【時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん 5】  燦々SUN/ももこ 角川スニーカー文庫

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「……わたしだよ。さーくん」遂に訪れた初恋の人との再会。
マリヤが"あの子"であると認識した政近は、彼女への思いを巡らせる。
そんな思い出いっぱいな夏休みも明け、征嶺学園は二学期へ突入!
会長選に多大な影響を与えるという学園祭に向け政近はアーリャさんをフォローしようとするのだが、クラスメートと自ら距離を詰める彼女の姿に心を掻き乱される。
「もしかして……妬いちゃった?」
そう言って悪戯っぽく笑うアリサに、更に心は掻き乱されて──。
大人気ロシアンJKとの青春ラブコメ、恋模様が揺れ動く中、
会長選にも新たな動きが!? 波乱の学園祭編、スタート!


真面目に実妹ルートもアリだと思うヨ? 表向きは綾乃と結婚、というのはかなり現実的なんじゃないだろうか。そしてこれはむしろ綾乃が両手に兄妹でウハウハなんじゃないだろうか。
真面目な話、有希が跡継ぎになった時には人生まるごと支えてくれるパートナーが居た方がいいのは間違いないですからね。果たしてそれに見合う男が登場し得るのか。猫と仮面を被った有希ではなく、本当の有希を見つけてくれる相手が出てくるのか。
もう綾乃一人で事足りる、と言われるとそうかなあ、と思わないでもないけれど、今のところはやっぱり従者タイプで横ではなく後ろに控えて支えてくれるタイプだからねえ。
そう考えると、やっぱり相性ピッタリ息ぴったりなのはお兄ちゃんなのよねえ。それこそ公私の区別問わず。
さて、有希の本音はどこらへんにあるのやら。まだこの娘、表に見えていない気持ち、ありそうなんだが。

ともあれ、当面はマリヤとアリサの姉妹である。
政近の初恋の人が、加えてマリヤが語る「彼氏」がお互いであった事が発覚したわけですけれど、ここでグイグイ行かないんだ、マーリャさん。
わたしが先に好きだったのに、の状況にも関わらず、現状では明らかに妹アーリャと政近の関係は仲睦まじく進展していて、今マーリャさんが名乗りを上げるというのは後から間に割って入る、という形になってしまう、少なくともマーリャお姉ちゃんはそう感じてしまったんだなあ。
まだ今のところ、アリサと政近の関係はナニモノでもない。マーリャが過去の政近との関係を明らかにしようが、それこそ告白して関係を迫ろうが関係ないはずなんだけどね。出会ったときにはもうマーリャの方は政近のこと気づいていたにも関わらず、今まで言い出せなかったところにマーリャのいじらしさを感じてしまう。
もっとワガママでもいいだろうに、と思ってしまうのは所詮関係ない立場からの印象なのだろう。それだけ、このお姉ちゃんは妹が可愛いのだ。何より、もう薄々判ってしまったのかもしれない。

政近は政近で、初恋の人がマーリャだとわかったことで何がどうなるのか、と思ったら、小奴めこれまでずっと心の奥に引っかかっていた棘が取れたみたいに、初恋は終わった、とか言いだしてるし。なんか勝手に終わった感出しちゃってるし。むしろこれから恋が再び始まる!みたいになるどころか、区切りつけちゃったよこの男。
むろん、決して今のマーリャを蔑ろにしたわけではなく、魅力的な女性として彼女のことを認識はしているのだけれど、必要以上に初恋の人という側面を意識しないぞ、という意思表明にも見えるじゃないか。
つまるところ、彼の中ではもうある程度答えは出ているってことなんじゃないだろうか、これ。まあ、あの露出愛語をしゃぶりつくして1人で悶えているあたりでわかるっちゃわかるんだが。

その露出愛語なるアレなアレをやらかしまくっているアーリャさんですが……この娘、なんか悪化してませんかね? ちょっとしたイタズラというかストレス解消、みたいな感じだった相手に通じないロシア語で本音を吐き出す、という行為が、段々と言っても理解しないロシア語でとても政近に聞かせられない事を言って、バレないはずだけどバレるかもしれないスリルに興奮する、という露出狂みたいな性癖を拗らせはじめてるんですけど!?
前はちょっとスリルを楽しむくらいだったのが、最近明らかに性的に興奮しだしてるんですけど!?
身体の露出じゃないですけど、これってもう心の露出趣味ですよね。スカートの下をノーパンで過ごして密かに興奮する趣味と方向性一緒ですよね!?
これ、政近がロシア語できるって知ってしまったら、恥辱でガチで死ぬんじゃないだろうか。シリーズはじめの頃のロシア語の囁きくらいだったら、ラブコメの甘酸っぱいエピソードで収まってたと思うんだけど、この巻での興奮してこれ目が血走って鼻息荒くなってませんか?くらいの有様になってるアーリャさんの場合、好きな人に気持ちがバレてしまう、じゃなくて好きな人にヤバい性癖がバレてしまう、というパターンになってしまうんじゃないだろうか。
マーリャさんルートからポロッと、政近ロシア語わかるよ?みたいな情報が安易に放たれかねない危機が、マーリャさん初恋の人発覚で発生してるからなあ。

性癖がどんどんと歪んで取り返しのつかない深みへとハマっている一方で、それはそれとして政近の誘導と指導もあって、文化祭でのバンド活動でリーダーシップを習得しようと奮闘するアーリャさん。わりとしっかりと政近の助けに応えようと頑張るアーリャよりも、むしろ自分の手を離れて自立して成長していくアーリャに、そしてどんどんと自分以外の人間とも仲良くなる彼女に心乱され、メンタルが荒れてしまう政近くん。
……いやこれ、どう捉えるべきなんだろう。それだけで不安定になってしまう政近のメンタルが芯を取り戻せていないと見るべきなのか。それとも、単にお前アーリャのこと好きすぎじゃね?と捉えるべきか。
……アーリャさんのこと好きすぎじゃね?

政近もアーリャもお互い……いや、この二人に限らず、誰もが人間関係というものをロジカルかつ難しく考えすぎてるよね。立場とか世論とか人からの見た目とか、まあちゃんと考えないといけない事は確かで間違いないし、自分の立ち居振る舞いやポディションなど曖昧にせずしっかりと把握し考えておくべきなんだろうけど。好きという気持ちに対して、論理を主にしていて、本能や衝動、シンプルで後先考えない行動というのを戒めている、というのかな、これは。選択肢にもあげない、というのはなんだろう、ちょっともどかしいなと思うときがありますね。勢いでがーーっとやっちゃえ、という趣旨の作品じゃないのはわかってはいるんだけれど。というか、それを無造作にやられてしまうと台無しになってしまうタイプの作品だというのはわかっているんだけれど。いや、そういうのもやり方次第でどうにでもなるんでしょうけどね。先々そうなる展開もあるかもしれないし。
とはいえ、現状では慎重に熟慮して思考を絶やさず思慮を巡らせ続けるラブコメであり、学校という舞台で真剣勝負を繰り広げる物語なのですが。でも、その難しく考え続ける負荷が、アーリャさんが性癖をどんどん拗らせていくストレスにも繋がっている気がするぞw

しかし、文化祭終わらずに続くとは思わんかった。かなりじっくり進行で行くんですね。