでもまあ、オーグリーあたりはしっかり調べれば相当の実力者だというのはわかるだろうけど、ロレーヌとレントはわからんよなあ。
それでも、第二王女と面会して数日と経たずの襲撃でしたから、情報を吟味しない性急なものだったのは間違いないでしょう。お陰で、捕らえたスプリガンたちがわりとあっさりと抵抗せずに、ボスのもとに案内して依頼を取り消してもらうというレントたちの要求を受け入れてくれたわけですが。
それでも、爺さんとこれだけ打ち解けてしまうとは思わなかったですけれど。一応しっかりと捕らえて逃さないようにして油断はしていないものの、普通に仲良くなってましたからねえ。
レントもロレーヌもそういう所無頓着というか大らかというか。命が狙われたことに対してあんまりピリピリしないんですよねえ。
刺客集団、社会のハグレモノである魔術とも気とも違う力である異能を扱う異能者たちを集めた暗殺集団、彼らが……その中でもスプリガンが拾ってきて面倒見ていたグループの面々が、アンダーグラウンドの住人でありながらなんかおもしろ愉快な連中であったのも、妙に意気投合してしまった事に拍車をかけていた気がしないでもないですが。
どちらかというと、爺さん中心に家族的に互助的にやっていたというのもあるんでしょうけれど。性格捻くれてそうなセイレーンからして、爺さんには反発しつつもこれ反抗期ですよね、という感じで本当は慕ってるような素振りでしたからねえ。
まあそういう和やかなグループにレントとかロレーヌとか、どっかぽややんとした面々が敵意抱くのは難しいよなあ。
というわけで、異能者集団の本拠があるという王都に戻ったレントたちが引き合わされたのは、予想外の人物であったのでした。って、これは本気で予想外!
なんと、レントたちが王都に足止め食っていた原因の一端がここに絡んでくるのか。いやこれ、異能者集団のボスがこの人って、実質この爺さんたちって非公式ではあってもパブリックサイドになるんじゃありません!? まあ公儀ではなく、ギルド関連みたいですけれど。
非は異能者集団の方にあったとはいえ、これスプリガンたちを始末していたら詰んでるとは言わないまでも、相当に面倒なことになっていたかも。穏当に済ませようとして本当に幸いだったのか。

さて、暗殺者に命まで狙われて、これで本格的に国家王家を巡る陰謀いざこざに巻き込まれるか、と構えたところで、わりとあっさりとレントたちが狙われる要因……はこれまだ解決していないけれど、依頼者へと辿っていく枝についてはバッサリと切り落とされただけに、また命を狙われ続けるという事態は回避できたはず。
なんやかんやで、王都の冒険者ギルド長とも面会できて、ようやくマルトへと帰る算段になったわけですけれど、さてこれ素直に帰れるのかしらね。
王杖の問題にマルトに出来た新ダンジョンの迷宮核を巡るいざこざ、とレントたちが関わらざるをえない案件は積み重なっていくばかり。おまけに最後に神獣なんてものが出てきましたし。ってか、なんで普通に王都の場末の修道院に飼い犬として居るんだよw
これ、リリアンさんが王都から離れなくてはならなくなった東天教内のいざこざと絡んでくるんだろうか。なんかひっきりなしにトラブル舞い込んできて忙しいな、レントくん!