【ぼんくら陰陽師の鬼嫁 八】 秋田 みやび/しの とうこ 富士見L文庫

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「神隠し」の言い伝えが残る村で、契約嫁はついに北御門の秘密に触れる――

「神隠し」の言い伝えが残る村の廃校で、幼い少年が行方不明になった。芹たちは、北御門の元門人・夕木薙子の紹介で調査を請け負う。訪れたのは、石仏が立ち並び子供の霊があちこちにいる異様な村。そこで対面した依頼人は、過去のある事件と関わる人物だった。
手分けして少年を捜すが、皇臥と式神・珠は珍しくぎくしゃくした様子。珠は「奥方に預ける」と、複雑な心情を芹だけに話し始める。皇臥の祖父・享慈に造られた珠の話から、北御門の花嫁に隠された秘密の一端も明らかになり――退魔お仕事嫁物語、緊迫の第八弾。


うわ、【ぼんくら陰陽師の鬼嫁】って去年は新刊出なかったのか。
ほぼ二年ぶりになるんですね、意外と全然そんな感覚なかったんだけれど。いい加減年取ると1年2年飛んでても気づかなくなるなあ。
しかし状況の方は相当に混迷を深めている。ってか、今回でお話終わらなかったじゃないですか。いや、終わらないどころかまさに事が始まった、或いは裏で動いていたものが表に出てきた、というべきか。
神隠しによっていなくなった子供の捜索依頼を受けて向かった村で、それに行き当たってしまったのはなんの因果なのか。

今回、改めて北御門という家の事が話題にあがっていたけれど、家について語るということは代々の北御門の家の人達の話にもなるわけで、史緒佳お義母さんの逆プロポーズ話にまで話題が飛んで芹が食いつきまくっていたのがなんとも……ほんとこの娘、お姑さんの事大好きだよなあ。
しかし、あのお義母さんが家のしがらみや家族のゴタゴタで腰引けてる皇臥たちのお父さんに、しびれ切らして自分から飛びかかるほどのアグレッシブさの持ち主だったとは。めっちゃ情熱的だったんじゃあないですか。普段の史緒佳お義母さんって本音で話すの苦手そうな不器用そうな人なのになあ。ややも捻くれてるし、そのわりに根っこが素直すぎてボロ出しまくるし非常に可愛い人なんだけれど、殺る時はやる人だったのなあ。わりと粘質的なところは、次男の貴緒に出たのかね。
旦那さんは非常に線が細くて優しく穏やかな人だったようで、亡くなった長男含めて全員父親に全然似なかったというのは、なんとも面白いというか、史緒佳お義母さんがわりと息子たちに当たりキツいのもなんとなくわかる。ってか、長男さんなんか八城くん似のガタイデカい陽性の人物だったのかー。いや、両親と全然似てないっぽいのだがw

しかしこのタイミングで、北御門という家のことについて語られたのは、珠の傷ついた身体を修復する際、記憶が一部失われてしまうかもしれない、というだけじゃない意味があるんだろうなあ。
その内容も非常に興味深いものだったけれど。北御門家の陰陽師家としての芯となる部分が、12神将たる式神の継承に寄るものというのは非常に納得ではあったし、彼らに認められたものが北御門家の当主になれる、というのもよくわかるんだけれど、その認証の最大の要因が式神たちの心証と、現当主との血筋の近さ、というあたりはびっくりでしたね。これ、現当主との血の近さであって北御門家開祖の血筋との近さじゃないのが肝で。場合によっては、当主の嫁の血筋の方に式神の主としての資格が移っちゃう、式神が乗っ取られる可能性があるというのは結構な驚きですよ。
皇臥と芹の間に子供が生まれて、皇臥とその子供になにかあった場合という考えたくないケースですけれど、そうなると芹を式神たちが主人認定する可能性が高い、というのは……今いる式神たちの少なくない面々が芹のこと慕って懐いているのを見ると、むしろあって不思議ではなさそうなだけに。
そりゃ、北御門の親族たちが当主の嫁について干渉しようとしてくるのもわかるってもんです。ってか、この話を聞くとむしろ親族たちかなり穏当に対応してるよなあ。そのあたり、もう現代に生きる人達ですから現代の倫理に則った価値観持った人たちなんでしょうけれど。
それどころか、皇臥がいきなり芹連れてきて、この娘嫁ね、と勝手に決めて親戚筋にちゃんとお披露目も結婚式もやらんとなあなあに済ましちゃっているのを考えると、もっとごちゃごちゃ言ってきても不思議じゃないのに、ほんと穏便に済ましてますよね!? ってか、皇臥ほんともっとちゃんとしろ!!
今はまだ契約婚という形で結婚までこぎ着けている段階なので、それこそ本当の結婚にこぎつけるまでは、という心持ちなのかもしれないけれど、わりと現状で満足しちゃってて全然進展させるための積極性にまだまだ欠けているのは、ほんとぼんくらだぞ!? いや、まじで頑張れよ皇臥!
そりゃ、芹の方も珠たちが芹が嫁になってくれたこととても喜んでくれていたり、史緒佳お義母さんと家族のようになれたり、もう契約婚という現状にもやもやしたものを覚えるほどに慣れ親しんできたこと、前回の呪詛の件を通じて皇臥との親密さも深くなってきたことなど、距離感縮まってはいますけれど、果たしてそれが皇臥の努力によるものかと言うと、もうちょっと頑張れよとイイたくはなりますよ?

同居することになった次兄相手に、あほな嫌がらせしてる場合じゃなかろうにw
あの可愛い弟ムーヴ(棒読み)でろくでなしの兄に嫌がらせするところなんぞ、史緒佳お義母さんの息子だなあ、としか思わんのだけれど。もうちょっとこう、自爆覚悟じゃないやり方ないもんですか? 嫁さんが見てるんですけど!?
とどめに、神隠しで消えた子供を探しに来て、自分がもろに神隠しに遭っちゃってるんだもんなあ。
眼の前で消えられた芹の気持ちを考えなさいよ。わざと神隠しに遭って消えた子供のもとに辿り着こうとかそういう賢い考えがあったわけじゃないですよ? 普通に、偶然神隠しの条件踏み抜いて巻き込まれやがりましたからね、こいつ。本職の陰陽師のくせして。

ぼんくらか!w

いきなり目の前で消え去られたにも関わらず、パニックになりそうなのを抑えに抑えて冷静に努めて事後の対処と検証に当たった芹はマジで偉いです。あの性格悪い次兄が褒めてくれたくらいですしね。いや、あの状況でよくぞ冷静を保てたもんだ。すぐに皇臥の身代わりでもある青龍の方に連絡をとって皇臥の安否を確かめたのも冷静な判断でしたし。
術が使える云々まったく関係なく、これほど頼りになる嫁はなかなかいないですよ。そして頼りない旦那w

ただこの神隠し、どういった経緯で起こっているのか。昔からこの村では神隠しという現象が起こっていたのは確かなようなのですが、前巻でも怪しい動きをしていた准教授がついに姿を表して動きを見せてきましたし。
ここで皇臥たちと遭遇したのは全く偶然みたいなんですが。芹の友人でもある沙菜さんがここまで状況に関わってくるのも意外だったなあ。ってか、一番えらいことになってるじゃないですか。
そしてトドメに、芹ともっとも関わり深いあの人の登場である。
と、謎と疑問がまとめて押し寄せてきたところで、次巻に続くである。さすがに、ここまであからさまに途中で終わられると、続きは早い目に出して欲しいですね。