【チュートリアルが始まる前に 2 ボスキャラ達を破滅させない為に俺ができる幾つかの事】  高橋 炬燵/カカオ・ランタン 電撃の新文芸

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新たな敵は最強のクランマスター!? ボスキャラ達による正史叛逆第2弾!

バッドエンドに陥るはずだった少女・蒼乃遥をその正史から救い、彼女とパーティを組むことになった凶一郎。理不尽なルールで襲い掛かる『ダンマギ』のダンジョンボスたちを、凶一郎のゲーム知識と遥の天賦の戦闘センスによって次々に攻略していく二人であったが──。
「どうかな、君たちさえ良ければ、私達と一戦交えてみないかい?」
五大クランの一角「燃える冰剣」のクランマスターにして最強の熱術使い、ジェームズ・シラードから挑戦状を叩きつけられ──!?
「ダンマギ」屈指の最強キャラクターである彼に、凶一郎は遥と《ある秘策》で戦いに挑む──!

──そして、凶一郎は出会う。
「はじめまして……じゃない。一度会った事がある」
正史ではいずれ凶悪なグランドルートボスとなる、悲劇的な運命を背負った少女に──!
WEB版から大幅加筆で贈る、いま最も読者を熱狂させるゲーム転生ファンタジー第2弾!

これの原作ゲームって実は内容鬼畜すぎないですかね!? ゲームの本編描写が惨劇ばかりというのもあるのですけれど、何よりボスキャラが今のところみんなバッドエンド後の残骸とか悪堕ちした感じの子ばっかりなわけですよ。
遥については、どうしてボスキャラになったのかについての詳しい経過を凶ちゃんが知っていたからともかくとして、ユピテルの方はそういう事情ゲームの方では描かれていなかったんですよね。
だからこそ、ゲームの狂気に浸った享楽的な殺戮兵器とは全然違う大人しくて無表情無感情キャラなゲームオタなユピテルと遭遇し、彼女と縁が繋がることで凶一郎と遥はこの娘が歩むであろうバッドエンドな結末を回避するべくどうしてああなったかという原因を探し始めるのだけれど。

まあその前に、凶ちゃんのさらなる強化ですな。1巻ではそれほど描写なかったと思われる凶一郎の筋肉信奉がこの2巻になって急速に色合いを濃くしていってますね。なるほど、これ筋肉ダルマだ。パワーオブパワー。筋力こそ正義。アルとのトレーニングによって、まああれだけフィジカルトレーニング重ねてたらムキムキにもなりますわなあ。
そこで成長した筋肉に見合う武器を、という事で探して巡り合ったのがなんか浪漫武器の極北みたいなエッケザックスというのが実に良い趣味している。
その名も着脱式可変戦闘論理搭載型多目的近接兵装「エッケザックス」!!
武器じゃなくて兵装って自分で言っちゃってるよ。巨大な鉄塊でありながら、自由自在にその形状を変化させる自在兵器。何にでも変形できる武器って、ただ重い塊でぶん殴るだけという単純さとは真逆でその場その場に合わせて適切な形を選択しなければならないし、主導権を握るならば敵に合わせてじゃなくてこちらの形状変化に弱点が直撃するように敵に強いさせる、なんて真似も出来るわけで。重くて持ちづらい、扱いづらいというだけじゃない使う難易度の高さが伺える武器である、兵装である。
とはいえ、凶ちゃんってこのあとのシラード戦で目の当たりにすることになるんだけれど、筋肉ダルマのくせに脳筋とは程遠くて、後方支援型つまり戦況をコントロールするタイプでもある最強のクランマスターから戦闘指揮を褒められるほど、指揮官属性高いんですよね。
指揮能力だけじゃなくて、前線で戦いながら作戦を組み立てて行くことの出来るプランニングや、自分自身をも駒として運用できる視点の高さ視野の広さ前衛で戦いながらの客観性の保持。戦闘知能バトルインテリジェンスが極めて高い。おまけに個人戦闘能力も、切れるカードを幾つも隠し持っていて非常に高い、と来たもんだ。
このインテリジェンスの高さと指揮管制能力は、ある意味戦闘能力が高すぎて運用方法も尖りすぎている遥を、十全使い切ってることからも明らかである。シラードが確認していたのって、単純な冒険者としての能力の高さ、ユピテルの暴走を抑えられるかという所なんだろうけれど。遥とはまた別のベクトルで能力が尖りまくってるユピテルを凶ちゃんなら使いこなせると、この試しで確かめられてシラードさん的にはむちゃくちゃポイント高かったんじゃないだろうか。

にしても、遥とのダンジョン探索、これもう普通にダンジョンデートですよね。特に遥はダンジョンでの冒険にワクワクしている以上に凶ちゃんと一緒に潜ること自体にはしゃいでおりますし。傍目にはもうデートで遊びまくるよ!というテンションなんだよなあ。テーマパークで遊んでるみたいだぞこれ。それだけ遥の明るさが場の雰囲気を盛り上げ楽しくさせているということなんだろうけれど、彼女のことを恒星系ヒロインと呼んでるのはなるほどなあ、と思ってしまいます。
彼女の明るい前向きさって、とかく凶一郎を勇気づけてもいるんですよね。ユピテルをチームメンバーに加えて以降もずっと凶ちゃんの悩みは煩悶を吹き飛ばす形で、遥の明るさが励まし続けてくれてますし、ユピテルに対しても両手広げて大歓迎して彼女の持つ問題を知っても一切微塵も引かずビビらず、凶一郎と意を共にしてくれているわけですから、いったいどれだけ彼女の存在が勇気となって凶一郎を後押ししてくれたか。
一番最初に一番得難い仲間を手に入れたんですなあ、凶ちゃんは。というと、アルが何か言ってきそうですが。一番最初は貴女でしたねw
あと、ちゃんとダンジョンの冒険終わったあとでもデートしているのはポイント高いぞ。ふたりとも実はまだ中学生ということもあって非常に健全なデートでしたが、これ遥の無邪気さが大人になって練れてきたらドエライ女性になりそうだなあ。今のうちからこんなベタベタしてて大丈夫だろうか、凶ちゃん。すでにどツボにハマってきてそうだけど。

しかし、この巻ではユピテルの問題片付かなかったのか。いや、しつこいなあのモンスターペアレント。結構今回で奥歯ガタガタいわせてやったと思うのだけれど。いやつまりさらに追い打ちでトドメ刺しに行くってわけですね。よしよしいいぞもっとやれ。