【王女殿下はお怒りのようです 8.白き少女と未知の光】  八ツ橋 皓/凪白みと オーバーラップ文庫

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一体私は、私たちは――何者なのだろう?
過去と謎が交錯する魔術譚、第八幕。

ノクテット山の山頂にて、一人サラと相対したレティシエル。
サラの遠大なる計画――空に浮かぶ魔法陣が発動し、魔術を無力化されたレティシエルは戦う術を失ってしまう。
ルーカスとジークも囚われ、絶体絶命の最中に現れたのは、学園の司書であるデイヴィッドであった。
交戦の末、サラは撤退を選択。
しかし、世界から『魔素』を奪う巨大な魔法陣は残され、人々は混乱の渦に呑まれていく。
仲間達が呪術兵の侵攻をぎりぎり食い止める中、魔術を封じられたレティシエルは白い光をまとった謎の少女と再会。
彼女の導きがレティシエルに与えたのは、未知の記憶と、新たな力だった――。
過去と謎が交錯する魔術譚、第八幕。


んん!? ちょっと待ってくださいよ? 後半でエーデルハルト第三王子に仕えているメイという少女が誘拐された際のシーン、前半と内容が食い違ってませんかね? 前半でメイが魔素を消すという魔法陣の影響で体調を崩してしまっていた際に、レティシエルが浄化魔術によって治療してあげたシーンがあったはずなのに、それが無かったような描写になってるんですよね。そもそもレティシエル殆ど面識がないみたいな事言ってるし、エーデルハルトも前半で説明していたようなメイの症状をもう一度なかったみたいに繰り返してるし。
さすがにこれはおかしくないだろうか。違和感大きすぎて、呆然としてしまったんですが。
そもそも、このエーデルハルトの従者の1人だというメイという娘、全然印象に残ってなかったんですが、これまで大きな出番ありましたっけ? 完全にその他大勢のモブのひとり、という認識、以前に覚えてもいなかったんですが、いきなり突然とんでもない正体が明らかになってしまって、あっけに取られてしまいました。
伏線ありました!? そもそも、どういう因果でエーデルハルトの従者になってたの!? ってか、誰も気づかなかったの!?
いやもうなんて言ったらいいのか、なにこれどういうこと? これ、状況的には感動の再会、になるはずなんですよね。レティシエル=ドロシーにとっては彼女の幼い人生を大きく歪めた事件でしたし、エーデルハルトとの幼い頃の繋がりにおいても重要な繋がりをなす人物ですし。王子にとっても、その後の生き方に大きな影響を与えた事件と人だったわけですから、こんな形でこんなふうに訳のわからないまま再会で良かったんだろうか。なんか混乱しか呼んでない気がするぞ。

一応、クライマックスに差し掛かってきて、サラの正体というか彼女の歩んできた千年の動向とか明らかになったり、他の登場人物との人間関係や繋がりなんかも明らかになってきて、幾つもの謎が明かされてはきているんだけれど、それにしても全体像が非常にわかりにくいことになっている気がします。いや、全体像はまだ俯瞰してみている形になるから把握できるか。
それよりも、スポットスポット、局地的に誰が何をしていて、何が起こっているか。なんかごちゃごちゃしていたり、描写がなかったりで何が何だかわからない、という置いてけぼり感が強いんですよね。戦争の方はどうなったんだっけ? 久々で忘れている部分も多いというのもあるんだろうけれど。
いきなりジークもいなくなっちゃってますし。ジークとレティシエル、二人の関係ってどうなってるんだろう。距離がつまらないまま状況だけがどんどん進行してしまって、今のところまだ仲の良い友人止まりで全然踏み込めていない気がするぞ。レティシエルも、ジークの事意識してるのかしてないのか。ジークの方も何を考えているのか、よくわからんし。
なんかほんと色々と置いてけぼりになってる感じがします。

良かったのが、妹のクリスタと和解がなったこと。和解したよね? 仲直りしたでいいんだよね、これ? 別にお互い歩み寄ったとか面と向かって謝罪したとか打ち解けた、というわけじゃないんだけれど。無駄に反発する必要もなくなり、お互い身一つで身分による柵もなくなって、クリスタは記憶なくした第一王子の面倒見ることに一念集中すればそれでいい、という気持ちになっている事が姉レティシエルに対して憎しみも嫌悪もなく、まあ別に好きでもないけど、というフラットな姿勢で向き合える態勢になった、ということなのかもしれない。レティシエルも、変に突っかかってこられなかったら別にこっちから突っかかる必要もないですしね。妹に対しての情なんてないけれど、それでも妹なんだから気にかけなくもない、というくらいの気持ちでしょうし。変に前のめりにならないあんまり温度のない関係になれたからこそ、むしろ姉妹に戻れたのかもしれないですね。
しかし、あの第一王子はなんなんだろう。記憶無くして性格変わった、わけではないかもしれないけれど、記憶ないのになんであんな行動力の塊なんだ? 記憶をなくすということは、過去をなくし自分が何者かもわからない、という有様になったということだと思うんだけれど、この人は記憶も実感もない王子という身の上に対してかなり強い責任感を持ってるみたいなんですよね。そして、過去に自分が行った行状に対しても、責任を感じているみたいで。実感もないのに、そこまでするのか。
偉いといえば偉いのかもしれないけれど。まあそれまでの歪みを解消できてまっすぐになれたのかもしれませんね。まっすぐになっても、そのやたらと煩いというか行動的なのは相変わらずですが。クリスタ、これ大変だろうなあ。好きでやってるんだろうけれど。そういう意味では、妹ちゃん報われてて良かったね。