【男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと 2 百合の間に挟まる男として転生してしまいました】  端桜 了/hai MF文庫J

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絶対に百合にはなり得ない、新感覚の学園バトル&ラブコメ第2弾!

男子禁制のゲーム世界に、破滅確定の「百合の間に挟まる男」として転生してしまった俺、ヒイロ。豪華客船で行われる鳳嬢魔法学園のオリエンテーション合宿に参加した俺は、相変わらず邪魔者扱いされながらも、ヒロイン同士の百合を成就させるべく奮闘していた。そんな中、魔人の眷属たちがエルフの姫ラピスを襲う事件が発生する。俺にとっては想定内のイベントで、ほくそ笑みながら、主人公キャラの桜とラピスとの仲を進展させるために利用しようとしたのだが……敵の様子がどこかおかしい。俺の不安は的中し、最悪の強敵、魔人アルスハリヤとの戦闘が勃発して――!?

おおぅ、これがアルスハリヤ。あの魔人アルスハリヤかー。やばい、デザインめっちゃ良くないですか!? トレンチコートにロングブーツ。黒いシャツに赤いネクタイ。そして黒の手袋に火の付いたタバコですよ、もうキャワワワアワ! かっこいい、美人!!
2巻にしてよりにもよってアルスハリヤが堂々と表紙を飾るの、わかってる感があって好き!!

彼女こそ百合殺し。絶対百合壊すウーマン。まさに、絶対百合至上主義の三条燈色とは同じ天を戴けぬ、不倶戴天の敵である。
ちなみにこの百合こそが正義の世界において、本来ゲームの主人公である月檻桜も、メインヒロインである三条レイも、ラピスもなぜか百合壊すウーマンと化しているのですが。
いやでも、彼女らは百合を否定しているのではなくて、あくまで三条燈色という少年への異端の恋に殉じているだけなので、他人の百合を壊そうとはしていないので、絶対百合壊すウーマンではないのですが。あくまで自分の百合に関してだけ完全無視しているだけなのですが。
そういうわけで、前巻で義妹のレイとの確執は解消され、異国からの留学生であるラピスとの仲も親密となり、本来百合の支援者として燈色が陰からサポートするつもりだった主人公の月檻も、なぜかヒロインの方にはとんと興味を示さずに、ひたすら燈色の方に粉かけてくる始末。
この巻から、このゲームのメインキャラたるこの三人の女性陣による積極果敢なアプローチが本格化するんですよね。
積極果敢を通り越して、やや肉食獣めいた勢いと迫力を伴って必死に百合展開を起こそうとする燈色の努力を障子紙を裂くように破り捨て、がぶりと食いついてくるのである。
レイもラピスも、これがめちゃくちゃ可愛いんだ。ややもあざといくらいの無自覚に硬軟織り交ぜた形で、燈色と一緒に過ごしたい、一緒に遊びたい、かまって欲しい、甘えさせてほしい、振り向いてほしい、そんな甘酸っぱい感情を波々と溢れそうになるくらいにさせて、アプローチしてくるんですね。
そして精神を焼かれる燈色くん。そして発狂する燈色くん。何気にどう見ても頭おかしくなってるだろう挙動言動で狂乱している燈色なんですけれど、桜もレイもラピスもそのへんスルー力というか完全無視するパワーが強すぎて、やすやすと燈色の百合バリアが食い破られていくの、ちょっと面白すぎるんですよねw
燈色の「アバババババ」と脳に感電してるんじゃないか、という拒絶反応のアホさと派手さが目立つせいか、ラピスたちのややもあざといくらいのアプローチがちょうどいい塩梅に思えてくるんで、ここらへんのバランス実は絶妙だったりするんじゃなかろうか。なんかもう、ひたすらレイやラピスたちが可愛くて可愛くて、その醸し出す甘酸っぱさが凄まじくキュンキュンさせられてしまいますし。
これ燈色の方が冷静でまともな反応をしていたら、逆にうまく噛み合わないじゃないだろうか。
これ、燈色の方全然ラピスたちの可愛さに反応していないかというとそんな事なくて、むしろ激烈に効いているからこそ、あれだけ狂乱しながら百合百合とアタマを必死に百合色に染めている所もあるんですよね。あれ、絶対彼女らの可愛さに脳がやられてるんですよ。百合至上主義故に拒否反応が出ているわけじゃなく。ちょっとでも気を緩めると、燈色側からも好き好きに塗りつぶされてしまいそうだからこそ、あれだけ動転して錯乱して感電して無理くり自分の中の百合パワーをひねり出してるっぽいんですよね。
だって、可愛いんだもん。
レイの水着姿の太ももにめっちゃ目を奪われていたように、燈色だって別に性欲がないわけじゃないんですよね。むしろえちえちには大変感心があるお年頃。性癖だって別に百合を好みとしているだけで自分のそれは普通に異性愛者ですからね。好きになるのは女の子なんだよ。そういう意味では、めっちゃ効いてるのよ、ラピスたちのアプローチ。それがまた、甘酸っぱいんだよなあ。
効きすぎて、たびたび奥さんのスノウにSOS出しちゃう燈色の、何気にスノウに精神的に頼りまくってるあの夫婦関係とか大好物です。この二人のボケたやりとりホント大好きですわー。
でも、スノウの方も燈色のことめっちゃ雑に扱っているようで、助け求められたら一応絶対手を差し伸べちゃうあたり、旦那さん愛しまくってるんだよなあ。大概、すぐに手のひら返しますけど。
巻末の番外編で第三者であるラピスの従者の中学生から見たスノウの姿が描かれているんですけど、他人から見るとスノウの燈色を見る目が、もう物凄いの。まだ桜やレイ、ラピスが興味や関心、或いは恋心にときめいているだろう段階なのに比べて、スノウのそれはこの百合の世界の中で一切揺れ動かない不動の愛なんですよね。燈色への愛情の深さ重さが、とてつもないの。それがもう一見してわかるくらい、あの慈愛に満ちた燈色に向けた表情がクリティカルでした。
まあ、そうなったのも燈色の自業自得なんですが。こいつ、どの口で百合こそ最高とほざくのか、と言いたくなるほど小さい頃にスノウに対してやらかしてやがりますからね。
なにが百合IQ180だよ。お前の百合IQはせいぜい「3」だよ!!
まあ不思議とスノウ相手にだけはあんまり百合を押し付けようとしなかったり、婚約者として引き取っていたりと、無意識にわかっちゃいるんでしょうけどね。そういう意味でも、スノウはゲームのヒロインではないかもしれないけど、燈色にとってのメインヒロインであるんですよね。
そんでもって、もうひとり、燈色が百合推しせずに自分の責任を以てその人生そのものを引き受けようとする第二のメインヒロインこそが、この巻で登場するわけですよ。
緋墨瑠璃。彼女こそが、この巻においてアルスハリヤと対をなす存在であり、この巻のヒロインなのである! だから、緋墨に関してはもうちょっと全体の姿を見せてくれるイラストとかほしかったなあ。いや、クライマックスのあの小さく開いた扉越しに自分のもっとも大切なものを差し出して請い願う緋墨の挿絵、あれはあれで熱量の籠もった素晴らしいイラストなのですけど。めっちゃ好きなのですけど。
緋墨の諦観、絶望、その救われぬ嘆きを真っ向からぶち破ろうとする三条燈色。絶対悪、邪悪の輩たる魔人アルスハリヤの悪意を、熱く熱く切り裂いていくその姿は、まさにヒーロー。
クライマックスのあの熱さは、ちょっとたまんないんですよね。
だからさー。泣いてる女の子に俺に任せろ、絶対に勝つから。俺を信じろ、俺を信じてくれたら絶対お前を笑顔にしてやる、俺がお前の英雄になる、みたいな事をさー、言っちゃったらもうその女の子、感情も心臓も脳も精神も何もかもグズグズですよ、デロデロですよ。その子の人生まるごと引き受けないと、どうにもならないくらいメタメタにしちゃうに決まってるじゃないですか。どの口で百合に挟まらないとか言ってるんだ、この男。かっこよすぎなんだよぉぅ!
脳焼かれますって。不可逆なまでにアカンくなりますって。
まあこの男、わりとちゃんと責任とって引き受けるので……だから、ゲームのヒロインとは別にメインヒロインができちゃうのですけど。
それに、燈色って百合至上主義ではあるんだけれど、百合という思想をどれほど美しく尊く掛け替えのないものとして遵奉していても、それを優先して女の子ひとりひとりを蔑ろにはしたりしないんですよね。パーティーでラピスがボッチとなっていたとき、燈色が自分の信条信念を曲げてラピスのもとに駆けつけたシーンなんぞは、それを象徴していてあのシーンすごく好きなんですよね。
百合は掛け替えのないもの、でも燈色にとってあの瞬間それよりもラピスその人を、あの子の心を優先したのである。そういうところだぞ、燈色くん。だから、この主人公のこと好きなんですよねえ。

しかしこれ、えらいところで終わってしまっていますけれど、いやマジでえらいところで終わったんですけど!? ちゃんと第三巻出るんですよね? 出ないと、えらいところで終わったままになってしまうんですけど!?
頼みますよ? ある意味、三条燈色という主人公が完成するのは、ラブコメ主人公として完成の極みに至るのは、あらゆる手練手管を使ってラブコメを推進する連理比翼の相棒がその身に宿ってこそなんですから。
続きが今から楽しみで仕方ないんですからね!