【魔女と傭兵 2】  超法規的かえる/ 叶世べんち GCN文庫

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未知の大陸に渡ったジグたちもすっかりこの土地に馴染み、
血と剣戟に溢れた平和な日々を過ごしていた。

シアーシャが臨時の冒険者パーティーに加入することになり、護衛仕事を一時離れることになったジグ。
この時間を有効活用しようと考えていた矢先、激闘の末知人となった二等級冒険者のイサナから、
子供誘拐事件の捜査に協力して欲しいと頼まれる。

事件捜査など管轄外の依頼だが、そこは報酬が合えば何でも受ける傭兵。
ジグは自身が培ってきた裏稼業の知見を駆使して、事件解決に動き出すのだった。

web小説発、圧倒的支持を受ける本格ファンタジー待望の続刊!!

これまでの傭兵としての価値観がどうにも通じない、冒険者たちが栄え魔獣たちが跋扈する新大陸。その流儀にも段々と慣れてきつつも傭兵としての自分を貫くジグ。
ともあれ、慣れてきた事は確かなのでシアーシャもパーティーを組むとまではいかないまでも、臨時パーティーに入ってみたりと新しいことに挑戦をはじめています。
これまでは人間と戦うばかりだった魔女なせいか、臨時パーティーとの顔合わせで緊張してうまく話せず、相手の女の子とお見合いしてしまっている様子なんぞはこれ微笑ましいと思うべきなのか。いやー、カチカチじゃないですかー。どんな危地でも死地でも余裕を失わない飄々とした態度ばかりだっただけに、緊張のあまりどもるは固まるわという姿を見せられてしまうと思わずニヨついてしまいます。かわいい。
ジグを引き連れてランク上げのための討伐任務とか採取任務などに向かう事もあるのですけれど、上記したみたいに一人で違うパーティーに参加したりという事も増えたので、この巻はわりとジグとシアーシャ別行動だったなあ。
というわけで手のかかる娘さんを学校、もといお仕事に送り出して暇してゴロゴロしているお父さんなジグ。などというわけじゃなく、この男もわりと働き者というかシアーシャが居ないならいないで傭兵としてだけれど依頼を受けて動いたり、武器防具の新調やメンテのために店を巡ったり情報を集めてまわったり、と意外とジッとしていない。傭兵とか冒険者なんて仕事がないときは食ったり飲んだりしてダラダラしてるのが基本イメージなのはこの世界でもあんまり変わらないようにも思えるし、この新大陸側だと身体強化魔法が常識レベルで普及しているので訓練や体力づくりなんかもあまりされてないっぽいんですよね。
なので、ジグってこれ相当に働き者なんじゃないだろうか。
そして、傭兵という在り方にこだわってはいるジグだけど、そのまま旧大陸での傭兵としての振る舞いを貫こうという真似は全然していないんですよね。まあ向こうの傭兵や冒険者の定義から流儀から、こっちとは全然違うが故にあっちの流儀をそのままこっちに持ってくると必然レベルでトラブルになる、どころか捕まったり余計な敵を増やしかねない、という理由もあるわけだけれど。
それでも案外とジグってば柔軟に対応してるんですよね。自分のやり方をそのままやろうとすると、大きな問題になるだろうな、などと常にリスクを考慮しながら行動している。
それでも、いざとなれば何の感情の起伏もなく相手が誰であろうとどんな立場であろうと、あっさり殺す、という決意ですらもない単なる判断をくだせてしまう鉄血の価値観は揺るぎはないわけで。
実際、これはもう危ないから殺してしまおう、と判断する場面は幾つかあったんですよね。ただ、こっちに来てからその判断の引き金を引く段階を本当にギリギリまで引き伸ばしていることがよくわかる。
そしてその踏ん切りの基準は常にシアーシャなんですよね。ジグひとりだけだったら早々に血を見る事になるケースがこれまでも幾つもあったし、この巻だけでも相当な回数あったんじゃないだろうか。それをジグは毎度毎度限界まで見切りを伸ばしてるのである。シアーシャにトバッチリがいく可能性を考えて。
もうこれ、依頼人の安全を考慮して、の段階はとっくの昔に突破して置き去りにしてると思うんだよなあ。そういうレベルじゃない親身になりすぎなくらいの過保護よ?
宝物か、というくらいの大事にしっぷりである。彼女のためなら多少心情を曲げても気にしないし、過剰なくらいマイナスを回避しようとしているわけで。
当のシアーシャの方は何気に人類の敵である魔女なだけあってむしろ過激派なくらいあるんですけれど、むしろ彼女の過剰反応を恐れてジグの方が慎重に穏当に事を収めようという側に回っているのちょっと面白いです。ジグだって、どちらかというと過激派。過激であることを過激とも思わないタイプのはずなんですけどね。
結局、シアーシャと離れて行動していても、いやだからこそか、彼の行動基準判断基準がおおむねシアーシャ基準になっている、というのがよくわかるこの巻でありました。
おかげで不思議と味方とまではいかないまでも、親しい知人の人脈網は着実に広がってるんだよなあ。そのうちの半数以上はシアーシャのことを考慮して途中で攻撃判断、殺害判断を止めている相手、というのがなんともはや。これ、シアーシャいなかったらこの巻に登場している女性キャラのほとんど、ジグにぶっ殺されてたんじゃないの?
まあ彼女ら、これからジグに近づきすぎると逆にシアーシャにぶっ殺されかねないのですけれど。
シアーシャさん、なんかもうジグに対して凄まじい独占欲発揮し出してません? いや、別行動している時点で常に離さずの独占欲じゃないんでしょうけれど、物分りの良いふりをしてこれ側に自分以外の女性を寄せるの許さんタイプだよなあ。……めっちゃ好きじゃね?
彼女は彼女で自由を満喫しているようで、芯にはジグ最優先というのが揺るがずドーンと通ってるみたいですし。ジグの敵は即自分の敵、敵はぶっ殺す! という思考過程になってる感じしますよ?
まあそのあたりに関してはジグの方も同様に思えるんですけどね。ジグはシアーシャのこと、理性的なわりに極端だし、これまでの境遇からして仕方ないけど敵味方の判断が早すぎる、なんて危惧してましたけれど……。
いや、シアーシャが絡む件に関してはあんたも大概ですからね、ジグさん。シアーシャが命狙われたと聞いた途端にそれまでの予定全部ほっぽらかして、冷静にそいつは俺が殺す状態の機関車になっちゃいましたからね。あなた、あの瞬間から理性的にブチ切れてませんでしたか?w

というわけで、わりとジグとシアーシャ二人別れて行動していたわりに、いやだからこそお互いにお互いのことめっちゃ大事にしてるよなあ、というのが余計に浮き彫りになった2巻でありました。浮き彫りになりすぎて、段々と周囲の知り合いになった人たちも二人の危険性というか地雷が何なのか理解も広がってきた感があるぞw
イサナなんか、もっと親密な関係になっていくかとも思ったんですけどね。彼女の依頼で一族のさらわれた子どもたちを助ける、なんて密度の濃ゆい仕事を請け負ったりもしたわけですから。
でもそれもジグにとってシアーシャが絶対すぎるのと、シアーシャ自体がアンタッチャブルすぎるのもあってこれ必要以上に近づくと危ないわ、たしかにw