前回の記事ですよ。
今月の後半は続きを楽しみにしている作品や、WEB版でハマりにハマった作品の書籍化なんかが何冊もあって、なかなかワクワクさせられる日々になりそうです♪


【二周目勇者のやり直しライフ 2 〜処刑された勇者(姉)ですが、今度は賢者の弟がいるので余裕です〜】 田尾典丈(電撃の新文芸)

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人生二周目の姉と転生者の弟が世界を救う、やり直しファンタジー第2弾!
ロモロは突如攫われた――
はずだったが、ロモロは誘拐実行犯の女盗賊・リベラータを巧みに説得し、鍛えた魔法も駆使して危なげなく盗賊一味を打破。
一緒に攫われた子供たちも無事救出し、ひと段落した先の村で、運命の出会いを果たす。
「あの……もしかして、レジェド・テアロミーナ・デ・スパーダルド様でしょうか?」
「まあ、私を知っているのですか?」
もちろん、ロモロはすでに姉から聞いている。二周目勇者である姉・モニカの歩む歴史においては、最重要人物のひとりと言っても過言じゃない。
モニカは後に大貴族・スパーダルド家の養子となり、テアロミーナと姉妹となるのだから……!
かくして、二周目の状況はさらに整った!?
世界を救う、勇者(姉)と賢者(弟)のやり直しライフ、第2弾!
死に戻り周回者と転生者、大体は合せ技で主人公やってる設定を、それぞれ現地人の姉ちゃんと転生者な弟に分けて話を作るというアプローチが非常に面白かった作品の続きの2巻。
このお姉ちゃんがかなり過酷な勇者としての人生を送りながらも、前向きで明るく天真爛漫でほんと魅力的なんですよね。その分、一周目の際の地獄を感じさせる闇を垣間見せる瞬間がなかなかゾクゾクさせてくれるのですけれど。姉弟仲もよく、暴走しがちな姉の手綱を取りながら協力して正史をひっくり返していくやり直しファンタジー、期待の一作です。



【恋人以上のことを、彼女じゃない君と。2】 持崎湯葉(ガガガ文庫)

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心地よい関係。その、一歩先へ。

無事、編集プロダクションに転職することができた糸。親に囚われていた今までとは違い、彼女が彼女らしく生活できていることに、冬は安堵する。
だがそれと同時に、糸が自分から離れてしまうのではないか、という一抹の不安も。恋人ではないが、恋人以上の二人は、歪で、微妙なバランスで成立している。
数週間ぶりに糸に飲みに誘われ、冬が店に向かうと、始まったのは“誰にも気づかれずにキスをするゲーム“。1回につき、キスをされた方が罰金500円。
どうやらこの関係は、しばらく続きそうであるーー。
社会人からの共感の声多数! 癒やしと、ちょっとエッチな物語第二弾。

社会人としての闇、大人ゆえの闇への共感が、うん、ちょっととてつもなく胸を突きましたよね、一作目。社会の中で溺れるように生きて生きて疲れ果てているときに、はっきりとしない曖昧としたままの関係だからこそ救われる。いい加減とかじゃなくて、これだからこそのセーフティーネットだったんですよね。そうしたどん底から、隣りにいる人のお陰でなんとか這い上がれた二人の、それからのお話がこの2巻だ。コミカルだけれどとても上質なラブストーリーで、今回もとても楽しみ。


【蜘蛛と制服】 入江 君人(富士見ファンタジア文庫)

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三匹の蜘蛛と、虫愛ずる少女の物語。「神ない」コンビ最新作。

異世界に転移した女子高生・琥珀は、
3匹の人食い蜘蛛を助け、
彼らとともに迷宮を旅することになった。

「私は”化け物(バーシャ)”、あなたの敵よ」

出会った冒険者を倒したり、
蜘蛛の糸で綺麗な服を作ったり、
一緒に食料を探したり。

虫が好きなことを隠さなきゃいけない前世よりよっぽどあたたかい、
蜘蛛3匹と過ごす毎日。

「わたくしは、魔道士協会に籍を置く大天才魔女――」

しかし、一番小さいヒメちゃんが、
しゃべり始めただけでなく自分のことを魔王の娘と名乗って――!?

入江君人×茨乃の神ないタッグが生と死を描く、
珠玉のファンタジーのはじまり。
ふおぉぉぉおお!? マジか、マジだー。入江君人先生復活ぅ! しかも【神さまのいない日曜日】でイラストを手掛けた茨乃さんとの黄金コンビだ。
前作が【王女コクランと願いの悪魔】の2巻以来だからもう8年近くにもなるのか。うわー、またこの人のファンタジーが読めるとは思わなかった、嬉しいっ、嬉しい。
この人のファンタジー、特に代表作たる【神さまのいない日曜日】って、なんかもう特異点と言って良いくらい逸脱したファンタジーだったんですよねえ。情緒をかき乱されるどころじゃない、ミキサーに掛けられて遠心分離機に放り込まれるような、情緒がめちゃくちゃにされる静謐な暴力だった。【王女コクランと願いの悪魔】も、あれもただのラブストーリーというには、とてつもないものがありましたし。さあ、久々の本作は果たしてどんな作品になるんだろう。

入江君人。作品感想



【男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと 1 百合の間に挟まる男として転生してしまいました】 端桜 了(MF文庫J)

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絶対に百合にはなり得ない新感覚の学園バトル&ラブコメ!

男子禁制のゲーム世界に、どんなルートでも破滅確定のお邪魔キャラとして転生してしまった俺、ヒイロ。迫りくる死亡フラグを回避するには強くなるしかない。そんな必死の努力を重ねた影響か、エルフの姫ラピス、メイドのスノウ、妹のレイ、主人公キャラの桜など、ゲームのヒロインたちから好意を寄せられることに……。このままでは「百合の間に挟まる男」認定されて抹殺されてしまう! やっぱり死ぬの? どうする俺!? さらに、俺というイレギュラーをめぐって彼女たちが争いはじめて……って、女の子同士が仲良くなる設定はどこいったんだよ。百合の間に挟まる男は●ね!

web版既読済。あらすじからだと伝わらないけど、百合の間に挟まる男は★ね!と作中で一番心から願ってるのはコイツです、ヒイロです。狂信的な百合信者、女の子と女の子が愛し合い慈しみ合う姿をこそ乞い願う、百合の守護者。
わりと最初の方はその傾向が強すぎて、ヒロインたちからの好意を徹底して無視する、スルーする、しきれなかったら自決しにかかる、とそのへんかなり鬱陶しい所のあった主人公なんですけれど……こいつ、ガチでカッコいいんですよね。なんで惚れられるのか好意を寄せられるのかよくわからないままモテる主人公は珍しくないですけれど、こいつの場合あっこれは惚れるわ、というようなムーブをがっつり決めてくるので、お前が百合の間に挟まるのはそれ自業自得だよ。自業自得が行き過ぎて、ある頃からヒロインサイドにガチで押し切られ出すので、そうなるとラブコメ度が激烈に跳ね上がるんですよね。いや、甘酸っぱさの描写表現力ヤバいですよ、キュンキュンくるなんてもんじゃなくなりますよ。一撃必殺の致命の一撃を、クリティカルをガンガン叩き込んでくることになりますよ。
不倶戴天の無二の相棒・百合殺しのアルスハリヤと組むことで、というか取り憑かれる? 粘着される? ことで、一気に行き着く所まで行ってしまうのですけれど、一巻でそこらへんまでは行くのかな、行かないかな。わりとゲームのメイン級ヒロインよりもサブヒロインかモブヒロインクラスがなんでか作中では主要ヒロインとなっていくのが結構特徴的。ってか正妻は明らかにスノウですよね。表紙にはいません、何気に裏表紙にどんと構えているぞ、スノウさん。ちなみに他にも嫁とかカノジョとか別枠で登場してくるのですけれど、話が進むに連れてどんどんと激燃えの手に汗握る熱い展開になってくるので、そこまで何とか本出てほしいなあ。



【バズれアリス 1 【追放聖女】応援いいねや祈りスパチャが力になるので動画配信やってみます!【異世界⇒日本】】 富士伸太(オーバーラップ文庫)

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『聖女アリスの生配信』、異世界より配信中!

人々からの想いを力に変える権能で戦い続け、魔王を打ち倒した聖女アリス。
しかし彼女は無実の罪を着せられ、強大な魔物が溢れる難攻不落の迷宮へと追放されてしまう。
絶体絶命のアリスだったが、迷宮の中で「異世界と繋がる鏡」を発見。
生き物以外は行き来可能な鏡を通して、異世界――現代日本でレストランを営む青年・誠に美味しいご飯をもらったり現代の娯楽を教えてもらったりと交流を深めていく。
そして助けてもらったお礼のため動画配信で収益化を目指すことになるが、動画がバズった途端に莫大な力がアリスに流れ込んできて……!?
「聖女」兼「配信者」のアリスがバズって戦う異文化交流コメディ、配信開始!
web版既読済。作者さんは最近【人間不信の冒険者たちが世界を救うようです】でアニメ化もした富士伸太さんでした。
いや、でもアリスさん、なんでそんな猫耳パジャマ風!? わりとこう、可愛いよりも美人系の姫騎士っぽい印象だったんですけれど。てか、貴女年齢もわりと行ってましたよね。十代じゃなくて二〇代後半じゃなかったですか!?
このお話、とてもとても、いやー面白かったんですよねえ。アリス自身は異世界の迷宮に滞在したまま、「鏡」を通して撮影機材を渡してもらい、これ電波もなんでか通るんですよね。おかげで、リアル異世界からの生配信、という形で日本に、ひいては世界に激震を巻き起こすのであります。
そのドタバタ劇がまた楽しいんだ。アリスがどんどんと現代の文化や娯楽に毒されいったり、異世界間ギャップにあたふたしたり、誠との交流で甘い空気が流れたり、と。
中でも異世界の迷宮探索を配信するところがまた良くて、この作者さん壮大な景色の描写表現がなんとも印象に残るというか、その光景が文章から脳裏に浮かんで焼き付いていくんですよね。
それが映像配信のシーンと素晴らしくマッチしていて、幾つも心に残るシーン、というか光景がありました。今回の書籍化で、そういうシーンも挿絵なんかついたら嬉しいなあ。