こちらが8月前半の記事です。

さて夏休みも後半、って社会人には一切関係ないですが。今月はガガガ文庫がやべえですねえ、このラインナップはやべえやべえ。それ以外にも気になる作品が色々と出てくるわけで……。
今月後半発売の中から幾つかピックアップ。


【物語の黒幕に転生して 3 〜進化する魔剣とゲーム知識ですべてをねじ伏せる〜】 結城 涼(電撃の新文芸)

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蘇った赤龍アスヴァルとの死闘から数か月。
レンはあることをきっかけに、これまで遠ざけていたはずの帝都へリシアとともに向かう。
そこで待っていたのは、バルドル山脈で別れた少女フィオナ・イグナートとの運命的な再会。
さらにはレオメル中に名を轟かす人物たちとの出会いだった。
「俺にこの剣の才能があるんですか?」
帝国最高の騎士団の牙城に招かれ、彼らと剣を交える苛烈な訓練の末、レンはさらに新たな力と、特別な剣技を得る。
そして、魔剣にもかつてない変化が訪れ――
黒幕と言いつつ、当人のレンにも原作当時何があったか知らないために、原作の自分がどんな思惑で何を企み動いているのか全くわからないために原作改変なんてものを試みる余地もなく、ただ目の前の困難に必死に挑んでいくしかないという手探りの賢明さが面白い作品なんですよね。何気に前巻で二回もレンによって命を助けられた事になり完全にこの人こそ運命の人と心奪われちゃっているフィオナに対して、レンの方はこちらも完全にもう一人のヒロイン・レシアの方に気持ち入っちゃってるのがいやはや。


【異世界のすみっこで快適ものづくり生活 ~女神さまのくれた工房はちょっとやりすぎ性能だった~】 長田信織(電撃の新文芸)

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転生ボーナスは趣味のモノづくりに大活躍――すぎる!?

ブラック労働の末、異世界転生したソウジロウ。
「味のしないメシはもう嫌だ。平穏な田舎暮らしがしたい」と願ったら、魔境とされる森に放り出された!? しかもナイフ一本で。
と思ったら、実はそれは神器〈クラフトギア〉。何でも手軽に加工できて、趣味のモノづくりに大活躍!
シェルターや井戸、果てはベッドまでも完備して、魔境で快適ライフがスタート!
神器で魔獣を瞬殺したり、エルフやモフモフなお隣さんができたり、たまにとんでもないチートなんじゃ、と思うけど……せっかく手に入れた二度目の人生を楽しもうか。
よくあるクリエイティブ系スローライフもので特にこれといった他と異なる特徴が一見して見当たらない作品なんだけれど、書いてらっしゃるのが【数字で救う! 弱小国家】の長田信織さんなので、作者買いで要チェック。



【獄門撫子此処二在リ】 伏見七尾(ガガガ文庫)

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獄門家――地獄より現れた血族。怪異ひしめく古都・京都を根城とする彼らは、呪術を操る胡乱な者どもはもとより、化物にすら畏怖されていた。
そんな凶家の末裔たる乙女――獄門撫子は、化物を喰らうさだめの娘。
荼毘の炎から取りあげられた、このうえなくうつくしく――このうえなく、忌まわしい娘。

しかし……
「撫子か。なるほど、その名の通り可憐だな。」
このうえなく奇妙で、胡乱で、美しい女――無花果アマナ。
自らを恐れもせずに笑う彼女との出逢いが、撫子を変えていく。

花天井に潜むもの。箱詰される人身御供。学園にあざなえる呪い。人を幻惑するけもの。かたちなき化物。
次々と怪異に挑むうち、二人はやがて目を背けていた己そのものと対峙する。

「あなたさえいなければ、わたしは鬼でいられたのに。」

鬼の身体にヒトの心を宿す少女と、ヒトの身に異形の魂を抱える女。
二人のつむぐ縁が、血の物語の封を切る。
TYPE-MOON武内崇氏も認めた、おそろしくもうつくしき、少女鬼譚。
第17回小学館ライトノベル大賞《大賞》受賞作。タイトルの題字、格好いいっすよねこれ。久々にど直球の現代伝奇ものの気風を観た感じ。少なくとも掴みは絶対OKです、まじファースト・インプレッションでこれはグッと来てしまいます。一見してめちゃめちゃ面白そう!ってなるわー。まずは手にとって観ないと。


【ドスケベ催眠術師の子】 桂嶋エイダ(ガガガ文庫)

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前代未聞!? ドスケベ感動巨編!!!

「ドスケベ催眠四十八手――夢幻狂気」

転校初日に“狂乱全裸祭”を引き起こしたそいつの目的は、俺の協力をとりつけることだったらしい。

「私は片桐真友。二代目ドスケベ催眠術師。いえい」(だぶるぴーすぶいぶい)

――ドスケベ催眠術師。

俺にとっては悪夢そのものの名前だ。
誠に遺憾ながら、その初代こそが、俺の父親だからである。
縁を切って、苗字まで変えたのに。

「サジ。ドスケベ催眠術師の子として、私の仲間になってほしい」
「断る」

催眠女子×闇系男子のタッグ成立!? ドスケベ催眠×青春コメディ!!
これまたどうやっても第一印象で無視できない、どうしても頭にタイトルが焼き付いてしまう作品じゃないですか。
エロ系の小説としてなら別段珍しくもないのでしょうけれど、こうして普通のライトノベルのタイトルとして出てくると、ただ単にエロを目的とするのではない、何かしらの妙味や深味を期待してしまいます。



【バスタブで暮らす】 四季大雅(ガガガ文庫)

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22歳女子、実家のバスタブで暮らし始める

「人間は、テンションが高すぎる」ーー

磯原めだかは、人とはちょっと違う感性を持つ女の子。
ちいさく生まれてちいさく育ち、欲望らしい欲望もほとんどない。物欲がない、食欲がない、恋愛に興味がない、将来は何者にもなりたくない。できれば二十歳で死にたい……。

オナラばかりする父、二度のがんを克服した母、いたずら好きでクリエイティブな兄、ゆかいな家族に支えられて、それなりに楽しく暮らしてきたけれど、就職のために実家を離れると、事件は起こった。上司のパワハラに耐えかね、心を病み、たった一ヶ月で実家にとんぼ返りしてしまったのだ。

逃げ込むように、こころ落ち着くバスタブのなかで暮らし始めることに。マットレスを敷き、ぬいぐるみを梱包材みたいに詰め、パソコンや小型冷蔵庫、電気ケトルを持ち込み……。さらには防音設備や冷暖房が完備され、バスルームが快適空間へと変貌を遂げていく。

けれど、磯原家もずっとそのままというわけにはいかなくて……。

「このライトノベルがすごい!2023」総合新作部門 第1位『わたしはあなたの涙になりたい』の【四季大雅×柳すえ】のコンビで贈る、笑って泣ける、新しい家族の物語。
あまりにも強烈だったデビュー作【わたしはあなたの涙になりたい】の四季大雅さんの新作となればどうやったってスルーは出来ますまい。
前作はど真ん中にストレートを投げるぞ、と事前に予告されて来る球来るコースまでわかった上で一級もカスリもせずに三球三振させられたような、まさに圧巻の作品でした。
今回はどこか明るい雰囲気も有る家族のお話らしいので、ダメージは食らわない……かどうかは読んでみないとわかりませんけどね!?


【俺と妹の血、つながってませんでした 2】 村田 天(富士見ファンタジア文庫)

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秘密を知ってしまった、夏。私は、妹から一歩先に踏み出す。

最近、妹の久留里の様子がおかしい。いつもベタベタしてくるのに、家族の危機でも、一緒に海に出かけても、変に大人しいのだ。だが、理由は簡単だった。知ってしまったのだ。俺達の血が、つながってないことを。
兄妹という関係におけるラブストーリーって作品ごとにそれぞれ兄妹の距離感や恋愛観なんか違うものなのですが、本作は家族ものとしての様相も内包していて、かなり真剣に家族のなかの好きとラブに向き合ってる物語で甘くも鮮烈な内容だった。特にラストには惹きつけられただけに、そこから続くこの2巻の展開には今から手に汗握りそうです。



【ブラックガンズ・マフィアガール】 扇 友太(MF文庫J)

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イタリアマフィアの少女と日本の男子高校生の次世代ボーイミーツガール!

極限のリアリティを実現した仮想世界内で、他者と交流を深めるサービス『VRSNS』が現れた未来。そこで誕生した仮想の闇社会では、次世代マフィア・電賊が蠢めくようになった。普通の高校生・日野ナオトは偶然にも――
「日本人、のようですね。あなたが“運び屋”ですか?」
マフィア〈ウルヴズ・ファミリー〉の一員、マーリアに遭遇、関係者と誤解されただけでなく、彼女の仮想兵器L・O・S・Tをインストールしてしまう。二週間以内に事態を解決しなければ組織から処刑されるマーリアと、命の保証を受けたいナオト。イタリアマフィアの少女と普通の男子高校生は、一つの契約を結ぶことになり――!
うおおっと!? 凄い久々に凄い名前を拝見しましたよ、扇 友太さん。
かつて第9回MF文庫の新人賞で最優秀賞をもぎ取った【MONSTER DAYS】の作者。
この作品はのちに今はなき「NOVEL0」というレーベルから【人魔調停局 捜査File】というタイトルで新装されたのですが、これがまたべらぼうに面白かったんですよ。超弩級のスピード感とエンターテイメントアクション性、そして重厚にして逃げのないテーマ性の篭ったどすげえ作品だった。

あれから一切音沙汰なかったんですが、まさかもう一度この方の作品を読めるときがくるとは。ちょっとテンションあげあげですよ。


【魔女推理 嘘つき魔女が6度死ぬ 1】 三田誠(新潮文庫nex)

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春。満開の桜の樹の下で、僕は「彼女」に再会した。檻杖くのり。久城という街に住まう、美しくも謎に満ちた存在。「魔女」と称される彼女の周囲では常に事件が起こり……。記憶を失った少女。川で溺れた子ども。教会で起きた不審死。不可思議な謎の原因は「魔法」なのか。あるいはそれは「噓」なのか。くのりと僕、二人の高校生の等身大の青春を描く魔法×ミステリー、ここに開幕。
近年はロード・エルメロイ二世シリーズに集中していた三田誠さん、久々の新シリーズですよ。や、でもこれまで書いてきた作品って多くが異能バトルものだったりするので、こういう学園ミステリー的なものって実は初めてなんじゃないでしょうか。魔法・魔術とミステリーについては今【ロード・エルメロイ二世シリーズ】でじっくり煮込んでやっていますけれど、あれはどっぷりと魔術師の世界に入った上での物語ですからね。
魔法という不可思議な要素があるとはいえ、高校生主人公は久々ですし、これは実に楽しみ。