【クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった 2】 たかた/日向 あずり 角川スニーカー文庫

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“No.1ヒロインの隣にいる子”を幸せにするラブコメ、クリスマス編!

『クラスで二番目に可愛い』朝凪海と俺・前原真樹は、いわゆる“友だち以上恋人未満”の関係にいた。
ちゃんと告白して恋人になりたい――そんな決意で海をクリスマスに誘ったところ、イブはウチの高校と女子校との合同パーティがあるらしい。
しかも野球部の関くんが天海さんを誘いたいらしく……その協力を申し込まれ!?
テストのこと、手伝うことになったパーティの裏方仕事のこと、そして離婚した両親のことも――忙しいけど、海のおかげで前向きに思えている自分がいて。
二人っきりの時間は登下校と放課後と、初めての休日デートで。
日陰男子と2番目ヒロイン、二人のペースで距離が縮まる第2巻!

うわぁ、そうかー、そうだよなあ。真樹くんだってまだ十代の子供なんですよねえ。
前巻では、海に寄り添い続けることで不安定になりかけていた海のメンタルケアをやってのけた真樹。
実際、海のメンタルってかなり危うい事になりかけてたんですよね。同好の士である真樹と出会い、誰にも邪魔されないズブズブの秘密の時間を二人で堪能することで、じんわりと積もり続けていた我慢へのストレスを解消していたのが、思わぬ横槍から秘密の関係が崩れかけてかなりグラグラになっていたのを、真樹くんは全身全霊で支えきったのですから。
おかげで二人は未だ友達ではあるものの、公認の予約済み恋人未満として誰はばかることなく一緒にいることが出来るようになったわけです。
でも、今回の話を見ていると二人の関係って真樹が海を一方的に支える関係ではないんですよね。いや、既に海は真樹に寄りかからないといけないような状態では、そもそもなくなっていたのですけれど。
真樹と海の関係だけに絞れば、いや海の親友である夕やそれまでボッチ気味だった真樹の交友関係まで広げても、順調の一途でした。夕は二人の関係を積極的に応援してくれますし、海というきっかけを手にして元々決してコミュ障でもなかった真樹も、次第に友人も増えてなかにはその親身になれる性格から、関くんみたいなお互い色々と打ち明けられる友達も出来てきました。
真樹と海の関係の進展も、そもそも近いうちにちゃんとしたきっかけというか準備というかタイミングが来たら恋人になろうというコンセンサス……意見の一致、合意が取れているので、お互い焦らずに友達以上恋人未満の微妙な状況を楽しむ事ができていたんですね。
ただ、安定した海の環境とは逆に、真樹のプライベートの方がぐらついてきたわけです。先は海の方の事情と向き合うことに終始していましたけれど、真樹くんの方の家庭環境もまだ去年のクリスマスに両親が離婚したばかり、という実は結構な状況だったんですよね。
真樹くん自身が両親の離婚という事実を割り切ったつもりでいたこと。両親が決して息子を蔑ろにせずに、それぞれ自分たちの事情を子供に押し付けてしまった事を理解した上で出来る限り真摯に息子に接していたことで、真樹くんのメンタルも一応の落ち着きを得てはいたのでしょう。
ただボッチでいる事で自分の周りから騒がしいことをカットして、ある意味閉じこもっていた頃と違って、海との付き合いをはじめて精神活動が活発になってきた事は、真樹くんにとって生命力の賦活ともなっていたのでしょうけれど、同時にじっとうずくまって停止しているより立ち上がって活発に動くほうが、足元が不安定だと自分自身も時としてバランスを崩してしまうのも確か。
丁度離婚から一年が立ち、離れて暮らしていた父親の環境がどうやら少しずつ変わってきていたのを目の当たりにしたこと。そして、母親も大丈夫のように振る舞い続けていたけれど微妙に不安定な面を垣間見せ始めたことで、真樹くんも自分が実は我慢を重ねていたこと、両親に迷惑をかけないようにいい子で居続けようとどこかで無理をしてきたことを、段々と感じ始めるんですね。
それが顕著に浮き出てしまったのが、はからずも海に誘われて彼女の兄や父を含めた家族みんなと面会することになった時の事だったのです。幸せな家族の団らんの中に招かれたことで、逆に自分が失ってしまったもののぬくもりを実感してしまった。
あの時の唐突にフッと心の堰が外れてしまった真樹くんの様子は、結構ショックだったんですよねえ。ああ、この子まだ子供だったんだなあと。真樹くんも、まだ繊細な十代の男の子だったんだなあ、と。
でも、そんな真樹くんを海の家族たちは驚きながらも優しく受け止めてくれるんですよねえ。そして、その中でも海は真樹くんの不安に寄り添い、彼の悲しみを抱きしめて、あやしてくれる……というと赤ん坊にするそれみたいだけど、友達以上に恋人以上にしっかりと包み込んでくれたんですよねえ。
あの場面の海は、恋以上の愛を感じさせてくれる、なんか母性の人だったよなあ。
海のお父さんも、凄く父性を感じさせてくれる人でねえ。なんか家族として真樹くんが受け入れられたような、そんな想いを抱かせてくれる場面でありました。
まだ海と真樹くんは友達にすぎないはずで、恋人にも正式にはなっていないはずなんだけれど、なんかそれ以上の先に進んでしまったような感すらありました。
幸福だった自分の家族、もう取り戻せないそれへの未練。いい子として我慢するのではなく、子供らしく溜め込んだ想いを吐き出して、心の整理をつけた真樹。
真樹くんもお父さんの事が大好きで尊敬していて、お父さんの方もこれ本当に息子の事を愛していて、離れ離れになってしまった事にダメージ受けてたんですよね。お母さんも含めて、ずっと未練を引きずったままだった家族に一区切りをつけることができたのは、決して大団円のハッピーエンドじゃなかったけれど、それぞれが前に進むきっかけになれたのではないでしょうか。
真樹には海が居て支えてくれるし、お母さんもちょっと休息をとることで改めて好きな仕事に向き合える余裕が出来るでしょうし、なんか海のお母さんと仲良くなってプライベートで一緒に遊びに行くような仲になったみたいで、こっちはこっちでもう海の家族と家族ぐるみになってきてるなあ。
お父さんの方も、部下の京香さんにあれほどの本気を見せられると、彼女に任せるのも吝かではないと思えてくる。
うん、一区切りだ。
だから、これがきっかけ、タイミングだったんでしょうね。
とても誠実で、ストレートで、気持ちの伝わる告白でした。

こうして、彼はクラスで2番目に可愛い女の子と 恋人になった。