【Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 07】  之 貫紀/ttl エンターブレイン

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ついにタイラー博士とダンジョンの本体と思しき存在に接触した
芳村と三好のDパワーズ二人は、ダンジョンの目的を聞かされて頭を抱えていた。
そこへ、他探索者によってスキルオーブ〈マイニング〉が取得されたニュースが飛び込んでくる。
〈マイニング〉の使用規定への施行が間に合うか微妙な状況に焦る芳村たちは。
契約探索者として雇った三代絵里と、鉱物化学者の六条小麦を連れて碑文が記した
層へと向けて代々木ダンジョンに潜る。

そうしてたどり着いた21層で驚愕のドロップが!!




おお、なんかタイトルのDジェネシス→ダンジョン創世記というのが迫真を帯びてきた第7巻でありました。
無限増殖するモンスターを殲滅するために、横浜ダンジョンで起爆されたアメリカ軍の核反応弾の爆発に巻き込まれた芳村と三好。いやこれ自衛隊にサイモンのチームまで諸共にガチで殺されかけたんだから、もっと怒ったりなどマイナスベクトルの感情を沸々と吹き上げてもおかしくないだろうに、この二人ってばサバサバしたもんで。それ以前にタイラー博士と対面したり、ダンジョンの意思とも言うべきデミウルゴスの事などえらい情報を手に入れてしまったというそれどころじゃないモノを抱えていたから、というのもあるけれど。
尋常でない力を持ってしまいながら、その力に振り回されずにブンブンと自分たちで振り回しているあたり、彼ららしいなあと和んだり。いや、和みはせんが。
この二人にとって、手にした力というのは研究対象と研究を実践するために利用するもの、という以外ないんでしょうね。その力を持って自分たちの欲望を叶えようというわけでは……いや、ものすごく欲望全開に振る舞ってますけれど。その欲望が全部知識欲、調査欲、検証欲に偏っているだけで。
想像を絶する大金を手に入れても、ひたすら研究のためにつぎ込んでるばかりですもんね。いや、拠点を快適にするために際限なく金銭つぎ込んだりもしてますけれど。

ともかく、アメリカの一部の暴走に対して報復を企図したり、なんて事にかまけたりせず、新たに入手したデミウルゴスの話から手繰り寄せた新たなダンジョンの可能性の検証にひたはしるDパワーズ。
手にしてしまった厄介な情報の取り扱いについては、知らん、丸投げだい! とばかりにJDAの担当の鳴瀬さんに放り投げて、あとは知らんぷり。賢い。あまりにも信じがたい内容を、わざわざ信じさせようなんて無駄な労力を費やさず、取り敢えず知ってしまった事は知らせるけど、その情報をどう取り扱うかはお任せします、と丸投げしてしまえば、そりゃああとは関係なくなりますよね。
……なるはずないだろ!!

しかしこれ、ダンジョン、想像以上に自由というか融通無碍というか。観測するまでは一切形も内容も固定されてないって事なのか。逆に言うと、観測の仕方によってはいくらでも自由に形を決められるって事なんですよね。ダンジョン探索者としてはど素人、だからこそ一切の先入観を持っておらず、芳村たち以上の研究調査バカという六条小麦さんを連れ立ってダンジョンの奥に連れていったことで、これまでとはまったく異なる形で未踏達領域のダンジョンの観測がなされていくことで、Dパワーズの検証は格段に進んでいく、進んでいってしまう。
てかこれ、現代の金鉱山。無限の資源鉱脈じゃないですか。金属ドロップもランダムならともかく、これなら各層に指定された金属、貴金属、レアアースが湧き出ることになるんですから。
おまけに、先日から進めていたダンジョン内での農作物の生産も、ついに成功。ってか収穫して短期間でリポップって、食料も無限湧きさせられるってこと!?
もちろん、それだけで食糧問題が解決するわけでもなく、飢餓問題ってのは純粋に食料が量的に足りないのじゃなくて、必要とされる場所に必要な量が届けられない事が問題の多くを担っているわけですし。また供給バランスが崩れることで、ダンジョン内で農業してもその供給バランス如何によっては豊作貧乏じゃないけれど、流通コストとの兼ね合いが出てくるだろうし。でも、食料が無限に尽きない可能性ってのはやっぱり世界にとって劇薬なんだよなあ。
三好たちが狡猾なのは、特に食料生産の情報については独占するのではなく、いきなり全面開陳じゃないけれど、いずれ周知の事実になるように取り扱ってる事なんですよねえ。いまさら三好たちを口封じしたからといって、この情報はもう消え去ることはない。
まあ三好たちに危害を加えられる存在は、現状この世界にはいないのですけれど。ガルムたちが警備についている以上、Dパワーズに手出しできないのは既に世界各国の諜報機関が彼らに手を出そうとして片っ端から返り討ちにあって、それもどうやってやられているか全くわからない有り様で、とっ捕まって送り返されている状態からも明らかで。
いや、あの召喚術は強力すぎますよ。ってか、召喚獣たちもこれ召喚者のイメージによって誕生してるんですねえ。とうとう、喋る個体まで出てきちゃいましたし。なんでかこの喋る個体、アヌビスくんが一番残念に見える不思議w 喋らない他のワンちゃんたちの方がなぜか賢く見えるw

ともあれ、これらの件でバイオメジャー、穀物メジャーの覇権は一気に砂の城となりかねず、ダンジョンを取り巻く世界の情勢は、激動を迎えつつ在る。
他の一般の探索者が真面目に深層へ深層へと潜ることで冒険を、未知の発見を、と勤しんでいる中で
Dパワーズの周辺を中心に話のステージそのものが別物になってきてるんですよね。
なんかもうダンジョンそのものが、資源鉱脈そのものになりつつあり、またスポーツ選手がダンジョン内でトレーニングをすることで既存の人間の枠組みを超えた身体能力を手に入れる事例が、これまたDパワーズの育成メニューによって証明されて、それこそ人類の新たな進化みたいな所まで踏み込みはじめている。
こういう世界を革新するようなことを、この芳村と三好の二人はほんと気軽に好奇心の赴くままに、ポンポンと見つけて検証してあっちこっちにばら撒いて、さらに自由に調べ周り、とうんこれもやりたい放題の一種だよなあ。
創世記というにはあまりにも厳かさが足りてないフリーダムなジェネシスだw