【可愛ければ変態でも好きになってくれますか? 8】  花間燈/sune MF文庫J

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「私たち、付き合ってみよっか?」
妙な流れから生徒会長の鷹崎志帆先輩の恋人のフリをすることになった俺、桐生慧輝。どうやら最近、先輩に付きまとっているストーカーがいるらしい。先輩のためにも俺が犯人を見つけなければ! 書道部の面々の視線を感じながらも、恋人プレイとして先輩に膝枕をしてもらったり、一緒にポッキーゲームをしたり、の日々。このまま先輩の本当の恋人になってしまうのも悪くないかもなんて考えてしまったけど、一体、犯人は誰なんだ? 小春先輩と翔馬の恋の悩み(のろけ)に夕妃さんとの休日デート、他にも盛り沢山でお届け! の新感覚変態湧いてくる系ラブコメ、まだまだ盛り上がり続ける第8弾!




鷹崎さん、やっぱり変態だった!
なんだよー、鷹崎会長常識人の真人間だったんじゃないのかよぅ。明るくてしっかりしていて面倒見が良くて頭も良くて性格も良くて、と完璧に近い女性だったのに。
ついに慧輝の求める彼女の理想像を体現する適合者が現れた上に、鷹崎先輩の方からお付き合いしてみる?なんてお誘いまで受けちゃって。
前巻の感想では個人的にも完全にお祝いムードだったんだけどなあ。
当初の目的である「慧輝くんに彼女が出来ました」完! で終わってしまったかと思ったのに。

また一等業が深いのが来た。
寝取られ、まさかのNTR属性かー。いやこれは性癖であって変態性と言えるのか、と問いたいところだけれどここの変態たちはだいたい性癖の問題なんで同類と言えば同類か。
なおさら鷹崎先輩の業が深いのは、既にセミハーレム状態の慧輝くんだからこそ速攻でプチNTR気分を味わえるからこそちょっかいを掛けてきた側面が在る所なんだよなあ。もちろん、まず慧輝くんの事をイイなあと思わないと始まらないのですけれど、最初から盗られる前提で慧輝くんの周囲の女の子たちを煽って無理やり奪われるシチュをペロペロ味わうとか、うんやばいです。なかなかにやばいです。マッチポンプNTRかー。
とはいえ、鷹崎会長もまだまだNTRの深淵を味わったとは毛頭言えないと思うんですよね。こんなプチ寝取られなんかじゃなく、本気で誰にも取られたくない、自分だけのものにしたいと思える恋をして、人生賭けるほどのめり込んでしまった相手を、一度完全に自分のものに出来た相手を。相思相愛となり幸せな時間を共有したパートナーを、むざむざ横から奪われてそれを見せつけられたとき。
果たしてそこに絶望や憎悪だけじゃなく、喜悦や興奮を覚えられるのか。そういうシチュエーションにこそ沼のようにハマってしまえるのか。そこが鷹崎先輩がガチの寝取られ師になれるかどうかの分岐点になるのでしょう。
……なんちゃって寝取られで満足してるくらいの方がいいですよ、生徒会長。NTRはガチでハマるとえらいことになるからなあ。

さて、普通の恋人を作る夢破れ、紗雪と唯花にはわりとガチで襲われ(性的に)、慧輝の彼女がほしいという願いが叶う日は遠ざかるばかり。
一方でこちらは本当にちゃんとお付き合いをしている小春と翔馬の方はというと、ロリコンの翔馬が小学生に目を奪われ意識を奪われ夢中になってしまった事でエセロリ先輩な小春が激怒、という痴話喧嘩に発展。こちらもまた業が深い。ただ小春先輩からすると、やっぱり自分みたいな薹が立った偽物の見た目だけロリでは、小学生という真性ロリを相手に負けてしまうのか、と不安にはなりますよねえ。
意外とこの小春・翔馬カップルの話では毎回慧輝・凛太郎と翔馬との三人の男同士の暴走気味のドタバタ友情話と、瑞葉と愛梨たちとの女子組のこっちもちょっと百合変態も入ったガールズトークが展開されるので、けっこう美味しいネタなんですよね。慧輝くん周りの話抜きでのドタバタコメディは重心が慧輝くんに偏っていない分、また違った味わいがあるだけに。

そして先ごろ文化祭で泥酔した上での男の子への声掛け事案で、わりとそれがちで警察沙汰じゃないですか? というトラブルを起こしてしまったブラコンビッチ痴女の翔馬の姉の一人夕妃さんが、慧輝くんにガチ惚れしてしまい……しかし彼女は格好だけのなんちゃってビッチでヘタレで恋愛力底辺の喪女だっただけで、別に変態でもなんでもなかったので舞台にはあがれなかったんだよ。
……これ、マジで変態でないと慧輝くんとのラブコメまで発展しないんだろうか。いや、夕妃さん性癖とか変態性が絡んでいない分、慧輝くんに抱いたそれはわりとガチ目の普通の恋だったと思うのだけれど。逆に言うと、純粋に恋心だけだったからこそ、その恋が叶わないと察した時にそれでも敢えて踏み込んでいくだけのものがなかったんだろうか。本人にも制御できない、というか制御する気もない変態性癖がその人を突き動かすのなら、恋が叶うか叶わないかなんか関係なく性癖に任せて突撃できちゃったのかもしれないけれど。まあ単に夕妃さんがヘタレだった、と言ってしまえるのかもしれないが。

しかし気になるのが、夕妃が気づいてしまった慧輝が本気で想いを向けている相手だろう。慧輝本人は確実に自覚ないんですよね。無自覚に、でも無意識にだからこそ余計に第三者には際立って見える形で、一人だけ慧輝の向き合う様子が違う相手が居たんだ。
それを見て、かなり本気で慧輝に告白するつもりだった夕妃さんが、想いを胸に秘めたまま断念する道を選んでしまったほどに決定的だったんですよね。
これ、既に物語的にも慧輝の相手は一人に絞って決まっているということなのか。これはなかなか大胆な展開に突入したなあ。