【黄金の経験値 2 特定災害生物「魔王」降臨タイムアタック】  原純/fixro2n カドカワBOOKS

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魔王に吸血鬼な妹分が誕生! 人類を滅ぼすのも、二人だともっと楽しいね!

隠しスキル『使役』で瞬く間に最強軍団を作り上げたレアは、「魔王」としてノリノリでヒルス王国への侵攻を開始!

人類を蹂躙して得た経験値で、眷属たちも続々と災害生物へ進化、自身も『魔眼』や『結界』などの新スキルを獲得し、いよいよ災厄として手が付けられなくなっていく――。

そんな中、同じ魔物側プレイヤーの女の子が、人間にキルされそうになる瞬間に遭遇。窮地を助けてあげたら懐かれて、人類をいっしょに滅ぼすお友達ができちゃった!?


調子に乗って雑なプレイやってたら、集まったトッププレイヤーたちに見事に返り討ちにあってしまうのでした。
なんてボスキャラらしい増長プレイw
油断って自覚を持って油断するぞー! とやってるわけじゃないですからね。その最中は別に油断しているつもりなんてないのに、後から振り返ってみるとどれだけ自分が雑で残念なやり方をしていたのか、というのが分かるんですよねえ。
というわけで、レアさま魔王プレイをはじめてから初の敗北である。余りにも理想的な負けっぷりに、プレイヤーたちはレアがNPCだと疑ってないのがなんともはや。そういえば魔物側にもプレイヤーがいるというのはあんまり知られていないんだろうか。
レアさま、めちゃくちゃ悔しがってるw そりゃあ自分の油断増長から本来普通にやってたら負けないはずの能力がありながら、プレイヤーたちに下剋上されちゃったんですからねえ。それこそ魔王らしいといえば魔王らしいのですけれど。
恥ずかしいやら情けないやらで地団駄踏むあたりはまあ普通なのですけれど、感情が高ぶると涙が出てしまうというのは飄々としているようでレアが相当に激情家でわりと思い込みが激しく感情が高ぶると視野が狭くなる傾向があることが、あとでも色々と出てくるエピソードからも伺えますねえ。
この涙が出てしまうのを止められない、というのもレア本人からすると相当に不本意で自分のネガティブな部分だと思っているようで、コンプレックスにもなってるんじゃないだろうか。
それに単に負けず嫌いというだけじゃなく、執念深いというか根に持つタイプというか。今回の敗北はもう自分に原因があるにも関わらず、自分を倒したプレイヤーたちにも負の感情を滾らせてターゲットにして付け狙う気満々なあたり、かなり粘度の高い性格してるよなあ。

と、このあたりまで人を人とも思わない酷薄な性格や、魔物側プレイヤーとしてNPCたちを殺して回ることに何の忌避も感じていないこと。味方となる臣下となったものたちに対しても駒以上の感情を持っていないこと。など、まあこれがゲーム世界だと完全に思い込んでやっているならこういうプレイもありかな、と思いつつもゲーム介在しない所でも何だか性格あんまり良くなさそうな所が目立ってきたレアのこと。そもそもあんまりね、情のない悪役側が主人公の話は好みじゃなかったのもありますし、レアがあんまり誰とも関わらずにずっと一人でプレイしているのが一人遊びを見続けているような単調な感覚になってきたのもあって、ちょっと興味が遠ざかりつつあったのですが。

同じ魔物側プレイヤーのブランちゃんが出てきてから、思いの外風向きが変わってきたんですよね。
こちらはこちらでスケルトンからなんやかんやで紆余曲折あり進化して、吸血鬼にまでなって魔物らしく人類の敵として楽しく遊んでいたブランちゃん。この娘だけでもかなり面白いプレイしていたのだけれど、この娘がレアと出会ったことでレアの反応がやたらと面白いことになってきたんですよね。
ってか、レアさまこんなにコミュ障だったのかw ロールプレイとか演技とかなしでグイグイと距離感縮めてくるブランに対して、レアさまフリーズしてるじゃないですか。時々挙動が固まったり喋りにラグが生じてしまったりと、人と喋り慣れてない感じがもろに出てしまってて。不覚にもかわいいと思ってしまった。
一応、傘下に入るという形にはなったんですけれど、プレイヤー同士という事もあり駒扱いとかじゃなくて普通に友達同士という関係になったんですよね。ブランという子があけすけで明るくてほんと遠慮なく接してくる子という要素もあったんでしょうけれど。その距離感ゆえにホントなら気難しそうな吸血鬼の真祖とも仲良くなって、色々と世話してもらうわ親切にあれこれと吸血鬼として必要な情報を教えてもらうわ至れり尽くせりの扱いしてもらってたくらいだしなあ。
獣人の子らはあくまでNPCであり、利用する駒に過ぎないという扱いで向こうがどれほど崇拝してきても打ち解けるという事は一切なかったのだけれど、ブランとはほんとすぐに仲良くなりましたよね。その対等な関係こそが、レアのリアル、人間味というものをどんどんと引き出してきたわけですよ。
そして、本当にまったくの偶然にゲーム内で出会ってしまったリアルでの実姉。故あって、というかレアの誤解が主だったのか、特殊な家庭環境やお姉ちゃんの変な遠慮も複雑に絡んでか、リアルではどうも疎遠になってしまってたんですよね。姉に対して隔意を持ってしまっていたレアと、レアが自分の事をどう思っているかわからないまでもどうも距離を置かれている事は理解していて、この偶然をきっかけになんとか仲を修復したいなー……と思ってる割には迂遠というか妙に賢しらで遠回りであるからこそ全然レアに届いてないアプローチをしてしまったお姉ちゃん。このままなら、すぐにすれ違ったまま遠ざかってまたぞろ疎遠になってしまいそうな雰囲気を一変させたのが、ブランの踏み込んだ叱咤だったのでした。
これは臣下だとかただの同じゲームで遊んでいるプレイヤー同士というだけでは出来ない「友達」だからこその発言でしたねえ。出会って間もないにも関わらず、家族間の問題に踏み込むのはブランも決して無神経ではないので難しいところだったでしょうけれど、なんかもう姉妹二人してあからさまに人間関係下手くそを拗らせて向き合い損ねているというのが露骨にわかるやり取りだっただけに、ブランとしてもちゃんと話し合いなさい、と言えたんでしょうけれど。
いやでもこういう事ちゃんと言ってくれる友達はなかなかいないですし、そもそもレアさまリアルにも友達一人も居なさそうな感じなので、これはぶっ刺さったんじゃないでしょうか。
お陰でお姉ちゃんとも誤解が解けて仲直りできたわけですしねえ。
レアが拗らせて性格歪んで闇入ってた部分も、姉との和解で若干雪がれた感もありますし、これまたゲーム内でNPCのふりをしてあくどいプレイしていたお姉ちゃんも、魔王プレイの仲間に加えて悪巧みもますます悪辣さパワーアップ。
ただ、今までよりもレアさまが姉や友達とワイワイ楽しそうにプレイしはじめたこともあってか、都市を全滅させるわ国を滅ぼしてしまうわ、クーデターを起こさせて傀儡政権打ち立てるわ、とかなりひでえまさに悪役なプレイを加速させているのですけれど、なんだか面白く思えてきたんですよねえ。
NPCたちがほとんど生きた普通の人間と変わらないように見えるのですけれど、一方で使役スキルなどで、忠誠を誓った主人。貴族や王族なんかが死ぬと一緒に下についた騎士たちまで諸共死んでしまうなどの設定がどうにも歪で、死が軽々としていて世界も人間も作り物感が感じられるようになってきた、というのも大きいのかもしれませんけれど。普通にレアたち、魔物側としてプレイして楽しんでいるだけで、人間味の感じられない気持ち悪さとかが殆どなくなってきたのもあるんでしょうなあ。ほんと、ブランの登場は大きかったように思います。
それはそれとして、このレアとライラの姉妹の性格の悪さはリアルから元々なんですねえ。ブランちゃんも、悪辣さが良く似てるみたいなこと仰ってましたしw
ってか、この二人の実家ってなんか特殊な家柄なの? 一子相伝の殺人拳とか伝承してる家とかじゃないでしょうね?w いや殺人拳かどうかはわからんけれど、武術を伝える家柄なのは間違いなさそうだ。