【ホラ吹きと仇名された男は、迷宮街で半引退生活を送る】 中文字／布施 龍太 ドラゴンノベルス
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孤高の男、世界を、人を識る。 迷宮と歩む街で過ごす半引退者の新たな日常
最深層不明の迷宮に挑み十数年。
単独行(ソロ)で前人未到の31層まで辿り着いた男は思う。
これ以上続けても強くはなれないと。
諦観と共に周囲を見て、迷宮と共に成長を続ける街の事すら知らないと理解する。
――最深への、最強への道は一休み。
ここはひとつ息抜きをしてみよう。
見知らぬ景色、うまい飯。新たな出会いにちょっとのトラブル。
引退ではなく半引退を決めた最強の新たな「迷宮街」の探検譚が始まる。
なんだろこれ、新しい自分探しの旅みたいな話か！？ いや、旅って言うほどどこか遠くに旅立つわけじゃなくて、これまでずっと迷宮探索のために居していたはずの迷宮街。でも、迷宮とギルドと宿の往復しかしてこなかった男にとって、それ以外の場所は地元にも関わらず訪れたこともなく、そのありふれた風景の目新しさに新鮮な思いを抱きながら、ぶらぶらと人々にとっての日常の中を散策する。
……家と会社の往復しかしていない社畜生活に疲れたサラリーマンのおっちゃんが、会社長期休養して突然手に入れた暇な時間を、住んでる家の周りの散歩からはじめて地元の古くからある、でも入ったことのないレストランとか商店街とかをぶらぶら歩きまわったり、繁華街を覗いてまわったり、街の人達の憩いの公園でのんびりと日向ぼっこするうちに心の潤いを取り戻し、仕事についても視野が狭まっていたのが心に余裕が出来て新たな発想が生まれたり、今まで関わることのなかった人脈が出来たり、といろいろな意味でリフレッシュしていく。
みたいな話だったな！ いやまじで。
まあ彼、この主人公のギデアの場合は会社の歯車な１会社員の社畜、というよりも２４時間働きすぎの幾つもの会社を掛け持ちで運営している辣腕すぎる経営者、というくらいの格の高さですけれど。
これが老人なら、どこぞの大会社の会長がひそかにホームレスに身を窶して、みたいな一昔前には偶に聞いた設定なんかが合ってそうだけれど、さすがにまだ三十路くらいで若いしなあ、ギデア。
ともあれ、剣の高みを追い求めて実家の道場を飛び出し、この迷宮街に飛び込んでそこからひたすらソロで迷宮に潜りモンスターたちと戦うことで自分の強さを磨き上げてきたギデア。彼の望みは強さを掴み取ることで、モンスターを倒して素材や魔石で一攫千金、という本来の冒険者の目的とは少しずれているため、孤高の存在で有り続け。また彼がホラ吹きなんて言われる要因にもなっているのだけれど、とにかく強さに関しては他の冒険者とは隔絶したものを持っているんですね。
だからこそ、ついには迷宮探索ですら彼の腕を磨く砥石としては、モンスターたちの強さが彼の強さに引き合わなくなって、意味をなさなくなってきてしまい、このままさらに深くまで潜っていっても意味がないんじゃないか、とやる気が失せてしまうことになってしまったわけですが。
彼自身、自分の成長を実感できなくなって無為に思える時間ばかりが増えてたんでしょうね。だからこそ、一度戦いの場から身を引いて、今一度自分のあり方を見つめ直そうと思うに至ったのでしょうけれど。
でも、そうして一心不乱から心をほどいてゆっくりと回りを見回すようになったギデアは、思いの外好奇心一杯で気になること興味をいだいたことにはすぐに首を突っ込み、どんどんとその辺歩いている人や店の店員に素朴な疑問をぶつけ、返ってくる答えに素直な反応を見せるのである。無愛想というかどこか淡々として感情の薄い風情なんだけれど、それでいて丁寧な応答するし話して聞かせたことに対して素直に驚いたり納得したり、と意外と聞き上手な対応を見せるので、聞かれたり尋ねられたりした人も結構和気あいあいと話してくれるんですよね。
ほんと、なんか散策してその辺の人とおしゃべりして、みたいな話だったなあ。物語としては妙な感じだけれど、ある意味これ日常系になるんだろうか。或いは、偶にある旅行もののエッセンスもあるのかもしれない。遠くに旅するんじゃなくて、自分が住んでいた土地の知らなかった側面を見て回る旅、みたいな身近な散歩なお話でしたけれど。
でも、そうやって休憩して休ませた神経は、精神は、ギデアに今までにない余裕と見地をもたらして、停滞していた彼の目指す道にも新しい光を当ててくれるんですね。
また、剣の腕を磨くにしても今までやった事のなかった方法をあれこれと試してみたり、と試行錯誤して他人を巻き込んでイベント起こしたり、となかなか思わぬ展開があったりと思いの外楽しかったですね。いや、これ一体どういう話を自分は読んでるんだろう、と度々首を捻ってしまったりもしましたけれど、新鮮な感じではありましたね。ふむふむ。それこそ、どこかのんびり休憩箸休め、という感覚で読んでみたらいいのかなあ、という作品でありました。
……家と会社の往復しかしていない社畜生活に疲れたサラリーマンのおっちゃんが、会社長期休養して突然手に入れた暇な時間を、住んでる家の周りの散歩からはじめて地元の古くからある、でも入ったことのないレストランとか商店街とかをぶらぶら歩きまわったり、繁華街を覗いてまわったり、街の人達の憩いの公園でのんびりと日向ぼっこするうちに心の潤いを取り戻し、仕事についても視野が狭まっていたのが心に余裕が出来て新たな発想が生まれたり、今まで関わることのなかった人脈が出来たり、といろいろな意味でリフレッシュしていく。
みたいな話だったな！ いやまじで。
まあ彼、この主人公のギデアの場合は会社の歯車な１会社員の社畜、というよりも２４時間働きすぎの幾つもの会社を掛け持ちで運営している辣腕すぎる経営者、というくらいの格の高さですけれど。
これが老人なら、どこぞの大会社の会長がひそかにホームレスに身を窶して、みたいな一昔前には偶に聞いた設定なんかが合ってそうだけれど、さすがにまだ三十路くらいで若いしなあ、ギデア。
ともあれ、剣の高みを追い求めて実家の道場を飛び出し、この迷宮街に飛び込んでそこからひたすらソロで迷宮に潜りモンスターたちと戦うことで自分の強さを磨き上げてきたギデア。彼の望みは強さを掴み取ることで、モンスターを倒して素材や魔石で一攫千金、という本来の冒険者の目的とは少しずれているため、孤高の存在で有り続け。また彼がホラ吹きなんて言われる要因にもなっているのだけれど、とにかく強さに関しては他の冒険者とは隔絶したものを持っているんですね。
だからこそ、ついには迷宮探索ですら彼の腕を磨く砥石としては、モンスターたちの強さが彼の強さに引き合わなくなって、意味をなさなくなってきてしまい、このままさらに深くまで潜っていっても意味がないんじゃないか、とやる気が失せてしまうことになってしまったわけですが。
彼自身、自分の成長を実感できなくなって無為に思える時間ばかりが増えてたんでしょうね。だからこそ、一度戦いの場から身を引いて、今一度自分のあり方を見つめ直そうと思うに至ったのでしょうけれど。
でも、そうして一心不乱から心をほどいてゆっくりと回りを見回すようになったギデアは、思いの外好奇心一杯で気になること興味をいだいたことにはすぐに首を突っ込み、どんどんとその辺歩いている人や店の店員に素朴な疑問をぶつけ、返ってくる答えに素直な反応を見せるのである。無愛想というかどこか淡々として感情の薄い風情なんだけれど、それでいて丁寧な応答するし話して聞かせたことに対して素直に驚いたり納得したり、と意外と聞き上手な対応を見せるので、聞かれたり尋ねられたりした人も結構和気あいあいと話してくれるんですよね。
ほんと、なんか散策してその辺の人とおしゃべりして、みたいな話だったなあ。物語としては妙な感じだけれど、ある意味これ日常系になるんだろうか。或いは、偶にある旅行もののエッセンスもあるのかもしれない。遠くに旅するんじゃなくて、自分が住んでいた土地の知らなかった側面を見て回る旅、みたいな身近な散歩なお話でしたけれど。
でも、そうやって休憩して休ませた神経は、精神は、ギデアに今までにない余裕と見地をもたらして、停滞していた彼の目指す道にも新しい光を当ててくれるんですね。
また、剣の腕を磨くにしても今までやった事のなかった方法をあれこれと試してみたり、と試行錯誤して他人を巻き込んでイベント起こしたり、となかなか思わぬ展開があったりと思いの外楽しかったですね。いや、これ一体どういう話を自分は読んでるんだろう、と度々首を捻ってしまったりもしましたけれど、新鮮な感じではありましたね。ふむふむ。それこそ、どこかのんびり休憩箸休め、という感覚で読んでみたらいいのかなあ、という作品でありました。
