【乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル 6】 春の日びより/ひたきゆう TOブックスノベル

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死の砂漠への強制転移から数か月。アリアたちは砂上の無法都市・カトラスに身を寄せ、現地で出会った子供たちとも協力し王国への帰還の準備を進めていた。だが、人族への復讐を掲げる魔族の陰謀により古代遺跡の地竜が目覚め、魔物の暴走【スタンピード】が発生! 大規模な軍事侵攻も開始される!自身の身も危ない状況において、「仲間となった子供たちも助ける」という友【エレーナ】の覚悟を知った彼女の胸に灯る想いはただ一つ。――エレーナの命も想いも、絶対に守り抜く燃え上がる街から決死の脱出を試みる中、果たして彼女が下した決断とは……?「あなたの願いは、私が叶える!」最強主人公【ヒロイン】が灼熱の大地を駆け抜ける! 壮絶&爽快な異世界バトルファンタジー第6巻!

最初のページにちゃんと世界地図載せてくれているのは大変助かります。
特に今回は敵の仕掛けた転移で遥か遠方の地に飛ばされてしまったわけですしね。地図で見ると、アリアとエレーナがどこに飛ばされてしまったのは一目瞭然で、これはエレーナが自分達の現在地知ったときにちょっと絶望的な心地になってしまったのもわかるなあ。思ってた以上にクレイデール王国から離れちゃってるじゃないですか。
サース大陸の南東端に位置するクレイデール王国から、4、5カ国跨いだ大陸西部になるだろう死の砂漠地帯ですからね。
そもそも環境が砂漠地帯って過酷すぎるんですよね。アリアならどこだろうと平然と適応してやってけるんだろうけれど、今回はほぼ箱入りと言っていいエレーナがくっついてきてますから。
ダンジョン探索の経験があるとはいえ、一時的にダンジョンに潜るのと日常的に砂漠地帯なんて過酷な環境で暮らすのとでは消耗度が全然違うでしょうし。
そう考えると、エレーナはめちゃくちゃ頑張ってたんじゃないでしょうか。精神的に我慢強くはあっても決してタフではないですからね。アリアも甲斐甲斐しいと言っていいくらいエレーナのサポートしてましたけれど……料理、このアリア料理はきつーーい! これ王族貴族とか庶民とか砂漠の民とか関係なしにこんなんばっか食わされてたら辛いよ! 精神的にへばるわ!

ともあれ、さすがのアリアもエレーナを連れての二人旅で、魔物も頻繁に出現する砂漠地帯を横断して東に向かうことは不可能と断じて、砂漠の無法都市で足場を築いてそこで東行の手段を探ることに。
悪いことに、王国に戻るのにタイムリミットもあるんですよね。のんびりと年単位で帰るわけにもいかない。
向かってくる敵を組織ごと根絶やしにしていけば、危険も回避できる、回避というか真っ向から潰していくというか。ともかくそういう力技の対処法も、今回は砂漠渡りの信頼できる商隊を見つけるかそれ以外の方法を見つけるか、なので通じないんですよね。
それはそれとして、自分とエレーナに危害を加えようとするやからは、組織ごと潰すんですけれど。
これだけ辺境の地ともなると、暗殺ギルドと盗賊ギルドを丸ごと敵に回して殺戮して回ってるアリアの評判も届かないわけで。
アホなチンピラどもが無造作に二人に手を出そうとするのを見て、あぶっ危ないー危ないーそれ触っちゃダメ、死んじゃうー、チンピラ死んじゃうー! うわー、死んだわこいつらー。と、見てるこっちが目を覆ってしまう。これ赤ん坊が知らんと焚き火に手を突っ込みそうになってるのを見てしまったような「アブなっ!」って感覚ですよね。

そして案の定死ぬ。

適当にアリアにぶっ殺されて、メンツ潰された上役が出張ってきたと思ったらそれも殺されて、いつの間にか組織丸ごとアリアに報復しようと襲いかかってきて、逆にアリアに本拠まで乗り込まれて鏖殺されるいつものアレですね。
最近はアリアの評判が末端まで行き届いて、よっぽどアホな無鉄砲ものかガンギマリの復讐者くらいしか突っかかってこなかったので、こういう街のマフィアが自分から地雷原に突入していく姿を久々に見てしまうと、なんか真顔で「あ〜」ってなりますなあ。
それでも、今回は街を出て砂漠を渡らないといけない、という案件もあり、身近にエレーナもいることから、責任者を首(物理)にして一派に思い知らせた段階で、それより上の連中と手打ちにしたあたりは、いつもより抑制されていた、んでしょうか。
これだけ離れた辺境の地で、アリアの話を掴んできた連中の情報もそれは大したものではあると思うんですけれど。そして、彼女の危険性を正確に把握したあたりも。

しかし、この砂漠の街を牛耳る4つの組織とは外れた、勢力というのも烏滸がましいスラムの子供たちの集まり。彼らを庇護する二人の少年が、まさか攻略対象とは途中まで全然思ってなかったなあ。
この乙女ゲームってそんな大陸をまたにかける話になってたのか。
この無法者たちの土地で子供たち一緒に守って数ヶ月暮らす、という協力した生活を送ったせいか、ロンとカミールとは今までの攻略対象の子らよりもけっこう仲良くなってた気がする。いや、セラの子であるセオくんとは、アリアも弟気分で仲良くしてたと思うけど。……セオ、生意気なチビガキのイメージ強すぎて、今の急成長したイケメン執事はすごい違和感が……。内面、未だアリアの追っかけなところ変わってないし。
いや、セオくんはまあいいや。ロンとカミールである。カミールは今度の展開からも今までの攻略対象とは比較にならないくらいアリアと密接に関わることになりそうだし。今まで男性キャラと深く関わる縁がなかったエレーナも、なんかロンとフラグ立ってるんですよねえ。
……いやまあ、あのアリアとエレーナのラストシーンを見ると、誰にも割って入る余地なんぞなさそうなのですが。エレーナも立場と覚悟をこじらせすぎていて、アリアとの関係性畏まりすぎてたんですよね。同志だなんだ、と。二人共、もっとお互いの気持ちにシンプルで良かったのに。
だからこそ、アリアの側からあれだけ素直に気持ちを告げたシーンは、あの今のアリアからは想像できない心からの笑顔の挿絵とともに、胸にズキュンとくるものがありました。
徹頭徹尾、これはアリアとエレーナの二人の物語だよなあ。

そんな彼女達に割って入れるとするなら、やはり彼女達に負けないくらいアリアへの想いをこじらせているカルラくらいなんでしょうなあ。
こっちのご令嬢も、アリアと同レベルのアンタッチャブル、触ったら火傷じゃ済まない劇物になってしまって。まじで下手にちょっかいかけようとしたら、アリアよりもヤバいレベルで組織ごと丸焼きにされちゃうからなあ。おまけにアリアと違って嗜虐的だからこそ、徹底していたぶってくるし。ナサくんが精神的にぐちゃぐちゃに潰されちゃったの、微妙に興奮してしまった。
ある意味カルラ並に歪んで邁進している偽アリーシアも、これメンタルがイッちゃってる分、かなりヤバいキャラになっていて、怖いもの知らずなんですよね。彼女も怪物の一人だ。
それに比べると、クララはエルヴァン王子を本気で愛してしまい、自分の意思で悪役令嬢としてヒロインであるアリーシアを殺してでも排除して、王子の心を掴もうと凄まじい覚悟を抱いてしまったのですけれど、それでも利用すべく懐に入れた裏社会の連中に情が移ってしまったりと冷酷非情に徹する事が出来なかったり、と中途半端になってしまっていて、そういう所がむしろ非常に魅力的になってきてるの、面白いなあと思うんですよね。

原作ゲームだと、魔族国に攫われてしまったアリーシアを、好感度高くなってた攻略対象たちが救出に来る、という展開だったそうだけれど。本作だとまっさきに駆けつけてきたの、ネロとセレジュラ師匠というのがなんともはや。ネロ、自分だけでアリアを追いかけるのではなく、セレジュラ拾っていくとかこいつほんとに賢いなあ。
さあ、次は魔族国編になるのか。普通の乙女ゲームものだとここで魔族国で交友関係を広げて深めて色んな人と仲良くなるんだろうけれど、本作だとアリアが片っ端からぶっ殺していく様子しか思い浮かばないんですがw
いや、今回は孤立無援じゃなくて彼女を庇護してくれる相手がいるわけだから……やっぱりその彼を助けて色々敵性勢力をぶっ殺していく姿しか思い浮かばんな!! なんか、カルラも待ちきれずにアリア迎えに行くみたいな事言ってるし。これもう犠牲者倍率ドン!になりそうw