【男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと 1 百合の間に挟まる男として転生してしまいました】  端桜 了/hai MF文庫J

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス
絶対に百合にはなり得ない新感覚の学園バトル&ラブコメ!

男子禁制のゲーム世界に、どんなルートでも破滅確定のお邪魔キャラとして転生してしまった俺、ヒイロ。迫りくる死亡フラグを回避するには強くなるしかない。そんな必死の努力を重ねた影響か、エルフの姫ラピス、メイドのスノウ、妹のレイ、主人公キャラの桜など、ゲームのヒロインたちから好意を寄せられることに……。このままでは「百合の間に挟まる男」認定されて抹殺されてしまう! やっぱり死ぬの? どうする俺!? さらに、俺というイレギュラーをめぐって彼女たちが争いはじめて……って、女の子同士が仲良くなる設定はどこいったんだよ。百合の間に挟まる男は●ね!

WEB版は既読済。これがまた自分、めちゃくちゃ好きな作品でして。キレッキレの掛け合いの楽しさ面白さも然ることながら、ヒロインたちのアプローチがまた強烈なんですよ。べらぼうに可愛い。ラブコメは数あれど、本作のヒロイン達の主人公であるヒイロへの好意の見せ方、ちょっと凄まじいものがある。甘酸っぱいどころじゃなくて、抉りこむように打つべし打つべし、ともうキュンキュンしてしまって頭どうにかなりそうなくらいの強烈なの、かましてくるんですよね。
もっとも、まだ1巻の序盤ではその辺ジャブを入れてくる程度で収まっているのですけれど、それでも猛威を振るうラピスのお弁当作ってきてくれるシーンとか、レイとスノウの膝枕とか初手でそれですか、というハードパンチなんですよね。まあでも、まだまだ序の口なんですが、本当にこれで序の口も序の口なのですが。
本作の主人公である三条燈色(ヒイロ)は自他ともに認める……自分しか認めてない気もしてきたが、ともあれ百合の守護者である。女性同士が愛し合い慈しみ合う百合という関係、或いは概念に信仰を注ぎ込み、百合のためなら命もいらぬとばかりに百合を信奉し百合を崇め奉り百合に狂った狂信者だ。
そして、百合の間に挟まる男を蛇蝎のように嫌い抜き、生理的な嫌悪にまみれ、つまり何かと女性同士の間に挟まってしまう自分自身への憎しみを募らせていく生粋の百合狂いであり、女性からの好意に対しても鉄壁の百合防壁をもってして狂乱とともに弾き飛ばしていく、アンチヒイロの筆頭なのである。
だから、女性からスキスキ光線を浴びせられても、徹底して回避、百合への誘導、スルーに受け流し、となかなか相手にしないんですよね。
そもそも、初期のヒイロって百合という関係や概念そのものを尊んではいても、その百合を成す女性、つまりヒロイン一人ひとり、個人個人にはそれほど思い入れらしいものを抱いていないんですよ。ラピスに対しても、彼女の百合カップルはとても大好きだけれどラピス自身は別にそんなに好きでもない、と出会った当初はゲーム原作当初の記憶から語ってるんですよね。
この時点において、ヒイロにとってヒロインってのは百合を構成する駒、パーツみたいなものだったのかもしれない。
でも、それが決定的に変わってしまうのが、同じ三条家の義妹という関係にある三条レイが、誕生日の日に親族の老人たちに寄って集ってイビられ尊厳を踏みにじられているのを目の当たりにした時なのだろう。
このとき、彼が抱いた怒髪天を衝く怒りは、百合を踏みにじられたことではなく、レイ個人の涙を悲しみを痛みを目の当たりにしたが故の怒りであった。レイ一人のために、激怒したのである。
この一件を皮切りに、理不尽に苦しみ足掻き耐え忍びながら涙を流す少女たちを、彼は百合ではなく一人ひとりを見て、見捨てられず、見逃せず、逆らうことも立ち向かう事も出来ないはずの壁に突撃していく。壁を、檻を、自らが血みどろになりながら、死の淵に片足を突っ込みながら、止まらずぶち壊していく。
その姿はまさしくヒーロー。その熱い魂からの叫びを吠える姿は、正しく少女たちの英雄だ。
ほんとね、自分ではガラの悪いチャラ男みたいなムーブしているつもりかもしれないけれど、いざとなるとホントカッコいいのよ、この男の子。そりゃあさ、キュンと来ない女の子はさあ、いないんだよぉ。
そんな本気になったヒロインたちのアプローチは、上記もしたけれどヤバいくらい強烈である。それこそ、鉄壁のヒイロの百合防壁をいずれ貫いてくるほどに。
百合だ百合だと叫んで目をそらし続けるヒイロだけれど、そのうちガチで無視できなくなってくるんですよね。この巻ではまだまだ余裕ですけれど、ジワリジワリと百合防壁は崩されていく。むしろ本作の肝は、どうやってヒイロが陥落させられていくか、にあるかもしれない。どうやって、百合と叫ぶ口を噤まされてデレさせられるか、その過程をじっくりと味わっていくのが本作の一つの肝なんじゃないだろうか。
ちなみに、猛威を振るうのは何気に表紙を飾るメインヒロインの三人じゃないんですよねえ。ゲームではサブヒロインだったりモブだったり、悪役だったりそもそも存在が見当たらない少女たちが、その過酷で悲惨な運命をヒイロによってすくい上げられ、そりゃもうもんの凄いやべえくらいのヒロインとなって、お前それ可愛すぎて死ぬじゃろう! ヒイロが死ぬじゃろう! ってレベルのラブをぶつけてくるので乞うご期待。
ちなみに、その一人にして筆頭が表紙にはいないけれど何気に裏表紙でひとり気を吐いているメイドのスノウだったりします。未だ明らかになっていませんけれど、何気に子供の頃からヒイロとは深い因縁があり……実質この娘がメインヒロインだろ? 実は?
結局、最初にヒイロの百合防壁をサクッと突破して、ヒイロ本人も納得させて婚約者になり仰せてしまったあたり、相当のツワモノである。彼女の過去を知ると、この巻でのスノウの振る舞いってかなりクるものがあるんですよね。どれほどの祈りと願いを込めて、今のヒイロに接触したのか。

あと色んな意味で強烈なのが師匠となるアステミルである。正直、ここまでキャラ爆発してる師匠キャラはこの人以外知らん! いや、師匠キャラらしく教え上手だし天才だし作中のパワーバランスをブンブン振り回してぶっ壊すバランスブレーカー的な無敵無双の力の持ち主なんですけれど、無敵キャラのくせに師匠キャラのくせに……精神年齢低すぎんだよこの人! そして極めつけのアホの子である。師匠がアホってどうなのさ! そして、師匠なのに尋常じゃなく甘えん坊である、赤ん坊かというくらいワガママである。無法者か!というくらいフリーダムな自由人である。お菓子で餌付けできるくらいチョロいお子様である。師匠なのに! 師匠なのに! 師匠らしい威厳は皆無! にも関わらず意味不明なくらい強いの、なんなんでしょうねこれ。
ちょっとキャラが強すぎて後々まで表紙の三人食うくらい存在感主張し続けるもんなあ。

まあ本作、大体のキャラクターがキャラ強すぎなんですけれど。巻末のおまけの短編で笑ってしまったんですが、ラピスの護衛であるエルフ族のエリートたち13人のアールヴ。本編でもわりと雑多に堅物のエリートとは正反対の自由人たち、お前らラピスの事ちゃんと守ってるのか敬ってるのか? としばしば思ってしまうほど好き勝手にやりたい放題やってた子らだったんだけれど、短編で一人ひとり人となりを紹介されているのを見ると、一人としてマトモなやついないんですけど!? 問題児を通り越して半分くらいガチの犯罪者かテロリストみたいなやつ混じってるんですけれど、変態と放火魔と爆弾魔とマッドサイエンティストと……ほぼ全員サイコパスとなんじゃね? これ、ラピスの国の連中エリート選抜してラピスにつけたんじゃなくて、ヤバい奴ら集めて纏めて国外追放にしたかったんじゃないの? 
しかし、この短編アールヴの一人の視点の報告書という形で描かれているのですけれど、第三者から見たヒイロって普通に気配り行き届いた優しいイケメンなんだよなあ。脳内で百合発狂している狂人な地の文ばかり見ているのでアレなんだけれど、他人から見るとこいつ普通に女性に親切で優しすぎるんだよ。モテるよ、それ、普通にモテちゃうよ? なんでかヤバいのばっかり釣れているわけですけれど。

ともあれ、まだまだ話は始まったばかり。ヒイロも戦う人としてまだ出来上がりには程遠い成長過程で、後々の活躍を下支えする基礎を鍛えているらへんですからね。師匠が鍛えてるんですけれど。
登場人物も段々と出揃ってきていますけれど、本格的に話が動いてくるのはこれから。この世界における危機とは、背後で蠢く勢力、そして人類の敵とは、というあたりが明らかになってくるのも、もう手に汗握る激烈に熱い展開が待っているのもこれからですからね。
もうめっちゃ熱いのよー。ぶわーーーーってテンション上がりまくりますからね。あれはホントたまらん!
ぜひぜひ、続きをどんどんと続かせていってほしいです。オン願い奉る。
なにより
……三条ヒイロの不倶戴天の天敵にして、唯一無二の比翼の相棒となる――不倶戴天で比翼って意味わからんかもしれんけど、そうとしか言いようがないもんなあ。
そんな相棒【百合殺し】アルスハリヤが登場してからこそが本番ですからね。なんとか、ヒイロとアルスハリヤのあの愉快痛快な掛け合いを、二人で織りなすラブコメ地獄を、読みたいものでありまする。続き、出ますように。

しかし、ラピスの正装。えちえちとは書かれていたけれど、ガチでエロいな! あんなものすごい衣装とは想像できへんかったぞ!