【転生したら皇帝でした 5 ~生まれながらの皇帝はこの先生き残れるか~】  魔石の硬さ/柴乃櫂人 TOブックス

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「余と結婚してくれ」
帝国統一目前に、ついにカーマインは隣国の王女にプロポーズした。反乱があっても揺るがぬ皇帝の威信を周辺国に見せるため、と言いつつ本心は「ロザリアかわいい」ただそれだけ。迫る式典に間に合うよう遠征から帰国すべく、“兵数2倍の強軍を落とした将”とカリスマ扱いされている彼は、最終決戦も万全の準備で迎え撃つことに。早速敵を壊滅させるが、謀反が発覚。裏切りが裏切りを呼び、一気に東西南北を包囲されてしまって!? (式ぐらいゆっくりさせてくれ……)絶体絶命の窮地を突破して、いざ結婚式へ!エスプリ幼帝の痛快王政サバイバルファンタジー第5弾!


前巻の終わりにラウル領平定戦でのカーマイン自らが突撃するほどの激戦を勝ち抜いて勝利を掴み取った所から、いきなり織田信長の金ヶ崎の戦いばりの窮地に立たされた所で終わったので、そこからはじまるのかと思ったら、ちゃんとラウル領平定から金ケ崎、じゃなくて三伯の乱というのか。
未だ反乱を続けて独立の気配を見せているテアーナベ連合の討伐に向かったら、後方で味方のはずの三人の伯爵が反乱を起こし、さらに突然東の共和国が攻め込んできて、絶対有利の状況が一転して袋の鼠の絶体絶命のピンチに、という状況でさあどうなる、という所だったんですけどね。
この三伯の乱はラウル領平定から1年後の出来事。つまり、一年分色々とイベントはあったわけですよ。これをすっ飛ばして進行するのかな、と思ったら改めてこの一年のことをちゃんと描いてくれるらしい。
何気にラウル領平定戦はカーマインの初の親征であり、若き皇帝がワルン公の傀儡などではないという武威を見せなきゃならなかった戦いで、その論功行賞はこれからのカーマイン政権がどのように運営されていくかを見るためにも重要なイベントではあったんですよね。
その上、カーマインの成人に合わせての婚約者ロザリアとの結婚もありましたからね。いや、結婚は大事ですよ、これすっ飛ばしたらダメですよ。
何しろ彼女は未だカーマインが暗愚を装って臥薪嘗胆していた幼い頃から、数少ない真実を知る味方としてカーマインのメンタルを支え続けてくれた人であり、何気にロザリアが本国のベルベー王国から連れてきた将軍というか参謀長じゃねというくらいの武官のサロモン卿や外交官のセルジュ卿なんか、まだ信頼できる上に有能な臣下が非常に少ないカーマインの大きな助けになってますからね。
彼ら、ロザリアの後見だからむしろ信頼できるあたりがなんともはや。
いつ殺されるかわからないというメンタルごりごり削られるだろう日々の中で、ロザリアの存在がカーマインにとってどれほどの救いとなったか。利がある云々以上に、カーマインにはロザリアの存在は大きいなんてもんじゃないでしょう。
ってか、わりと率直に政略結婚じゃないよ、とロザリアに気持ち伝えてるあたりカーマインくん10点です。むしろ、そんなカーマインの気持ちに喜びながらも彼の正室として政治を忘れない、蔑ろにしないロザリアはやっぱり傑物なんですよね。この件に関してはカーマインの方が浮かれていたっぽいんだよなあ。いつもなら常に政治的スタンスを意識している皇帝陛下がロザリアべったりでしたし。
ワルン公息女のナディーヌやチャノム伯の娘であるヴェラといった娘たちも、傀儡皇帝としてのカーマインではなく、彼個人の側に居てくれていた娘たちなだけに好意は十分あったはずなんですけれど、それでもしばらくはロザリアとだけ結婚生活するつもりでしたもんね。
それを、むしろロザリアが主導でナディーヌやヴェラも側室として迎え入れることに。カーマインに助けられて彼にべったりなヴェラはともかく、ナディーヌの方は輿入れとなるともうちょい彼女個人に踏ん切りというか覚悟を持つ時間がいるのかな、と思っていたのですけれど、あっさり受け入れたあたり既にそのへんの気持は固まってたんですなあ。

というわけで、バタバタと三人娘と正式に結婚することに。いやこのイベントは飛ばしちゃダメですよ、皇帝陛下。結婚自体はテアーナベ討伐戦のあとだったわけですけど、いや後だったお陰で余計にスケジュールぐちゃぐちゃになってえらいことになったのか。
皇帝としては君を特別扱いできないけれど、俺にとって君は特別だよ、とロザリアに言えちゃうカーマイン、満点です、満点。

一方で転生者についても色々と話が進んでますね。帝国の初代開祖が転生者だったという話や、転生者を支援してその技能を利用する組織が接触を図ってきたりなど、この世界には少なくない転生者たちが古い昔から存在している事は示されていたのですけれど、そうかーこれから帝国と敵対するであろう他国にも転生者たちはいるのか。実際、ラウル領平定戦のシュラン丘陵の戦いでは敵方に転生者が居たみたいですしね。
ぶっちゃけあれはカーマインが自ら突撃しなかったらそうとうヤバいことになってましたからねえ。お陰で、個人的武勇まで持つ英傑皇帝として名が上がってしまったわけですけれど。

んでテアーナベ連合討伐戦で、罠にはめられ一転窮地に陥ったカーマイン。これかなりの大戦略に情報封鎖で完全にカーマインのこと謀略の網に絡め取ってるんだよなあ。
この時点でカーマインサイドは戦争としては負け。後はどうやって生き延びるか、まで追い詰められていたはずの死地にあったはずなのに、包囲網の一番分厚いところぶち抜いて悠々と突破した挙げ句に、敵地の交通の要衝となる都市を速攻で陥落させて橋頭堡を確保した上での撤退に成功してるわけですよ。
カーマインとしては思いっきり油断してやらかしてしまい、なんとか強い皇帝としての体裁だけ整えて逃げ帰ってきた、くらいの感じで語ってるんですけれど、帝国という国家として完全に負け試合食らわされたにも関わらず、皇帝個人としては直属に精鋭となる武官が揃っていたというのもあるけど、戦歴無敗の無双しまくって堂々と帰ってきたので、むしろ皇帝個人の武威はあがって彼個人としては勝ちでいいんじゃないの? というなにそれ案件なんですよねえ。
しかも、なおも仕掛けは帝国を、カーマインを絡め取ろうとさらなる一手を打ってくるのですけれど、二度も三度もまんまとやられるカーマインではなく。むしろもう同じ手は通用せんよ、とばかりに準備万端。ってかテアーナベ討伐戦の失敗を反省して、じゃなくてそれ以前から手札を揃えて待ち構えていた、というあたりこの皇帝陛下ほんとにもう、傑物ですわー。

しかし、側仕えのティモナが最近カーマインの側を離れて重要な仕事につくことが増えたせいか、代わりにレイジーが側近みたいな形で側に侍る事が増えてますよね。同じ転生者であるという以上に前世で近しい関係だったっぽい感覚があるせいか、ティモナと同等とまで行くかどうかわかりませんけれど全幅に近い信頼を寄せてますし。レイジー自身は別に公私に渡って仕える女伯がいるだけに複雑みたいだけど。
あと、敵方の話を見る限りカーマインにかなり近い所にいる人物で、裏切り者が潜伏してるっぽいんだよなあ。色々といったい誰が、と想像してしまいますけれど、これは緊迫感拭えないなあ。