【女難戦記 男女比1対10の女性上位の軍隊で、エースパイロットの俺だけが男の話】  寒天ゼリヰ/よろづ いずみノベルズ

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『戦場は女のものだ。男は引っ込んでいろ――』

銀河を支配する地球外知的生命体、ヴルド人は人口に占める女性の割合が極めて高く、男性は家を守る者という常識を持っていた。
地球人のエースパイロットである北斗輝星は、傭兵としてそんな彼女らに混ざって戦場を渡り歩いていた。

類稀なる操縦技能を活かし戦場では無双の活躍を見せる輝星だったが、機体を降りればただの貧弱な地球人に過ぎない。男に飢えたヴルド人たちが、魔性の美貌を持つ彼を放置するはずもなく……


いずみノベルズって何それ初めて名前聞いた、ってレベルで知らんかったんですけど!?
すでに3年前から創刊されてたみたいで、いやマジで知らなかった。
たまたまこの本の作者である「寒天ゼリヰ」さんの名前が検索に引っかかったんですよ。
異世界転生して騎士になった僕(男)は、メスオークどもからくっころを強要されていた。】という作品を連載なさってて、これが戦記モノとしてなかなかに読み応えがある作品で面白くってねえ。ただ「ハーメルン」の方で追っかけてたんですけどハーメルンではこの一作しか投稿してらっしゃらなくて、他に作品書いてること自体知らなかったんだよなあ。
まさか既に書籍化されてる作品があったとは。レーベル自体全然知らなかったわけですけれど。
たまたま覚えのある作者名が引っかかって、この作品の存在に気がついた次第。

こっちはあれだよ、スペオペだよ。スペースオペラだよ。これは昨今、ライトノベルじゃハードル高いジャンルだよなあ。とはいえオーバーラップの【星間国家】シリーズみたいに長期シリーズになってる作品もあるわけですし。もっとスペオペ見たいもんですねえ。
本作はこの作者さんの芸風とでも言うんでしょうか。女性が社会的にも身体能力的にも上位にいる貞操逆転世界がその大きな特徴となっています。
……そう言えばなんで男女逆転世界とかじゃなくて貞操逆転世界なんでしょうね。同じタイトルの作品けっこうあるし。単純に男女の立場が入れ替わっているだけじゃなく、貞操観念そのものが逆転している価値観の世界、という事なのか。
こういう世界だと、女性がやたらとおっさん臭いのが多いんですよね。逆に男性の方はナヨナヨしていて守られる存在だと認識されている事が多い。今どき女性キャラだって性格キャラクターは千差万別なんですが、不思議とこの貞操逆転世界だと男キャラって主人公以外は型に嵌めたように同じな事が多いんですよね。
本作はその点、割り切って男性の登場人物が主人公の輝星しか出てこない、という形で徹底されているので男キャラの違和感については目につく事は非常に少ないのですけど。
一方で、じゃあ出てくる殆ど十割を占める女性キャラはどうなっているのか、というと……メインヒロインのシュレーア皇女、完全に童貞拗らせた変態ドスケベ小僧である。理性が簡単に性欲に負けとる。そのくせヘタレも極まってるので、非常に気持ち悪い変態に仕上がっている。
これでも、大帝国に攻め込まれ亡国寸前の皇国で、旗印として健気に戦い続ける薄幸の美少女姫という体だったはずなのですが、もう発酵しちゃってるよなあ、これ。発酵しても腐女子にならずに自分の欲望に息を荒らげ目を血走らせる見るからにやばい人になっちゃってるのが、なんともはや。
なんで女性なのにこんなに童貞臭がするんだろう。残念が極まってる。
一方で、物語のはじめの方で輝星に見事に蹴散らされて、復仇を誓うどころかむしろボコボコにやられた事でなにかに目覚めてしまったのが、帝国側のお姫様ヴァレンティナである。姫といっても継承順位も低く、姉姫に顎で使われるなかなかに世知辛い立場の姫さまなんですが、そうとは言っても今や銀河を席巻しつつある大帝国で艦隊一つを任せられ、侵略の一翼を担って活躍している人物でもあるので、傲岸不遜の皇族である事は一緒なんですけれど……まあこいつはこいつで変態ストーカーと化したおっさんである。イケメンあるいは美女なら許されるであろう気障っぽい仕草やセリフも、やたらと粘度が高くてセクハラめいているので、完全にアウトなおっさん仕草である。乙女ゲーの攻略対象王子様的な立ち位置のくせに、なんでこんなに気持ち悪いんだヴァレンティナw

いや、ヒロインたちがここまで気持ち悪いと、それはそれでラブコメらしさが無いのがむしろ面白く思えてくるんだけれど、ここまで来るともうこいつら男で、主人公が女の子の方が収まりよくなるんじゃ、なんて事が若干脳裏をよぎってしまいました。
主人公の北斗輝星は、この貞操観念が逆転してしまっている宇宙・銀河において、地球出身であるがゆえか価値観は地球寄り。ゆえに男だてらに前に出て頑張っているのですが、何しろ身体能力は明らかに異星人の女性である彼女らの方が上である上に、輝星自身地球人男性としても虚弱な方なので、生身だと全く女性陣に敵わない、抵抗できない、無力でか弱い存在なのです。
と言っても性格まで軟弱なこともなく、むしろ機動兵器……ロボットだよ! このパイロットとしては凄まじい自信家なのである。けっこうイケイケドンドンな性格してるんですよね。かと言って増長しているわけではなく、かなりの現実主義者でもあるのだ、これが。
面白いのが、実際に一騎当千の活躍でただ一機をもって戦局を覆すほどの戦果をあげながら、機体のスペックは虚弱体質故に殆ど引き出せていない。かなり省エネな挙動でやりくりしてる、という所なんですよね。パイロットの能力に機体がついていけなくなる! みたいな展開とは真逆だったりする。じゃあなんでこんなに無双できているかというと……これ、いわゆるニュータイプですよね、彼。
他者との共感能力、あるいは知覚能力というべきか。これを異常なレベルで過敏なくらいに張り巡らせているが故に、敵の動きや攻撃を先読みでき、常に相手を上回る挙動、戦術を取ることが出来る。
しかしその共感性が高すぎるが故に、敵味方の戦場での死にも共感して心的なダメージを喰らってしまうため、敵機や敵艦の撃破まではしても搭乗者を殺さないように立ち回っている、というのは思想信条による不殺とはまた違った一貫した理由あってのものなので、この辺はしっくり来るかな。
また、組織や国に属したら相手を殺す命令を遂行しなくてはならなくなるため、フリーの傭兵として縛られない立ち回りをシている。ごちゃごちゃ言ってくるやつには、戦果をもって黙らせる、とこのあたりも首尾一貫してますわなあ。いざとなったら、やるべき事はやってますし。
意外と戦艦や艦隊同士の艦隊戦もしっかりやっていて、一機が無双するから簡単に戦局が覆る、みたいにはなってないんですよね。
そもそも、亡国寸前の弱小国家に味方して、イキってる偉そうな貴族皇族をぶっ飛ばして大逆転、という構図はなんだかんだと定番ながら燃えるシチュエーション。すでにシリーズ完結、さらに新シリーズもはじまってるみたいなので、ひとまずボチボチと追いかけてみたいと思います。

にしても、両皇女が変態すぎるのでこれヒロイン、同じパイロットの相棒格にして姉御なサキさん一択でいいんじゃないだろうか。
シュレーア殿下も、まあ残念すぎるのがむしろ残念カワイイみたいになってるし、本質的には健気な娘でサキも含めてついついみんな見捨てておけないタイプなんだけれど……変態だしなあw
すでに一般兵士にまであの姫様、ドスケベ小僧すぎてヤバい、という風に周知されだしてるしw