【高嶺の花には逆らえない ２】 冬条 一／ここあ ガガガ文庫
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夏は少女を変える――
新との騒動が解決し、夏休みに突入する。恋愛面でなかなか行動に移せない葉に対し、友人の文也は「アルバイトでもしたらどうだ?」と助言をする。あいりとデートをするにも、身だしなみを整えるにもお金が必要になるからだ。近所のファミレスで働くことになった葉は、そこで可愛いファミレスの制服を着たあいりと遭遇する。どうやら、“たまたま”あいりも同じ店でバイトを始めたようだ。二人の距離はどんどん縮まっていき、落ち込んだ姿を見せる千鶴。その様子を見て心配した美紀が、“あること”を千鶴に伝えるのだが――。ヒロイン達が暗躍する、新感覚ラブコメ第2弾!
新は、一巻の終わりであんな風に葉に助けられて、それでも何も感じなかったのかこいつ。何かしら心に来るものがあって然るべきだろうに、むしろ屈辱を感じ敵愾心を募らせている。ちっぽけで卑しいプライドだぜ。ここまでクズで器の小さい人間では、もう救いようがないのかな。心いれかえるチャンスを盛大に溝に捨てているんだろう、こいつ。
しかし葉も、事実かもしれないけれど「可哀想なやつなんだよ」はなかなかの上から目線ですよね。いや、こんなやつ上から「可哀想なやつめ」と見下してやるのが筋と言いたくなるようなやつなので別に構やあしないとも思うのですけれど、葉の場合はいつも本気だからなあ。
新はそこまで寄り添うべき人間なのか？ 現に新は武田さんをひどく侮辱し踏みにじろうとしていた。葉を煽るためとはいえ、心の底からそういった外道を当たり前に出来る男に対して、直前まで憤怒していたにも関わらず、手のひらを返したように気遣ってしまえる葉は優しいんだろうけれど、彼自身自覚しているようにどこか欠けている部分があるのかもしれない。
何より、そんな新と立花さんが付き合っているという件に関してすごく消極的なんですよね。いや、付き合っていると思っている立花さんに対して好意を隠さずアプローチ紛いの事をしてたり、告白したり、というのは充分積極的なのかもしれないけれど。
でも、自分の大事な人が人間のクズと付き合っているということに対してえらく危機感がないんですよね、葉って。それだけまだ、あれだけの事をされてまだ、新の事を信用しているという事なのか。立花さんの判断を信用しているということなのか。
何れにしても、あまり人を見る目がないんじゃないだろうか、と思わされる所はありますわね。
そして立花あいりである。この娘にとって今、一番重要なことは何より優先スべきことは、新を完膚なきまでに叩きして根切りにすることらしい。そのためならば、折角葉がしてくれた告白をにべもなく断るほどに。いや、にべもなくというほど冷たくはないけれど。
はたして、それは立花あいりの復讐のためなのか。或いは葉と比べ物にならないほど新という人間に対しての危機感が強く、もはや二度と立ち上がれないほど、社会的に復帰できないほどに抹殺しておかないと、将来必ず害を成してくると確信しているからなのか。
でも、立花あいりが葉くんの気持ちを置き去りにしているというのは間違いない事実なんですよね。あれだけの好意を、あれだけの想いを、ケアもせずに放り出している。
たとえ将来の葉のためだとしても、今現在の葉は確かに傷ついている。
そんな今の葉に、武田さんは付け込んだ、と言うのは今までの彼女の努力と研鑽と我慢と忍耐を思えば、誹謗のたぐいになるだろう。
武田さんは決してタイミングを見計らっていたわけじゃない。最初から葉に宣言をかまして、ずっと正面から向き合い続けていただけなのだ。ずっと頑張って、葉に振り向いて貰えると自分で自信を持って言える自分を作り上げることを成し続けていただけなのだ。
気持ちが変わるのは、あくまで葉の側の話である。そして彼は、武田さんの努力を一番間近で見続けていた人間であり、彼女の汗の意味を誰よりもわかっていた男である。
彼女の努力が花開いた瞬間を前にして、どうして心動かずにいられようか。それがすべて、自分に想いを伝えるためだと理解したら、尚更である。
真摯である。一途である。決して隙間を狙ったわけじゃない、真っ向勝負の正面突破だ。
立花あいり、貴女のライバルは最初から最後まで１点を見つめ、そこに集中し、脇目も振らなかったぞ。貴女は、それにかまけていて本当にいいのか？
もし胸を張って、そうだと言い切れるのなら、それが一番大事と思うのなら。うん、やり通せば良い。それもまた誇るべき貴女の選択だ。
しかし葉も、事実かもしれないけれど「可哀想なやつなんだよ」はなかなかの上から目線ですよね。いや、こんなやつ上から「可哀想なやつめ」と見下してやるのが筋と言いたくなるようなやつなので別に構やあしないとも思うのですけれど、葉の場合はいつも本気だからなあ。
新はそこまで寄り添うべき人間なのか？ 現に新は武田さんをひどく侮辱し踏みにじろうとしていた。葉を煽るためとはいえ、心の底からそういった外道を当たり前に出来る男に対して、直前まで憤怒していたにも関わらず、手のひらを返したように気遣ってしまえる葉は優しいんだろうけれど、彼自身自覚しているようにどこか欠けている部分があるのかもしれない。
何より、そんな新と立花さんが付き合っているという件に関してすごく消極的なんですよね。いや、付き合っていると思っている立花さんに対して好意を隠さずアプローチ紛いの事をしてたり、告白したり、というのは充分積極的なのかもしれないけれど。
でも、自分の大事な人が人間のクズと付き合っているということに対してえらく危機感がないんですよね、葉って。それだけまだ、あれだけの事をされてまだ、新の事を信用しているという事なのか。立花さんの判断を信用しているということなのか。
何れにしても、あまり人を見る目がないんじゃないだろうか、と思わされる所はありますわね。
そして立花あいりである。この娘にとって今、一番重要なことは何より優先スべきことは、新を完膚なきまでに叩きして根切りにすることらしい。そのためならば、折角葉がしてくれた告白をにべもなく断るほどに。いや、にべもなくというほど冷たくはないけれど。
はたして、それは立花あいりの復讐のためなのか。或いは葉と比べ物にならないほど新という人間に対しての危機感が強く、もはや二度と立ち上がれないほど、社会的に復帰できないほどに抹殺しておかないと、将来必ず害を成してくると確信しているからなのか。
でも、立花あいりが葉くんの気持ちを置き去りにしているというのは間違いない事実なんですよね。あれだけの好意を、あれだけの想いを、ケアもせずに放り出している。
たとえ将来の葉のためだとしても、今現在の葉は確かに傷ついている。
そんな今の葉に、武田さんは付け込んだ、と言うのは今までの彼女の努力と研鑽と我慢と忍耐を思えば、誹謗のたぐいになるだろう。
武田さんは決してタイミングを見計らっていたわけじゃない。最初から葉に宣言をかまして、ずっと正面から向き合い続けていただけなのだ。ずっと頑張って、葉に振り向いて貰えると自分で自信を持って言える自分を作り上げることを成し続けていただけなのだ。
気持ちが変わるのは、あくまで葉の側の話である。そして彼は、武田さんの努力を一番間近で見続けていた人間であり、彼女の汗の意味を誰よりもわかっていた男である。
彼女の努力が花開いた瞬間を前にして、どうして心動かずにいられようか。それがすべて、自分に想いを伝えるためだと理解したら、尚更である。
真摯である。一途である。決して隙間を狙ったわけじゃない、真っ向勝負の正面突破だ。
立花あいり、貴女のライバルは最初から最後まで１点を見つめ、そこに集中し、脇目も振らなかったぞ。貴女は、それにかまけていて本当にいいのか？
もし胸を張って、そうだと言い切れるのなら、それが一番大事と思うのなら。うん、やり通せば良い。それもまた誇るべき貴女の選択だ。
