【『ずっと友達でいてね』と言っていた女友達が友達じゃなくなるまで 3】  岩柄イズカ/maruma(まるま) GA文庫

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「ユーマは、なんで……わたしとキスしそうに、なったの?」
お泊まりでのキス事件からお互いにぎくしゃくした空気が続いていたゆいと優真。お互い自分の気持ちに気づき始めたけれど、最後の一歩を踏み出せずにいるなか、訪れた林間学校で今度こそふたりは思いを伝えることになり……。
「絶対ちゃんと、わたしから気持ち、伝えるから! ……それまで、待っててほしい……」
“ずっと友達同士”でいるはずだったふたりの関係にもついに進展の気配が訪れる――。
内気な白髪美少女と織りなす、甘くてもどかしい青春グラフィティ、完結の第3巻。


一時は打ち切りが決まるまでいったにも関わらず、奇跡的に決着回となるこの最終巻にこぎつけた糖度100%ラブコメ。ほんと、ちゃんとタイトル通りの結末まで描いてくれてありがとうございます。
GA文庫の編集さんはもう英断ですよ、ありがとうございます。

しかし、これ最終巻、このタイトルの【女友達が友達じゃなくなるまで】の最後の部分を描いているわけです。つまり、友達だった二人が恋人になる、そのまさに直前を描いているんですよね。一巻丸ごと使って。
ラブコメにおいて、もっとも糖度が高くなる時期はいったいいつになるか。もちろん、これはカップルごとに違ってくるものでしょうけれど、大まかにわけるなら、お互いに意識しだして両片思いとなり告白を考え出す時期、と見事に告白が成功して付き合いたてホヤホヤの彼氏彼女関係事始めな時期に分かれると思うのですけれど、本作はまさにその2つの時期の境目、ピーク、山頂となる告白寸前に時期なんですよね。
それも、ゆいも優真もお互い自分の気持ちを自覚した上で、相手も自分のことを好きに違いないと確信できるまでに想いが通じ合ってる時期なんですよね。そりゃ、あんな登下校中どころか勉強中ですら机の下で手を繋いだり、アナタの事がどれだけ特別で自分こんなにも意識してるんだよ、というのを言葉や態度で伝えちゃったり。
こんなん鈍感になりようがないよ! 誤解のしようがなく勘違いとするにはあまりにもはっきりした物言いで。両片思いじゃなくて、完全に両思いと認識しあっちゃってるんですよねえ。
その上で、どのタイミングで告白するかを図り合っている段階。ここまで来ると、相手の気持がわからないと不安になることもないですし、明確にもうすぐ告白しますよ、という雰囲気を出しているから、曖昧な関係性に怯えなくてもいいし、ただただ期待を膨らませてドキドキしているだけでいい、というマイナス要素が一切ない状態。その上でまだ付き合っていないから一旦のゴールにも辿り着いていなくて、気持ちは際限なく上がりっぱなしになっていくわけです。付き合っていないからこそ、恋人みたいな仕草に対して照れと「いいのかな?いいのかな?」という微量の背徳感みたいなものがあり、それでいて後ろめたさは全然ない、という……なんていうんだろう、最も糖分を煮詰めて煮詰めて水っぽさを飛ばしきった濃厚な甘さ成分だけが抽出されてるような状態なんですよねえ。
二人して、心臓がドキドキして心拍数がヤバいことになってますよ。血圧、大丈夫ですか? 鼓動が高鳴りすぎて、寿命消費しちゃってませんか? 
それくらい、もうお互いの一挙手一投足にドキドキしっぱなしの二人。

あっまーーーーい!!

これ、ほんと実際付き合いだしたらまた違うんですよ。達成感、というのかな。関係が変わって固まって、それはそれで初々しくも甘酸っぱい日々の始まりなんですけれど、関係が定まったがゆえの安定感では得られないフワフワが、この告白間際にはあるんですわ。
ほんとにねー、それが目一杯詰まってた3巻でしたよ。

優真くん、実に男らしくちゃんとシチュエーションを作り出して、一生の思い出に残るだろう告白に相応しい場とタイミングを用意したのは、ほんとエライですよ。お姉ちゃんというアドバイザーがいるとはいえ、ゆいを一切不安にさせずに最初から最後まで大切な人に対してやるべきことを全部きっちりやり遂げてますもんねえ。
でもだからこそ、半ば引きこもり状態だった自分を表に引っ張り出してくれて、普通に学校に通えるようにして、今や優真以外にも当たり前みたいに友だちができて、という状況へと手を引いて導いてくれた優真。なにもかもを与えてくれた彼に対して、告白して付き合い出すという最も大切な一歩ですらも彼に任せてしまうのは、なんか違う。と、彼からの告白を一旦遮って、自分から改めて告白したいと告げたゆいの心意気は、なんかもう素晴らしかった。そうだ、そのとおりだ、これだ!という感じだったんですよねえ。
今の御時世、男からの告白だけが決定版じゃないんですよね。男を待たせて、女性から、というのだって当たり前にあったっていいじゃないですか。何より、ゆいが優真に庇護されるだけの自分じゃなく、対等に彼を愛する恋人になりたい、という勇気と矜持の発露ですよ。素敵じゃないですか。
そんなゆいの申し出を気持ちよく受け取る優真がまた男前なんですよねえ。優しい男性ってのはこういうのを言うんだよ。
この二人が恋人になるまでを、ちゃんと最後まできっちりと見ることが出来て、幸せでした。幸せのおすそ分けをいただきました、ありがとうございます!