【バスタード・ソードマン】  ジェームズ・リッチマン/マツセダイチ エンターブレイン

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ほどほどに戦いよく遊ぶ、これが理想の異世界生活

バスタードソードは中途半端な長さの剣だ。ショートソードと比べると幾分長く、細かい取り回しに苦労する。ロングソードと比較すればそのリーチはやや物足りず、打ち合いで勝つことは難しい。何でもできて、何にもできない。そんな中途半端なバスタードソードを愛用する俺、おっさんギルドマンのモングレルには夢があった。それは平和にだらだら生きること。やろうと思えばギフトを使って強い魔物も倒せるし、現代知識でこの異世界を一変させることさえできるだろう。だけど俺はそうしない。ギルドで適当に働き、料理や釣りに勤しみ……時に人の役に立てれば、それで充分なのさ。これは中途半端な適当男の、あまり冒険しない冒険譚。

面白おじさんのモングレルさんが行くよー。

いや、マジで面白いのよこのおじさん。なんでこんな特に大冒険してるわけでもないしがないおじさんの毎日を見てるだけでこんなに楽しいんだろう。
理由は色々あるんだろうけれど、何よりモングレルさんが一番楽しんでるからなんでしょうね。
昨今、スローライフものってのが流行りの中にありますけれど、今まで読んだ中で一番スローライフ満喫しているように見えるの、このモングレルでしたからねえ。
スローライフったって、特別あれこれしなくてもいいんですよ。自給自足なんて、むしろ大変。人間、人の社会の中で生きるのが一番楽なんですよ。そういう意味では、モングレルはレゴールの街でまさしく程々に働き、程々に戦い、程々に遊んで程々に趣味に耽溺し、と自由気ままに過ごしてるんですよね。冒険者…本作ではギルドマンって呼ばれてますけれど、モングレルさんはこのギルドマンの中でもゴールド、シルバー、ブロンズ、アイアンと大まかに別れているランクの中で、ブロンズの一番上であるブロンズ3に居座って、それ以上上には上がろうとしないんですな。ランクが上がると色々と優遇はされるのですけれど、その分義務や徴兵なんかがあって面倒くさいんですね。面倒くさいのは嫌ですもんねえ。別に実力を隠しているわけじゃないので(何気に本気がどれくらいかは隠してるんだけど)、何気にギルドの常連たちはモングレルがかなり強い、というのは知ってるんですよねえ。むしろ、ソロで活動していてホイホイと魔物のいる森の奥まで行き帰りしているので、レゴール屈指の強さを持ってることは上の連中ほど良く知っているのだ。まあ、モングレルさんがその強さをひけらかす機会というのは殆ど、本当に殆どないのだけれど。そんな真面目に戦っている暇があれば、簡単な仕事をこなしたり、酒のんでぶらぶらしたり、色々と道具自作したり変な武器買ったり、自己流の発明してみたり、料理に凝ってみたり、と多岐にわたる趣味があるので、それに勤しんでいる方に忙しいですからね。モングレルさん、マジで多趣味だもんなあ。
ともあれモングレルさん、ランクとしては中堅くらいだし何気に隣国の敵対国の血が半分流れているので被差別民側なんだけれど、舐められたりはしてないんですよね。いや、むしろモングレルさん、友達多いんですよね。ソロで活動してはいるんだけれど、それは自分のペースで働いて、自分で好きな仕事選んで、好きな時に休んで、としたいだけでむしろコミュ力は高い方で、レゴールのギルドパーティーの主だった面々とはだいたい顔見知り以上。そう言えば特別仲が悪いという相手もいませんし、暇が合えば一緒に酒飲んで騒ぐ相手も多い。仕事だっていつもソロじゃなくて、ギルドからの要請だったり季節の折に発生する強制任務なんかでは他のパーティーと合同で一緒に任務こなしたりしてますし、頼まれたらわりとホイホイと助っ人や手伝いも行きますしね。
同じギルドマンだけじゃなく、ギルドに依頼してくる一般の人達なんかとも知り合い多いんですよね。フラフラしているようで、仕事となったら真面目にきちんとちょっと凝り性なくらいキッチリやりますし、人当たりも良くて子供や老人相手だと特に懐っこい態度するので、信頼度高いんですよねえ。初心者がやらされるような、街の清掃とか単純肉体労働も嫌がらずどころか割りと好んでホイホイ任務受けに行きますしね。ダラダラ平和に過ごしたい、と言ってますけれど、別に働くのが嫌って怠惰ではなくて、清掃や運搬や積み下ろしなど直接人の助けになるお仕事はけっこう好き好んでやってるんですよねえ。力自慢腕自慢のギルドマンがやりたがらないような仕事も受けてくれるので、ギルドの面々からも頼られてますし。
面倒見も良いので、新人の時に彼に色々と教えて貰って懐いている若手も結構いるみたいですし。その筆頭とも言うべき子が、ギルドパーティー「アルテミス」に所属しているライナという狩人の少女なのである。一応、この子がヒロインになるのですかねえ。語尾が「ッス」なのでちょっと三下属性入ってますけれどw 好意的に見て、後輩属性というべきか。口癖の「ッスッス」はなんか愛嬌のある可愛さがあって好きですw

けっこう女性キャラの知り合い、親しい友人も多くなってくるのですけれど、モングレルのことおっさんだけどマジで好きそう、という感情をにじませてるのってライナだけなので、マジでこの子がヒロインでアンサーだと思う、うん。あと、ライナと同じパーティーメンバーでウルリカという子がいるんだけれど、この子は男の娘だからなあ……ウルリカもけっこうガチめな感情持ってそうだけど。
ウルリカ、イラストだとなんか胸あるっぽく見えるけれど、これは女装してるからちゃんと詰め物してるんですかね? 故郷の風習もあって、本格的女装のはずなのでそういう偽装もちゃんとしてるのかもしれない。それよりも、ウルリカのデザインちゃんと骨格というか肩幅? なんとなく意識してみると男っぽい体格してるのが凄く好印象。うんうん、そうなんだよ。完全に女の子すぎるのは解釈違いなんだよねw

さてモングレルさん、いい面も沢山あるんだけれど、それ以上にダメな大人でもあります。特に、変な武器に入れ込んで、溜め込んだお金を大量に注ぎ込んでマトモに使えない武器に散財してしまう事度々。ってか、変な武器集めるの趣味だろ、これ。そして、買った武器を見せびらかして自慢して、さんざんと皆に正論で使えない判定されて凹むまでがいつもの流れ。モングレルさんが定宿にしている部屋には、モングレルの変態武器倉庫が存在しているらしい。捨てずに大事にとってるんですよねえ。でもわかる。どれだけ無駄とか使えないとか言われても、買った以上は捨てられないし愛着湧いちゃうのよねえ。……ってか、本作ってバスタード・ソードマンというタイトルで主人公のモングレルさんはバスターソードにこだわりがある、というお話のはずなんだが、メイン武器はそれとしてもサブウェポンに関しては常にバスターソードから浮気してるよなあw
他にも自作であれこれDIYじゃないけど道具作ったり、今回はこだわりの一品である釣り竿などなど。また、料理文化に乏しい異世界でなんとか現代の料理の味を再現スべく、あれこれと料理に凝ったり。と、ほんと趣味人なんですよね。それも、わりと周囲の人達巻き込んでワイワイと一緒に楽しんでますし。
また、彼にはレゴールの街をこえて国中に反響をもたらしている謎の発明家ケイオス卿という裏の顔もあるのですけれど、これも現代知識無双なんて感じじゃなくて、また徹底して自分の正体を隠しながらアイデアだけをばらまいて、地域全体の技術レベルをあげることで日常生活、暮らしの文化水準を地味にあげていこうという目論見で、個人の儲けや利益なんかは度外視しているところがまた面白いんですよね。彼の煩わしさから逃れて、自由にのびのびとやりたいことやって楽しく過ごしたいという姿勢は徹底している。徹底してほんとに楽しく過ごしてますからねえ。
まだ他にも、このレゴールにくるまでの彼の過去など、お話は幾つもあるし、これからも愉快な人達との出会いや交流なんかも増えてくるで、まだまだどんどんおもしろくなってくるんですよねえ。
愉快な面白おじさんモングレルの冒険しない冒険譚、スタートです。うんうん、やっぱ何度読んでも面白いわー♪