【百花宮のお掃除係 8 転生した新米宮女、後宮のお悩み解決します。】  黒辺 あゆみ/しのとうこ カドカワBOOKS

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雨妹、先輩デビュー! 生き急ぐ少女に、掃除と楽しい生き方を伝授します!

『事件に好かれる子』と不名誉な認識をされつつある雨妹(ユイメイ)は、今度は街中で怪しい風貌の2人組に遭遇してしまう。皇帝に会いたいとただならぬ様子で訴えてくる彼らは、阿片騒ぎに関与している東国から逃げてきた要人のようで……?

宮廷に身を隠すことになった2人――奴隷のダジャと男装少女の静(ジン)。静は雨妹の後輩として宮女を勤めるが、幼さ故か、怒りや使命感に呑まれて生き急いでいるように見え……雨妹が人生2周目の先輩として、楽しい生き方を伝授します!

あああ、そう絡んでくるのか!
前巻での琵琶師・許子の恋人の朱仁が一時死亡認定され、記憶喪失状態で発見された一件。あれは朱仁が派遣された東国国境地帯で何か見てはいけないものを見てしまって、その際に大怪我を負って記憶なくしてたんですよね。その際に、その東国との国境線である苑州の要人と思しき子供に朱仁がこっそり逃してもらった、という話を聞くだに一体何があったのかよくわからない状況だったのですが、新たに苑州から逃れてきた少女とその護衛役である異国人の組み合わせと、雨妹が出会ってしまったが為に色々と発覚したわけですが……うん、雨妹はほんとここぞというタイミングで大事件を持ち込んでくる人を拾ってくるよなあ。
後宮の外に出る度じゃないですか?
まあ雨妹の場合、いつも単独じゃなくてちゃんと証言してくれる保護者というか責任者みたいな立場になり得る人と一緒に、そういう事件の引き金に遭遇するので、勝手にやらかして偉いことになる、ということはないんである意味安心感はあるのですが。
ほんと、報連相しっかりしてますしね。というわけで、何かと事件を呼んでくる事になりますけど、言い方を変えれば偉いことになる前に最速で必要な情報を持つ人を、その情報を必要としている人の所まで連れてくる、という事で助かることこの上ないんだよなあ。勝手な判断しないし。
しかし、ここで聞くことになった苑州の状況がちょっと想像の遥か上、いやこの場合は下というべきなのか。ともかく、思ってたどころじゃない酷いことになっていて、ほんとどうしてこんな事になっているのに中央に殆ど情報が届かなかったんだろう。ほぼ隣国に乗っ取られてるってことじゃないですか。
逃れてきて救援を求めに来た何静にしても、彼女本来なら公主…お姫様な立場のはずなんですよね。にも関わらず、領主の一族に相応しい生活を今まで何もさせてもらえてこなかった、どころの話ですらないわけだ。領主の一族の扱いじゃないだろ、これ。
にも関わらず、静静たち姉弟はその責務だけは果たそうとしている。これは陛下の出征もやむなしか。
取り敢えず何静ちゃんを雨妹のもとに隠したのは良判断でしょう。まさか宮女やってるとは思わないでしょうし、何より雨妹ほどこういう場合信頼できる相手も居ませんしね。陛下や李将軍など上の連中の信頼感がうかがえるというものです。身柄の安全だけじゃなくて、雨妹なら静ちゃんの事絶対寂しがらせないですし、歪な形で育っていた静を真っ当で健全な子供に戻してあげたい、という陛下をはじめとした大人たちの想いがあって、雨妹ならと任せてくれたわけですしね。
雨妹としても初めて自分が世話する後輩が出来て、色々と張り切っておりますし。いやしかし、本当に普通に一段階出世したな雨妹。特別措置とかでもないでしょ、これ。後輩を世話する、つまり部下を一人つける、という形にするには出世させないと、という建前があったにしろ。
雨妹としては出世は全然望んでないと思ってたけれど、これくらいの昇進ならばっちこいなのか。
ってか、雨妹ってば後輩が出来たというより妹……いや、娘が出来たような包容力だよなあ。さすが元おばちゃんw

でも、静ちゃんの件は陛下サイドと太子サイドは情報共有はしてないんですね。それだけデリケートな問題というのもあるけれど、明賢兄ちゃんには知らせてないのか。立勇などから聞いて薄々兄ちゃんも状況を察しているみたいだけど。
ともあれ、これはもう戦争は必至だろうなあ。後宮にいる雨妹が直接関係することではないかもしれないけれど、皇帝陛下が出征するとなると陛下や太子と対立する皇太后・皇后勢力がまた好き勝手しはじめるんじゃないか、とちょっと心配になる。
ちょうど前半の猫騒動の話では、皇后がまたいらんことして大いに揉めることになってましたしね。雨妹と鈴々、そして宮女に化けてうろついていた黄美蘭徳妃の三人の活躍によって、大事になる前にうまいこと収まりましたけれど、陛下が皇后に釘を刺しにきたように実際大事になりかけてたんですよねえ。
これ、陛下としては絶対に面白くないはずなのに、実効性のある制裁を加えられていない、というのはなかなか深刻なんですよねえ。皇后の陰謀って雑もいいところ、という評価で一致しているんだけれど、にも関わらず陛下は彼女らの影響力を排除できていない。厳然とした権力が根を張っているわけだ。ここ最近、陛下が精力的に行動しはじめて抑えに掛かっているけれど、未だ完全にねじ伏せるという所には行ってないという事なのよね。太子の現在の力では、なかなか手出ししにくいだろうし。
この状況下で皇帝陛下という重石が出征によって抜けてしまう、というのは結構怖い気がするんだよなあ。
一方で、黄家から来てる才姉さんと美蘭。この二人の徳妃が非常に頼りになり、また味方として振る舞ってくれる、というのが実感としてわかる回でもありました。特に美蘭はお妃さまなのに宮女としてあっちこっち自由に出没するので、わざわざ面倒な手順踏んでこちらから面会にイカなくても、普通にその辺で会えたり遊びに来たりしてくれるんですよね。何だかんだと黄家のお姫様ですし、太子の徳妃なので後宮内での発言権もありますし、行動力の塊で頭の回転も早く、雨妹の友人として義理堅く世話好きで助けてくれる、というありがたい人でありますしね。
いや、これまでも色々と贔屓目に助けてくれる後宮内の偉い人、妃さまはいましたけれど、美蘭と仲良くなったのはかなり大きいよなあ。
……にしてもこの後宮、止事無い方々が普通にそのへんを下級宮女とか宦官の格好して自由にうろついてるんですよね。皇帝陛下とか武官の偉いやつとかお妃様とかw