【世界救い終わったけど、記憶喪失の女の子ひろった 2】 龍流/紅緒 TOブックス

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「なんで同じ顔……?」魔王の復活阻止から数か月、王都へ帰還途中のパーティーを襲ったのは──髪型と服装が違う賢者ちゃん!?昔、固有魔法で増やしたコピーが、オリジナルを乗っ取り【殺し】にきたのだ。得意の魔法も封じられ瞬く間に攫われた彼女を救うべく、隠居勇者が動き出す。見つけ出したはいいが、いつも冷静で毒舌の彼女が、何故か悶え死にしそうなうえ、愛の告白(?)までしてくる異常事態に。助けるしかないのだが……コピーにもとんでもない事情が!手がかりは、“ダブル賢者”の過去「エルフの里」に秘められていて?「この世で最も厄介な敵は自分自身ですねぇ」リライフ・ファンタジー第2弾開幕!

賢者ちゃんのお話。
天才魔術師であると同時に「増えるワカメ」ならぬ増殖という「魔法」。彼女単独唯一無二の力を先天的に備えてしまった賢者ちゃんのお話である。
魔王を倒し世界を救った勇者とその仲間たち。この作品は、その世界が救われたあとの救った勇者たちのその後を描いた物語であるのだけれど、今回はその中の賢者ちゃんのお話なんですねえ。
ってかこれ、今後仲間の一人ひとりにスポットを当てていくという事なんだろうか。いいね、いいですね。わりと一巻の段階で仲間全員ちゃんと掘り下げて、それぞれの勇者くんへの愛の形を描いてくれたと思うのですけれど、そうかー……一巻では新しく出会った赤髪ちゃんが恋をして、それが何れ愛になっていく、最も幼い愛のはじまりを描いたとも言えるお話でしたけれど、さながら2巻のそれは賢者ちゃんとの出会いの物語であり、勇者くんの勇者として助けたい人を助けられなかった挫折の物語でもあり、彼の後悔が形となって現れるお話でもあったわけだ。
何より、賢者ちゃんの今の誰よりも多い愛がはじまる、恋の芽生えの物語。

まあこれね、言わば遠くに置き去りにしたはずの過去が、それこそ自分達の姿かたちを取って追いかけてきたようなものなんだけれど……後始末ってわけじゃないですよねえ。精算ってのも違うだろう。
だってさ、これは世界が救われたあとの話で、大まかに言ってハッピーエンドって言っていいと思うんですよ。勇者くんは魔王に呪われてしまって色々と苦労しているけれど、決して将来を悲観しているわけじゃなく、仲間たちとの関係もギスギスしてしまっているわけでもなく、赤髪ちゃんという新しい仲間も加わって、ハッピーエンドのその先でさらにハッピーな愛の物語を繰り広げているわけです。
そんな中で過去から追いついてきた罪だか後悔だかが、我が物顔して悲痛顔して痛みを撒き散らして、悲しみをぶちまけて傷跡に新しい傷をつけて去っていくような、バッドエンドなんて許されざるですよ。死霊術師さんじゃないけれど、ここに出てくる人たちは粛々と運命を受け入れるような殊勝な人は一人も居ない。色んな意味で我儘で、わが道を行く、我が意思を押し通す連中だ。
おまけに今回は世界を救った勇者くんだけじゃない。たった一人の女の子のために戦う勇者くんまでいる始末。こんなん2倍じゃなくて2乗でしょ。向かう方向は違っても、それは正しく同一人物。増えるワカメならぬ増える勇者はどちらが偽物というわけじゃなく、どちらもが本物だ。
敵であろうと味方であろうと勇者は勇者、彼は彼。しかし彼らはもう別人で、全く異なる違う人間で、それでもなお勇者であることだけは変わらない。

いやー、しかし賢者ちゃん、生き方違うとこんなに素直で可愛らしい女の子になってしまうのか。そりゃ賢者ちゃん可愛いよ? 可愛らしいよ? でも、素直とは程遠いですからねえ。どちらがイイ女かについては議論百出あるだろうけどね。
ネオ勇者くんとネオ賢者ちゃんのねっとりイチャイチャがそのまま賢者ちゃんのダメージになるのはワラタ。いや、君も勇者くんのこと好きだと公言してるんだから、もうひとりの自分がベタベタしている姿にそんなダメージ受けんでも、と思うのだけれど、自分の姿だからこそまあキツイかあ、キツイよねえ、そんなん見せられては鳥肌ゾワゾワしますよねえw
しかし、後輩となる赤髪ちゃんが現れるまで、賢者ちゃんってパーティー内では末の妹ポディションだったのか。いや、赤髪ちゃん相手にお姉さん風吹かせられるほどおっきくはないので、末妹なのは変わらないかもしれませんけれど、意外と甘えん坊な立ち位置だったのねえ。

あと、死霊術師さんが完全に全裸の変態枠で固定されてしまったんですが。今回ほぼ簀巻き全裸のままでしたし、周りからの扱いも全裸の変態扱いで一貫したままでしたし。美しい愛とはいったい……w