パーフェクトだ、イクイノックス!
【名刀】イクイノックス、開眼である。

春先は触れるものを切り裂くような鋭さを感じさせたものの、その分細身で折れてしまいそうな脆さを感じさせるものがありましたけれど、夏を経て秋に至ってからの充実っぷりはさながら真っ向から唐竹割りにして刃毀れなしのの名刀の如しでありました。

ぶっちゃけ、もう直線に入る前の4コーナーの時点で勝利を確信した人も多かったんじゃないだろうか。手応え、尋常じゃなかったもんなあ。
手応えよすぎて、道中ルメールが宥めてたくらいだし。ゴーサインが出て抜刀されたあとは、もう一直線に切り裂いて前に塞がるものあらず、ですよ。
文句なしに強かった。文句の言いようを許さないほどの勝ち方でした。おう、ドゥデュース、これ次戦うときはよほどの覚悟決めて挑まないとヤバいくらいになってるぞ。
とはいえ、今回はもうやばいくらい仕上がりが極まってましたからね。正直、ここまで見事に仕上げられるのって今後出来るんだろうかというくらい。馬の調子を整えるって、やっぱり難しいですからね。
今年のエフフォーリアや今回のタイトルホルダーを見ても分かる通り。

エフフォーリアは頑張りました。よく5着入りましたよ。牛みたい、なんて言われるくらいになっちゃってましたしね。陣営、めっちゃ頑張ってエフフォーリアに気合入れまくってたみたいだけど、馬の前向きさがねえ。いっそ、ガンガンレースを走らせた方がいいんじゃないだろうか。

タイトルホルダーはわかりません。フランス帰りの疲れが残ってたんじゃないか、なんて言われてますけれど。スタートの出は良かったし、前に飛び出してから横山和生くんがうまくペースに乗せたところではいい感じ、と思ったんですけれど、1000メートルで1分1秒越えてるくらいのタイムが出たあたりで、アレ?って感じはあったんですよね。 いや、タイム的にも思ったよりも遅かったし雰囲気的にタイホのいつものペースじゃないというか、彼のスタイルであるスピードにノリつつスタミナ任せに後ろの馬に消耗戦を強いるような迫力がなかったんですよね。逃げて粘る、という馬じゃなかったんですよ、タイトルホルダーって。それがトップスピードに乗れないまま走りにくそうにしてるなあ、と。
そうこうしているうちに、直線に入ったらあっという間に後続に呑まれて脱落。まさかの9着である。去年の5着よりも悪い。和夫くんの乗り方に問題があったようには見えなかったので、これはもう言われている通り凱旋門激走の疲れが残っちゃっていたのか。海外は難しいねえ。

と、2着はイクイノックスと同じ3歳馬。菊花賞2着のボルドグフーシュがこれがラスト騎乗の福永さんの鞍上で、見事に古馬どもを撫できっての2着。菊花賞はレベル低いレースじゃなかったんだよ! と叫びたくなるじゃないですか。レースに出なかった菊花賞馬アスクビクターモアの面目も守ってくれる走りでした。
今回、積雪の影響で関西馬の多くが輸送でトラブルに巻き込まれて、軒並み7時間以上余計に時間かかっちゃったみたいで、それでもうアカンことになってる馬もいたなかで(キミだよ、ディープボンド)、フーシュくんは大丈夫だったんですかね。大丈夫じゃなかったかもしれないけど、それでもこれだけ走れたんだからそれだけ地力あるって事なのでしょう。まだG1どころか重賞も勝ってないんですよ? まだまだ成長過程、身体も出来上がってないみたいですから、これは来年が楽しみな馬です。福永さんの気合も入りまくってたという事もあるでしょうけれど。
ただ、このままだと歴戦のシルバーコレクターになりそうで怖いんだが。

3着はジェラルディーナ。いや、3番人気は伊達じゃなかったなあ。ちょっと前まで重賞で善戦するのがいい所だったとは思えないくらい、雰囲気と格を感じさせるようになってきた。
とはいえ、今回スタートで大きく出遅れてしまったのはやはり大きかった。主導権全くないところから、とにかく良いポイントを見つめ潜り込み狙い定めて、と不利を鞍上の手腕に大きく寄って挽回していかざるを得ない展開になってしまいましたからね。
しかし、乗っていたのがクリスチャン・デムーロですよ。ほんと、出稼ぎにきた外国人騎手の腕前ときたら、とんでもないですわ。ポルトグフーシュのさらに外を回すんじゃなくて、いつの間にか内に切り込んで、空いたスペースをスーッスーと抜けて来てるんですから。それも偶々空いたスペースじゃなくて、周囲の馬の流れからここが開くだろうな、と見越してるルート選択してるのか、これ?出遅れがなくて、ポディションをもっと前につけていたら、2着3着はわからなかったですよ、これ。

4着はイズジョーノキセキ。内にピッタリとつけて走った馬の中では、この馬が一番来ましたか。岩田パパの剛腕唸る、という感じで、よくまあ2500を最後まで走らせたもんです。もし適距離ならゴール前でもっとバビューンと伸びたでしょうね、これ。鞍上も岩田パパとか和田竜二みたいなタイプが相性いいのかもしれませんね。

5着は頑張ったエフフォーリア。今年はこれが最後ですけれど、むしろエフフォーリアとしてはここがスタートですね。まずは再スタートの第一歩を踏めたという感じじゃないでしょうか。ここで一旦切らずに、そのまま立て直してなんとか春を迎えてほしいところですけれど。

6着はウインマイティー。マイティー来たんか! 前走エリザベス女王杯では馬場の悪さに泣き、今回は調教でもあんまりピリッとしてない、という話も聞いていたのですが、ばっちり入賞してくるあたりやはり地力は高いんだよなあ。出来ればもう一個、ちゃんとG2あたり勝っておきたいところ。

7着はジャスティンパレス。菊花賞3着馬はここでしたか。この馬もまだまだこれからが本番って馬ですからね。来年がどんな感じになってくるか楽しみです。

ディープボンドはここかぁ。8着。もう、なんか不運が束になって襲いかかってきた、みたいな。生涯最高の仕上がり、だったはずなのに、枠順抽選では最悪の大外枠。おまけに輸送トラブルでかなりダメージ食らったらしく、走る前になんかもうボロボロじゃないですか。
川田がおっつけて前で前で勝負に行っていたはずなんですけれど、なんかびっくりするくらい存在感を感じませんでした。2,3番手付けてたのに、居たの!? って感じでしたからね。
位置取りとしては文句なしだったはずなのですが。直線入ったあとはもうどこへいってしまったやら。
いつもなら、どこに居てもやたら存在感は発揮しまくってど迫力カマしてたはずなのに、もう今回はほんとダメでした。今回こそチャンスだと思ってたんだがなあ。

9着にタイホくん。そして10着にはジャパンカップを勝ったヴェラアズール。ヴェラはまあ参加賞でしたね。さすがにジャパンカップからここはこの馬としては辛かった。調子は下降線だったし輸送遅延の巻き添えくらった分もあったでしょう。元々、中山向きじゃない走り方っぽいですしねえ。


まあ何にせよイクイノックスです。これ、年度代表馬レースでもトップに躍り出ましたかね。春を席巻したタイホをここで下したというのも大きいですし、天皇賞秋と有馬記念を3歳で両方勝ったというのはやはり大きいですよ。何より勝ち方が強かった。
とはいえ、来年になったらタイホも立て直してくるでしょうし、エフフォーリアだって黙っちゃいないでしょう。ヴェラアズールも舞台が変わればあの閃光の差し脚は必殺技です。ジェラルディーナもまだまだこんなもんじゃない、というくらいの充実度。そして同じ同世代の連中だってドゥデュース、アスクビクターモア、そしてポルトグフーシュとさらなる本格化を迎えることでしょう。
香港組だっているわけです。
さあ、来年も盛り上がっていきましょう!

……って、だから有馬で終われば気持ちもスッキリキレイに片付くのに、なんでまだもう1日あるんだよぉ。ホープフルステークス、ほんと日程考えてくれないかな。