【薬屋のひとりごと 10】 日向 夏/しのとうこ ヒーロー文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス
シリーズ累計1200万部突破!妖怪!蝗害!災害!西都に呼ばれた謎!最新10巻はドキドキとワクワクの波状攻撃が止まらない!

無事に西都に到着した猫猫。
環境は変化しても仕事は相変わらずで、薬屋として、また医官手伝いとして働いていた。
どこに行っても呑気なやぶ医者に、何を考えているかわからない新人医官・天祐。
猫猫は、壬氏の火傷が二人にばれないようにとひやひやしながら西都での日々を過ごしていた。
壬氏もまた皇弟として政務をこなす毎日だが、西都側は壬氏を名前だけの権力者として扱っていた。
そんな中、猫猫は農村部を視察するために連れて来られた羅半兄とともに農村へ行くことに。
視察するにあたって、かつての羅漢の部下・陸孫が動いていることに気付く。
彼は、中央とは異なる農村部のやり方に疑問を持っていた。
一方、かつて起こった大蝗害の生き残りの老人と出会うのだが-----。




おおっ!? 本作【薬屋のひとりごと】ついにアニメ化ですか! アニメ化の報を聞いて積んでいたのを読んだわけではなく、ほんとに偶々長らくぶりに続き読んでいたのですが、これは楽しみだなあ。
さて、本編の方はというと、壬氏様のお供で玉葉后の故郷である西都へと赴いた猫猫。そこで、極秘に蝗害の予兆となるものを探すことになるのですが。
玉葉の異母兄であり今西都を治めている玉鶯がまたクセモノというか食わせ者というか。いまいちどんな目論見を抱いているのかがわからないのが不気味なんですよね。領民の人気は高いものの、それって名君として素晴らしい治世を敷いているから、というわけじゃなくて、バラマキとその人当たりの良さで人気を集めているだけで実際の治世はというと、どこかしら歪さを感じさせるんですよね。
旧来から続く伝統的な行事や考え方を取っ払うことで蝗害の原因であるイナゴの大量発生の遠因を作っているようにも見えますし。ただこれ、無知による意図しない災害なのかというと、もしかして意図的に何らかの災害を起こそうとしているんじゃないか、という節もうかがえるんですよね。むしろ、蝗害などに関する知識は、風の民の知識を通じて深く握っているんじゃないか、と考えることも出来ますしね。果たして、彼が一体なにを考えているのか。そのあたりの詳細が読めてこないだけに、不気味さはますばかり。とかく、人気取りに関しては辣腕と言ってもいい手際なのが胡散臭さを助長させてるんですよねえ。
こうしてみると、壬氏さまって食わせ者に見えてこの人、実直で不器用と言って良いタイプなのかも。いや、策士と読んでもいいくらい頭もいいし、手練手管も駆使することができるはずなんだけれど、変な所で無私で欲がなかったり、ひたむきなくらい誠実だったりするの、あんまり政治家には向いていないのかも、とすら思ってしまう。今回だって、貧乏くじを引くのを覚悟して蝗害の被害を減らすために奔走し、その手柄や成果を持っていかれるのも承知した上で被害回避のために動いていましたしね。
そんな壬氏さまのために猫猫が憤っていたのはちょっと新鮮でしたけど。猫猫がこういう件に関しては働きに対しては正当に報われるべきだという公平さを尊ぶからこその憤りというのもあったかもしれないですけど、壬氏さまを蔑ろにされていることにオコなのだとも思いたいところですよねえ。
なのに、直接壬氏さまを慰めてあげたり、餌をあげたりしないつれなさが猫猫なのですが。いや、もうちょっとご褒美とは言わないけれど、優しくしてあげてくださいよ猫猫さん。ガチで袖にされてて、壬氏さま愕然としてたじゃないですか。猫猫的にも壬氏様への感情に関してはそろそろ思うところあるみたいなのに、本気で照れ隠しとかじゃなしに、構ってオーラ出している壬氏様相手にふいっと興味なくしたみたいにどっか行っちゃうのは、あれガチで猫、にゃんこみたいな所ありますよねえ。
一方で、壬氏さまの火傷の跡を見る度に、猫猫がこの人の尻の皮引っ剥がして貼り付けてやりたい、とウズウズしてるの、壬氏さまがなまじやたらと顔がイイのと相まって、なんか絵面を想像してしまうと面白すぎてやばかったんですけど。いや、猫猫さん一度ならず何度も何度も、尻の皮引っ剥がしたい引っ剥がしたいっと繰り返し内心でウズウズしてて、そんなに壬氏さまのお尻の皮引っ剥がしたいのかよ、とw 火傷の治療のため、というのはわかってるんですけどね。猫猫の場合、そんな壬氏さまを思って、とか殊勝な事考えてのことじゃなくて、ただ尻の皮引っ剥がして貼ってみたいとかそんなだろうしなあ、と思うと尚更にw
壬氏さま、貴方が右往左往しながら口説き落とそうとしているその女、内心で貴方の尻の皮のことばかり考えてるんですよ?
ただまあ、そろそろガチで外堀も埋められつつあるっぽいんですよねえ。水蓮さんもそのつもりで動いてますし。前巻で壬氏さまに目の前で焼印自分で押すのを見せつけられた時点で、もう後戻りできない立場になっちゃったはずではあるんですけどね。
ぶっちゃけ、ここまでほぼ決定的な展開に持ち込んでおきながら、未だグズグズしている壬氏さまも大概なんですよね。いや、猫猫が強敵すぎる、というのもあるんでしょうけれど。
馬閃くん、君の上司は顔の良さほどには色恋での女の口説き方とかうまくないですからね!? ぶっちゃけ下手くそですからね!?
むしろ、不器用ながらも直接面と向かってプロポーズした君の方が上等です、うん。
いや、まさかちょっと前までは高嶺の花過ぎてどうしようもなかった里樹妃への想いが、里樹の妃位からの失脚によってこんな風に成就しようとは思わなかった。里樹さまも、妃の立場ってほんと荷が重いというか、いろんな思惑が絡まりすぎて本人置いてけぼりになっているのに嫌がらせやらなにやらしんどい目にばかりあっててずっと不自由に辛い思いしてましたからね。その素朴で穏やかな性格は後宮の荒波をスイスイと泳ぎ切るには似合わないものがありましたからね。むしろ立場を失って伸び伸びと解放されたようになってて良かったです。

あと、今回やたらと目立っていた羅半兄。誰にも本名を読んでもらえない羅半兄。この人、猫猫の従兄弟になるんですよね。もうちょっと優しくしてやれよw
ただ普通普通と連呼されるわりに、かなりキャラ濃いですよ? ある意味、羅半よりもうキャラ立っちゃってるんじゃないだろうか。にも関わらず、名前を名乗らせても貰えず羅半兄と各人から呼ばれ続けている不憫の人。こういういじられ系でありつつやたらとツッコミが冴えわたる人は、こういう扱いになっちゃうよなあ。しかし、この蝗害の危機に際してはこの人がもっとも重要な役割を担いそうなんですよね。輝け普通の一番星!