【負けヒロインが多すぎる! 2】 雨森 たきび/いみぎむる ガガガ文庫

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焼塩檸檬、まさかの略奪愛……!?

夏休み後半。
たまたま喫茶店でだべっていた俺と八奈見は、驚くべき光景を目にする。

焼塩と、その思い人である綾野が2人きりで会っていたのだ。
さらには、2人を尾行する綾野のカノジョ――“勝ちヒロイン”朝雲千早ともニアミスしてしまう。

「私は光希さんと焼塩さんの浮気を疑っています」

あれよあれよと巻きこまれた俺たちは、朝雲とともに真相を探ることに。

焼塩にかぎってそんなことはと思う。
でも、2人きりのときの、あの想いがにじんだ顔は――。

はやくも人気沸騰の負け確ラブコメ、待望の第2弾!

いやーー、これはこれは、うんうんうん、面白い、面白かった。すごく面白かったぞ!?
1巻読んだときも面白かったけどさ、ここまでテンポ良くなかったと思うんですよね。それがこの2巻では、傑作のドタバタラブコメ漫画を読んでいるかのように、絵面がコマ割りで脳裏にぽんぽんと浮かんでくるんです。
地の文がキレキレなんですよ。主人公の温水くん視点で描かれている物語なんですけれど、彼の独白やツッコミの入り方が絶妙この上ないんだよなあ。
とかく地の文のリズムがめちゃくちゃ素晴らしいの。そして、そんな温水くんのツッコミを引き出すヒロインたちの奇行が、また漫画チックで面白いんですよねえ。ただの漫画じゃないですよ。読んでて笑い転げてしまうような、独特の日常感を描いてくれるような漫画作品っぽいんですわ。
小説という枠組みで登場人物がここまで面白い方向性のキャラの立ち方させている作品ってなかなかないんじゃないだろうか。ちょっとネーム感すらあるよなあ。それでいて、小説としての面白さもばっちり確立しているから、威力が倍増しになってるんですよねえ。
正直、1巻ではここまでのインパクトは感じなかった。印象がガラッと変わったというわけではなく、負けヒロインたちのドタバタ劇という方向性は一切変わっていないので、とかく威力が上がったというか、モノクロがカラーになったくらいのパワーアップを感じさせられましたよ。

そして、ラブコメとしてはお前ら負けて当然だ、というくらい残念三昧だった1巻と比べると、今回の主演女優となった焼塩檸檬は、恐ろしく真っ当に真っ向から自分の取りこぼしてしまった恋に向き合い、真正面から失恋してみせました……いや逃げたんですけど。意図しないところで自爆的に告白して、振られて、思いっきり逃げ出しやがったわけですが。それでも、檸檬は自分が恋に破れた、という事実に今回しっかりと向き合ったわけですよ。好きだった人からも友達たちからも逃げ出して、田舎に逃げ込んだわけですけれど、現実逃避してたわけじゃなくてちゃんと自分の気持ちとは向き合ってたわけだ。これって、ちゃんと失恋してると思うんですよ。失恋した自分から目を逸らしてないと思うんですよ。
でも、一人でそれを消化し切るのはやっぱり辛かったと思うので、温水くんたち文芸部のみんなが迎えに来てくれたのは、嬉しかったんだろうなあ。結構グダグダの再会になってましたけれど、現実そういうもんですし、そういうの関係なくやっぱり心配して見に来てくれたってグッとくるものがあるじゃないですか。なんか、全然心配してなさそうな態度の連中ばっかりだったとしても。檸檬のほうも、表向きもう傷心さっぱり癒えたように振る舞ってたからお互い様、というか湿っぽい生真面目な関係じゃないですからね、文芸部の面々は。さっぱりカラッとした負け確のお笑いヒロイン集団じゃないですか。でも、嬉しいのは嬉しいもんだ。
思いっきり、失恋の痛みに泣けた檸檬は、負けヒロインは負けヒロインでも負けて輝くヒロインでした。キラキラしてたよ、檸檬ちゃん。元々性根は良い子だもんねえ。
……1巻での目を覆わんばかりの酷さを思うと、真っ当に頑張ったよねえ、となんだか泣けてきそうなんだが。

……あの檸檬ですら、こんなちゃんと失恋したってのにさあ。この2巻における八奈見杏菜の負けイン通り越してヒドインと化してたこの暴食の化身を、いったいどうしたものか。
なにがワンチャンあるかもだよ!!w
ってか、こいつ流石に食い過ぎだろ? 食いしん坊キャラを通り越して、これもうただのフードファイターじゃね? ちょっと太った、で済む食事量じゃないと思うんだが。登場シーン、ひたすら食ってなかったか? この食い気で色気をどう出すつもりなんだろう。そのくせ、失恋しましたと割り切っているように見せながら、その実未だ虎視眈々と隙を伺っている諦めの悪さ。いや、諦め悪いのは別にいいんだけど、杏菜のそれはたちが悪いからね!? 君、性根腐ってるよね!? 面白いからいいんだけど。完全にギャグキャラになってたよなあ。主人公の温水くんも、こいつだけは無いよなあ、と確信を深めつつあるのはワラタ。