【王様のプロポーズ 4.黄金の神子】  橘 公司/ つなこ 富士見ファンタジア文庫

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無色、初恋の少女――彩禍とついに邂逅!?

「スーに会いたかったんだよね……? ――おとうさん――」

はぐれ魔術師から偶然助けた少女――スーリヤ。彼女はアンヴィエット・スヴァルナーのことを父と呼び、甘えてきて!?
アンヴィエットは娘の存在を否定するも、隠し子発覚のニュースが駆け巡り!
〈庭園〉が騒がしくなる中、玖珂無色の前に融合したはずの彩禍が黒衣がいるにも関わらず現れ――。

「君はどちらにプロポーズするつもりなのかと思ってね?」
「俺は……どちらの彩禍さんも、等しく愛してみせますっ!」

初恋の少女との再会。プロポーズの約束を果たすため、〈庭園〉内で繰り返し発生する不可解な事件を解決せよ!
アンヴィエット先生しゅきーーーー!!
もう、なんか大好きですわこの先生。元々登場時からヤンキーみたいなガラの悪さなのにやたら真面目で親切で作中屈指にして随一の常識人でめっちゃちゃんと先生してて生徒思いで、ツンツンしてるんですよ、ツンツン。
ツンデレだ!! いや、別にデレちゃいないんだが。特定個人にだけデレるわけじゃないんだが。みんなに親切なんだよ、優しいんだよ。でもみんなにツンツンしてるんだよ。
可愛いでしょ? もう、最初からめっちゃ可愛い男の先生だったんですよ。
今回見せてくれた愛に生き愛に殉じ、しかし今をちゃんと生きている、生徒たちの為に生きている先生してるアンヴィエット先生が、もうもう好きになりすぎてたまらん。

いやーー、この先生絶対モテるでしょ。老若男女問わずモテると思うぞ。だからこそ、スーというアン先生をパパと呼んでトコトコついて回る娘が現れて、隠し子疑惑が隠し子確定情報になってしまった時もブーイング浴びながらもわりとガチで嫌悪感抱かれて嫌われる見下されるという感じにはならなかったですもんね。ちゃんと責任とって認めてあげなよ、くらいで。
そもそもアン先生、お前なんかオレの子じゃねえ、と言いながらもあんた、めちゃくちゃ甲斐甲斐しく世話してるじゃないですか。あなた、子供居たことなかったんでしょ? にも関わらず、歴戦のパパさんのように甲斐甲斐しく忠実忠実しく幼児相手の行き届いたお世話してるんですよね。子供用の身の回りのもの、速攻で買い揃えてましたし。授業中暇しないようにとか、服を汚さないようにとか、子供居たことない身でどうしてそこまで気が回るの?というくらいの密度で世話してましたもんねえ。
まー、でもスーことスーリヤがかわいいんですよ。お父さんへの甘え方が素晴らしい。〜〜して欲しい、と求めるんじゃなくて、〜してあげたくなったでしょ? とトイレ行きたくなった時とかお腹がすいたときとか、したいならさせてあげるよ、みたいな感じで言うの、良い年した子がいうと傲慢なだけなんだけれどこのくらいの幼い娘が言うとひたすら可愛いんですよねえ。上から目線とかじゃなくて、ただそういう言い方してるだけなんですよ。小さい子あるある。これがもうかわいい。
それにそれだけじゃなくて、この口癖というか言い方だからこそ、あのラストシーンが映えるんですよね。

ってか、このスーリヤが今回の表紙絵なんですよね。なかなか珍しいですよね、この子って徹底してアンヴィエット先生のヒロインであって、主人公である無色のヒロインではないんですよね。主人公のヒロインじゃない娘が表紙絵飾るというのは稀有じゃなかろうか。でも、この巻のヒロインは間違いなくこの娘だったからなあ。まったく違和感はなく、相応しい以外の何物でもないのですけれど。
なによりかわいいですし。つなこさんの描く娘はひたすらかわいいですけれど、破壊力ッ! この破壊力ッ!!

さても、アンヴィエット先生の隠し子疑惑をもたらす謎の少女スーリヤの登場で大混乱、という学園の様相とはまた別に、彩禍さまが分裂してしまったという事態を筆頭に、原因不明の謎の事態が学園を見舞い、明確な敵や原因も不明なまま混迷を深めていく。
一見して、増えた彩禍さまが偽物で原因なのかな、と思ったんですよ本来の彩禍の意識を持っているはずの烏丸黒衣がそのままそこに居たわけですしね。だから、黒衣の正体を知らない、彩禍が無色の中に眠っていると思いこんでいる敵が仕掛けてきた偽物か、と思いきや、ちゃんと無色と黒衣以外誰も知らないはずの黒衣の事も知っているし、自分が分裂した彩禍だという自覚もある……本物じゃないですか! 本物が二人おる!?
さらっとここで、今まで同時に同じ場所に現れることのなかった彩禍と黒衣が同時に存在することで二人は別人という認識が周囲に違和感なく植え付けられるという特典もあったのですけれど、彩禍さま大好き人間である無色としては、もうパラダイスですよね。二人も彩禍さまがいらっしゃるんですから。微妙に面白くなさそうな黒衣が、またラブコメ的にいい感じ出していてほんとイイんですけど。
って、完全に騙されてたんですけどね!? 黒衣まで騙されてたんだから、仕方ないよね!? ってか、なんで無色はわかったの? 彩禍さまマニアすぎて、当人よりも理解度深いとかマジでキモいんだけど!?

しかしそうか。忘れてたんですけれど、彩禍さまやアンヴィエット先生みたいな魔術師ってゆうに100年以上生きてるんでしたっけね。
まさかアンヴィエット先生が既婚者だったとは知らなかった。だとすれば、子供もいておかしくはなかったのですけれど、既に100年近く前に愛する細君を亡くしてしまっている以上、子供が今更現れるはずがないんですよね。しかし、それは現れてしまった。
滅亡因子を取り込んだことで死ぬことになった奥さんサラ。その死は存在の死。彼女の存在そのものが消滅するために、彼女を覚えておくこともできない。アン先生は、奥さんの事を覚えていたい、忘れたくないがために、滅亡因子によって記憶を書き換えられない魔術師に為ったのである。
本来なら妻を殺すことになった彩禍をもっと憎んだろう。この世そのものすら恨んだだろう。ただ愛する人の記憶を止めおくために魔術師になった身だ。その後の生き方を縛られることは何もないはずだったのに。この人は、アンヴィエット先生は先生してるんですよね。先生して、生徒たちを心の底から慈しみ、一人ひとり手を抜かずに育てて羽ばたかせていっている。
尊敬に足る男だ。これほど立派な先生は、滅多といないだろう。惚れる、この男には惚れるわー。
だから、そんなアンヴィエット先生を愛した人の無上の愛が、100年越しでこうして届いたのは、なんかもう胸に沁みるし。
愛ゆえに苦しむ一人の男を、主人公の無色が迷いのない彩禍への愛情を示し、ぶつけることで、戦うことで彼の懊悩の壁を超えさせる、という展開はもう、好き。
一方で無色の愛も、盲目じゃないんですよね。彩禍への愛情は狂気に似ているけれど、決して独り善がりじゃない。自分だけ良ければいい愛じゃない。ともすれば、同化してしまった彩禍を本当に分離して自分のものに出来たかもしれないのに。でも、そうはしなかった。サラの想い、スーリヤの願い、アンヴィエット先生の愛情に、彼は自分の欲望を捧げたのである。
そういう無色だからこそ、彩禍は大きく影響を受けているんでしょうね。最強の魔術師として世界に君臨してきた彼女は、今冷徹な守護者という殻を脱ぎ捨てて、人として変わりつつある。
男の優しさってのは、女を奮い立たせるものなのかもしれない。

しかし、ラストの展開はビビったよね。マジかー、マジかー。えーーー、アン先生、犯罪ですよ? ちょっと前までガチ本物の娘だった子の肉体を、あんた……奥さんと、その、ねえ? お嫁さんになっちゃったよ? いいの? ……いいんだよ、うん奥さんなのがまず先なんだから、いいんだよ。
とはいえ、サラさん前世観てもかなり積極的なので、アン先生色んな意味でピンチじゃないだろうか。だってさあ、アンヴィエット先生セクシーじゃないですかー。めっちゃセクシーじゃないですかー。第四顕現のあの姿挿絵で見てくださいよ。どんだけセクシー神将なんだよってぐらい男の色気ぷんぷんじゃないですか。こんなんサラさん我慢できんのか? 前世じゃ我慢してなかっただろ、この奥さん。先生襲われるんじゃね?

あと、願いで素直?になってた瑠璃が完全にぶっ壊れていた件について。いやこれもうブラコンとかのレベルじゃないでしょ、やばいよ? やばいやつよ? それをわりと普通にスルーして普通にまとわりつかせたまま好きにさせていた無色もまあ大概ヤバいやつな気がするw
これ瑠璃に対して無関心ではなくて、妹の受け入れ量が無限大みたいな感じですよね。