信長の庶子が5年ぶりに連載再開して、でも短期連載でひとまずまた終わっちゃったので、半年後のまとめ記事ではちょっと遠すぎるなあ、と思って取り急ぎご紹介。ついでに年明けから読み始めて年末の記事では取り上げられなかった作品も一緒に。


信長の庶子 (壬生一郎)

庶長子・織田信正。織田家の跡継ぎ織田信忠よりも一つ年上の男子である彼は長男であって嫡子ではないという立場にあった。
うつけと呼ばれた父、狐と呼ばれた母の子に生まれ、なんだかんだで子煩悩な両親や賑やかな家臣・弟妹・友人に囲まれながら、自身すら分かっていない歴史改編物語が始まる。
5年前に完結した傑作戦国仮想戦記だったのですけれど、今年の正月から本編完結後の後日談という形で「九尾編」がリスタート。
いやあ、やっぱり面白い。戦国モノは多々ありますけれど、この作品はちょっと別格で面白いですわ。
ほぼ天下が定まり、織田家による東日本鎮撫がはじまる直前。なんやかんやでわりと自由のきく身になっていた帯刀とその一行による東国漫遊記という風情で繰り広げられる珍道中。他の戦国モノと比べても登場人物のキャラ立ちが際立ってるんだよなあ、こうしてみると。ほぼ一月連載で終わってしまったのが勿体ない限り。また来年、連載があるかもしれないとの事なので楽しみにしております。



異世界往還の門番たち (あしはらとき)

 千年前、異世界から招かれた者達によって救われたその世界は、彼らの残した技術や文化によって歪んだ発展を遂げていた。
 転移者のひとり、高梨明人は世界間の行き来を可能とする門を秘匿するため、辺境の街で門番をしながらカレーを作ったり漫画を読んだりしながらマイペースに生きていた。しかし、皇国の第十八皇女が転がり込んだのをきっかけに、世捨て人同然だった彼は再び戦いに巻き込まれていく。

 世界と時間を行き来する門番たちの日常と戦いの物語。
これも以前に紹介したと思うのですが、しばし不定期連載になっていたのが今年に入ってまた連載が再開したので再び紹介。
現在、地球サイドに戻り、異世界側からの侵入に世界規模で対応しなきゃならない状態になっていて、これがまた緊迫感増し増しで面白くなってるんですよね。地球側の登場人物も来瀬川教諭を筆頭に非常に面白いことになってますし。



智慧の貪狼 〜魔道学者は珍能力者を集めて魔窟を攻略する〜 (むしろう)

これはナーロッパ世界のしばらく後、魔導文明の弊害で工業化の遅れた19世紀初頭相当の世界に送り込まれた技術者のお話。
金属加工の能力を授かったものの、ファンタジー度が妙に低い。不思議な金属もなければ、便利な道具が魔法で創造されるわけでもない。
自分で設計してドラフターで手描き図面を引いてインチネジの製造から自分でやらなければいけない。そんな世界での開発と製作、そして冒険と打ち上げのお話。
まだ読み始めて序盤も序盤なんですが、まあ頑張ってDIYーDo It Yourselfレベルかな、というのが大半なのが科学技術系の知識・能力スキルの異世界持ち込みモノですけれど、これは自重なしのガチ技術系だわわー。
ただあんまり専門レベルの知識で大系を構築していく話になると物語としての体裁が後回しになってしまうパターンもありがちなのだけれど、本作は登場人物達の言動も軽妙洒脱。どこか頓狂で愉快なコメディタッチのノリでスピーディーに描かれていくのでお話としても面白い。
取り澄ました女性エルフのドクター、この人基本クールビューティーなんだけどときどきめっちゃ可愛くなりますよね!


『Utopia・online』 〜TS獣人少女は、デスゲームの世界で最凶の悪役になる〜 (虎馬チキン)

辛い現実になんて戻りたくない。
ずっとゲームの世界で生きていたい。
恵まれない者なら誰もが一度は抱く願いを、本気で叶えようとした少女(?)の物語。
デスゲームと化したゲーム世界に閉じ込められたプレイヤーたち。彼らは大切な人の待つ現実世界に戻るために、生命を賭してゲームのクリアへと挑む。しかし、現実世界に辛く苦痛に満ちた地獄のような日々しか待ち得ない者が居たとしたら、彼らは果たして現実に戻ることを良しとするだろうか。
主人公は、死物狂いで現実という地獄へと自分を引き戻そうとするプレイヤーたちと対立することになる。それが同じ人を手に掛け、多くの人の戻りたいという願いを踏み躙る悪の道になろうとも。
一等輝くピカレスク小説だ。



スペースオーク 天翔ける培養豚(日野久留馬)

スペースオークは宇宙のオーク。
豚っ鼻の略奪者。
宇宙きっての狼藉者。
今日も今日とて、ひと暴れ。
宇宙の略奪種族であるオークの戦士カーツを主人公に描かれるスペースオペラ。ってかこれ、オークのみならず、種族問わずエースが駆る戦闘艇ってグラップラーシップじゃん!! いや、さすがにその戦闘艇に取り付けた腕で格闘するわけじゃなく、各腕にそれぞれ独自の切り札としての武装を装備して、というスタイルなんだけど、腕がついた宇宙船となるとやっぱりグラップラーシップを連想してしまうお年頃なのです。
宇宙オークの社会体制や、スペオペらしい宇宙の壮大かつ混沌とした情勢など色々と読み応えもありますし、ヒロインもオークプリンセスとしてちゃんと可愛く存在感のあるキャラが揃っているので、これは面白いですよ。まあヒロイン、お姫ちゃん以外殆ど人妻な気もするが!