【魔術探偵・時崎狂三の事件簿】  橘公司/つなこ 富士見ファンタジア文庫

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さあ――わたくしたちの推理を始めましょう

時崎狂三――人には言えない過去を持つ女子大生。そして、魔術工芸品犯罪を専門に扱う探偵。

狙撃不可能な場所から放たれ、探偵の胸を撃ち抜く『魔弾』。
原因不明の連続昏睡事件に巻き込まれたドール愛好家たちが噂する『生きた人形』。
会員制の高級レストランで提供される一食五〇〇万円の『若返りの料理』。
自殺未遂事件が起きた女学園で目撃されたという『もう一人の自分』。
魔術工芸品によって引き起こされる常識では測れない不可思議な事件の数々を前に、狂三の推理の時が刻まれる!

時崎狂三、まさかのスピンオフ二度目の主人公である。ほんと人気凄いよね、狂三さんは。メインヒロインではないにも関わらず、【デート・ア・バレット】で主人公抜擢というだけでも相当に異例のことだったと思うのですけれど、さらに実質【デート・ア・ライブ】のアフターとも言うべき本編後の世界観で二度目の主人公ですからね。
いやー、でも時崎狂三の女子大生姿を観られるなんて眼福もいいところですよ。ゴスロリから卒業して髪型も黒髪ストレートに。いやもう清楚系美人すぎませんか、JD狂三。デート・ア・バレットを含めて登場キャラの中でもぶっちぎりに多種多様なコスプレを身にまとった狂三ですけれど、今までで一番刺さったかも。
え? 女子大生ルックはコスプレじゃない? でも狂三さん、あーた実年齢を考えると女子高生はもとより女子大生もかなり苦し……失礼しました。失礼しました。大学は何歳になっても入学できますもんね!!
真面目な話、元精霊の方々は実年齢といろいろと食い違ってる方が少々いらっしゃいますからねえ。
さて、この作品はデアラの本編後の世界。すなわち、狂三をはじめ精霊だった少女たちはみななんの力も持たない普通の人間になってしまいました。
しかし、世には魔術師という存在が古の昔から存在し現在に至るまで様々な場所で暗躍活躍していたのもまた事実。そもそも精霊を生み出したのもまた魔術師たちでしたからね。
そんな魔術師の残した遺産である魔術工芸品(アーティファクト)と呼ばれるこの世ならざる法則に基づいて動くアイテムが引き起こす事件の調査を、やたらと声の大きいお嬢様栖空辺茉莉花から依頼された事をきっかけに、女子大生兼魔術工芸品専門の探偵として散逸した栖空辺家の所有していた魔術工芸品を追うことになった狂三。
精霊の力こそ失ったものの、最悪にして災厄の精霊として長年暴れまわった豊富な修羅場の経験と深い叡智で、不可能犯罪を引き起こす魔術工芸品の謎を、そして事件の闇を快刀乱麻に解決していく探偵狂三の事件簿。うんうんうんうん、めっちゃ面白かった。
あと、ドール愛好会のオフ会で狂三さんが茉莉花に着せられたゴリゴリのファッション。なんか狂三黒歴史四天王の4人のエッセンスを一つに盛り合わせたみたいな狂三史上でも特別すげえ格好になってて挿絵観た瞬間からずっと笑ってたしw
そのあとの若返りの秘密の料理を提供するリストランテへの潜入のために、そのリストランテの制服である下着みたいなエロエロの衣装も着こなしてましたし、フォーマルドレスに仮面という独特の姿や黒髪清楚系美人のまま女子校の制服に身を包んだり、って普段にもましてやっぱり狂三コスプレ大会でもあるんじゃん!?
もちろん、魔術工芸品を用いた事件の数々もこれがまた不思議な効果をもたらす道具を用いた事件だけあって一捻りも二捻りも奥があり、さらに最初の最初から大きな仕掛けがなされていたんですねえ。いや、これだけ濃いキャラをそんな風に用いてくるとはこれは全然想像していなかった。
狂三は精霊の力がない、つまりもう普通の人間と変わらないだけあって格闘能力など高いレベルで収めているものの、やっぱりいざとなれば精霊の力と身体能力で、みたいには行かないだけにもどかしいような苦戦をする場面もあるのですけれど、でもこと頭の良さや謀に関しては精霊でも1位2位を争う叡智の持ち主。そもそも、本編ですべてが詰んでどうにもならない絶望的な敗北必至の状況を幾度も狂三がその機転と発想、準備と仕掛けでひっくり返してきたんですよね。もしかしたら本来の主人公である五河士道よりも絶体絶命をひっくり返す要として活躍したかもしれないくらいですし。マジで狂三がいなかったら何度ゲームオーバになったかわからんもんなあ。
それだけに、ある意味安心して観ていられました。二転三転する展開に、これでかなり情が厚い狂三さんの謎解きと解決劇。面白かったなあ。
ラストははっきりとは描写されてませんでしたけれど、いつもの面々らしき人たちが登場してくれてちょい嬉しいサービスでしたね。
あと、折紙と十香が女子大生として日々を謳歌している様子がまた本編の後日談としての実感が湧いてきて、よい風景でありました。折紙と十香、なんかいつもセットで一緒に行動しているみたいだし。もう仲良くなっちゃってねえ、尊し尊し。

まだまだこの設定で続き出せそうな感じですし、あのお嬢様幼女を相棒にして、という展開もまた面白そうですしこれは続き期待したいなあ。
そして、デアラの短編集の中編なんかを観てると、狂三に限らずとも他の元精霊の子たちでも十分にスピンオフ作品の主役担えると思うんですよね。特に橘先生が書くなら。星宮六喰主人公の中編なんかすごかったし。七罪や四糸乃、琴里なんかが主役の話とかもいつかは読んでみたいなあ。