【処刑少女の生きる道(バージンロード) 8.フォール・ダウン】  佐藤真登/ニリツ GA文庫

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消える記憶、消えぬ想い――。

逆襲、加速。
最後の【使徒】である【星読み】を目指し、遺跡街に潜入するメノウ一行。
そこに現れたのは、千年前に死んだはずの四大人災、【星】の迷い人・星崎廼乃だった――!
彼女が彼女を殺すための物語、混濁の第8巻。


ハクア打倒の鍵【星骸】を求め、メノウたちは古代文明が遺した巨大ジオフロント『遺跡街』へ侵入する。そこで待っていたのは、導師『陽炎』すら殺しきれなかったという最強のテロリスト・ゲノム、そしてミシェルの配下となったモモだった。
白夜の結界を越え、原色のバグと化したゲノムに呑み込まれはじめる『遺跡街』。そんななか、メノウたちの前にひとりの異世界人が現れる。
「ボクこそが世紀を超える天才美少女ノノちゃんだぞ☆」
【星】の迷い人、四大人災・星崎廼乃。1000年の時を超えて現れた彼女が語る【星骸】の真実とは――。
北の大地に星が降る。彼女が彼女を殺すための物語、混濁の第8巻!
今までずっと表紙を飾ってたのはメノウ一人だったのだけれど、今回はじめてメノウ以外の仲間が表紙絵に出たよ。
……アカリでもモモでもなく、よりにもよってサハラかよ!!w

いや、今回は主役はサハラと言って良いくらい頑張ってたから、別に表紙絵を飾る事になんの文句もないんだけど。でも、モモとアカリを差し置いてお前かよッ、とは思っても仕方ないかと。
だってサハラだし!
今回も前半は思いっきりサボってたでしょ、こいつ。後方で腕組みしてしたり顔でなんにもしてないだけだったでしょ。なぜかそれでやけに大物感を醸し出して敵さんがたをビビらせまくっていたので、妙に役に立ってはいたかもしれないけれど、でも単にサボってただけだろお前w

とはいえ、今回は本当にサハラが頑張っていたのは本当で、もうサハラ史上最高の仕事をしてみせたんじゃないだろうか。さすがサハラさん、本気を出したらめっちゃ凄いじゃないですかー。
いや真面目な話本当にサハラ奮闘してたんですよね。いつもの怠惰はどこへやら、というくらい。まあ止むに止まれずという展開でもありましたけれど、彼女にしては非常に積極的に渦中へと飛び込んでいたのも確か。それというのも、マヤが行くから。マヤが率先して危地へと飛び込んでいくから、この子を守るためにサハラ、ガラにもなく本気になってたんですよねえ。
堕ちた自分であるパンデモニウムと相対するため、怯えながら怖がりながらも歯を食いしばって見栄を張って前に進むちびっこの傍らを、グダグダ言いながらも決して離れないし、マヤの意思を妨げたりネジ変えようとしない。しっかりとついていって、守ろうとしてるじゃないですか。
それも、かつて自分にトラウマを植え付けたゲノム相手であろうと、一歩も退かず。泣き言はわんわん言ってたかもしれないけれど。
サハラにとって、マヤってこんなに大切な、大事な子になっていたのか。あの小物界の大物たるサハラ大先生が、とっとと責任放り出して悪びれずに逃げてしまうようなサハラが、体張るのも厭わないほどに。
なんだよー、今回マジかっこよかったじゃないかよぅ、サハラ。いやー、マジでこの人登場時からすると一番変わったよね、変わってないように見えて。一番の成長株なんじゃなかろうか。

メノウたちが訪れたのは、かつてマヤたち四大人災が作ったという超巨大ジオフロント遺跡街。ジオフロント、つまり巨大な地下都市ってそれ自体は珍しくないかもしれないけれど、これに関しては桁外れだよなあ。既に地球の現代文明のレベルを遥かに越えてるじゃないですか。てか天井側からもビルが建ってる……建ってる? 生えてる? 吊り下げてる? ともかく天井側から下に向けてビルが伸びてる光景とか、高層ビルに慣れてない異世界人じゃなくても、落ちてきそうで怖いよ!
そこで出会ったのは、マヤのかつての仲間である星崎ノノ。もちろん生身の人間としての再会ではなく、彼女が残した星読みと呼ばれる端末に意識を移した存在として……だと思われたんですけどね。
その正体については、本編をばご覧あれ。
これって、未来視のひとつの究極だよなあ。一部の不自然もなく、会話から行動から全部成り立ってたんですよ。つまり、これがシュミレートした未来の一つだとしても、その一つのシミュレーション、本当に何から何まで見通していなければこんなの出来るわけないんですから。
まあ、全部見通していても不注意というか意識散漫というか気もそぞろというか、生来の適当さが思いっきり能力を損わせていたんだろうけれど。でも、そういう余地というか隙がないと、全部が全部未来に埋め尽くされてしまっただろうし、ノノのあの性格はまさに最適ではあったんだろうなあ。
正体がわかってしまうと、なんともしんみりしてしまうものがありました。だって、彼女はもう最初からここにはいなくて、遠い過去に消え去ってしまってたんですもんねえ。
でもそれでも、こうやってサポートを送り込んでくれたのって、それはそれで思いやりじゃないですか。遠い過去から差し伸べられた、遠い未来に置き去りにしてしまう小さな仲間、マヤへの贈り物だと思えば。たとえ、遊び半分だとしても。
まあ、マヤは最後、晴れ晴れと蹴っ飛ばして放り捨ててましたけど。潔い子だw

そのマヤは、かつての堕ちたる自分パンデモニウムとついに向き合い相対した。逃げず退かずまっすぐに突き進んで、一番見たくない自分を真っ向から睨みつけて、言うべきを言ってのけた。
千年前よりも、この子はちゃんと成長していて、前に進んでいけている。みんなの影に隠れて怯えて、何も出来なかった怖がりだった自分を克服している。
可能性という意味では、未来への可能性という意味では、この子が一番多くを保有しているのかもしれない。

一方で、主役たるメノウは? 今回、メノウの中で一瞬アカリが目を覚ましたのを見る限り、うーん、なんかねえ……モモがブチ切れてる理由がわかったかもしれない。モモが今、何よりもメノウを敵視している理由、そりゃあモモならそうかもねえ。
ちゃんとアカリの体、大事に確保しているあたり、この子ってばホントに自分から都合のいい女道を突き進んでるよなあ。
だいたい、メノウの記憶がどんどん損なわれていっているにしろ、まだ全然生活や人間関係に支障をきたすほどではないんですよ。それなのに、なぜかモモに関する記憶だけが全損してるのって、やたら恣意的に見えるんだよなあ。全体的にまんべんなく虫食いで欠損していくならともかく、ピンポイントですもんねえ。

こうしてみると、今回の話である程度仲間たちとの人間関係整理できたんじゃないでしょうか。アビィも含めて、立ち位置が定まったというべきか。アビィに関しては人間の味方というのは確定したけれど、それがメノウの味方とはイコールじゃないよ、という所は忘れないようにしておかないといけないでしょうけれど。