【ソードアート・オンライン IF 公式小説アンソロジー】　 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス
大人気シリーズ『SAO』の公式 アンソロジー小説が待望の刊行!

“もしも”をテーマに『SAO』の世界を自由に描く公式アンソロジー小説!
『ガンゲイル・オンライン』や『クローバーズ・リグレット』だけじゃない! 『魔法科高校の劣等生』×『SAO』の幻のコラボ掌編も収録! グルメあり、ゾンビやアンデッドあり、そしてキリトが本編より三歳年下だったらまで!?
IFだからこそできる豪華な一冊!
▼参加クリエイター陣はこちら▼
時雨沢恵一×黒星紅白、香坂マト×あるみっく、佐島 勤×石田可奈、周藤 蓮×星河シワス、渡瀬草一郎×ぎん太、高野小鹿×rin、牧野圭祐×かれい、Y.A×長浜めぐみ、川原 礫×abec

ソードアート・オンラインの本編の方は９巻まで読んだんだけれど、それ以降は離れちゃってます。
とりあえずスピンオフの方の時雨沢恵一先生の【ガンゲイル・オンライン】と渡瀬草一郎先生の【クローバーズリグレット】は全部読んでいるので、そっちを目当てに読むことにしました。特にクローバーズリグレットの方はシリーズ一応完結したのかな。なので久々のナユタさん成分を摂取するためにも。
【クローバーズリグレット】は最高ですからぜひ読んでみてください、最高なので、もう最高ッ！！


【ＳＡＯ　〜ｉｆピトフーイが、ＳＡＯ事件に巻き込まれていたら〜】時雨沢恵一
いやこれ全然IFじゃなくて、ピトさんとレンがSAO事件をネタに漫才してるだけじゃないかいっ！　もしピトフーイがSAO事件に巻き込まれていたらどうなっていたか、とかいう話全然してないから。まあもしピトさんが事件の渦中にいたらあの当初の死に取り憑かれたメンタルからしてまず間違いなく生きちゃいなかっただろうな、とは想像してしまえる。何なら殺して回る方にすらなっていたかもしれない、とはガンゲイルの初めの方読んだ人はだいたいそう思ったんじゃないだろうか。
でもSAO事件のあのアバターがゲーム内で作ったものから本来の自分の身体のものに戻ってしまった、という事象。ガンゲイルの方で起こった方が面白いことになりそうだけどねえ、今となっては。レンがでっかくなるのは当然としても、ピトさんはあれですし、何ならアマゾネス軍団がピチピチの女子高生軍団になってしまうのが衆目のもとで起こったら結構な騒ぎになるんじゃないだろうか。いっぺん、元々の姿でガンゲイルの大会とかやったら面白そうなんですけどね、まず絶対ムリな設定ですが。


【もしキリトとアスナがゾンビゲームで遊んだら】　香坂マト
【ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います】の香坂さんの作品。何気に一番このソードアート・オンラインという世界観のなかでゲーム楽しそうに遊んでて面白かったなあ、という作品でしたね。アスナって実体のないゴースト系ダメだったのか。ベータ版ということで歴戦のゲーマーを集めただけあってチュートリアルから難易度ルナティックなの、殺意高すぎて愉悦ものなんだけれど流石に脱出手段がバイクって結構ハードル高いと思いますよ。単車乗れる人って少数派だろうし。他にも手段あったんだろうか。
あまりにもゾンビの数が多すぎることから、開き直って銃を捨ててバールのようなもので無双しだすねっからの剣士二人の大暴れには笑ってしまいました。


【ドリームゲーム　くろすおーばー】　佐島勤
SAOのVRゲームと【魔法科高校の劣等生 】の方のなんかのエピソードで登場したなんかものすごい装置とが混戦してくろすおーばーしてしまったお話でした。別作品とのクロスオーバーはこの一作だけでしたね。ユージーンが見事な噛ませでした。


【デスゲーム脱落編】　周藤 蓮
ウィザードリィの「いしのなかにいる」、じゃないけれどそれに近いバグ空間にはまり込んでしまったSAOプレイヤーのお話。SAO事件の渦中であり、文字通り生き死にがかかったなかで出ることの出来ないバグ空間にハマってしまった、って精神的にこれ死ぬんじゃないだろうか。と思ったら、このホノさん、リアルでは将棋の棋士でありつつ身体が弱くて万全の状態で戦えた事がなかった中でSAOというリアルの身体から解き放たれる世界に入ったわけですね。そこで飢餓と絶望で一度は人事不省に陥りそうになりながらも、この生死の狭間に追い詰められ誰もが極限状態に置かれているデスゲームで今にも壊れそうな知人の姿を目の当たりにして、この人はデスゲームの攻略ではなくより棋士として純化していったのか。事実上デスゲームから脱落したものの、彼の人生を賭した戦いは終わっていない。むしろ、生死の狭間で研ぎ澄まされ病という拘束から解き放たれた自由な身体で純粋に将棋に向き合える時間を手に入れた男の、いや時間以上に精神を手に入れた男の話でした。


【名探偵コヨミ／まだらのねこ】　渡瀬草一郎
ひゃっはーーー！！　これが本命クローバーズリグレットだぁ。しかもシリーズ本編より後のお話である。
SAO世界の場合、どのゲームでもだいたいバトル中心っぽいんだけれど、本作は色んな違うアプローチがあって面白いんですよね、しかも今回はクローズドサークルの館内で起こった、或いは現在進行系で起こる殺人事件の謎解きイベントである。何度も挑戦できるんだけれど、その度に展開が変わるってのは面白いよねえ、適当に総当りで行き当たりばったりに解決は出来ないってことですし。
参加メンバーにはそれぞれ役割が割り振られるのですけれど、本職探偵のクレーヴェルが探偵役じゃなくて詐欺師役で、よりにもよってコヨミが探偵役というミスマッチｗ　いや、クレーヴェルが詐欺師というのはピッタリかもしれないけれど……いや、この人胡散臭いし食わせ者だけれど根本的に誠実で嘘はともかく人を騙すタイプじゃないので詐欺師は全然ピッタリじゃないか。
いや、この謎解きイベントの展開も一番誰が食わせ者だったのか、という話の転がり方も面白かったんですけれど、やっぱり肝はラストのクレーヴェルとナユタの……暮井さんと優里菜のあれやこれやでしょうｗ
本来社会人で公私ともにキッチリした非常にできた大人である暮井さんと、女子高生であるナユタとでは恋愛関係って成立し得ないし、するとしても大人な暮井さんに対してまだ子供であるナユタの方はこうぶら下がる形でくっつく形になると思うのですけれど……少なくとも暮井さんってダメ要素の一切ないほんとに立派な大人の男性で、未成年に対しても隙を見せずにキッチリと一線を引いてたんですよ。そんじょそこらの女の子じゃ、いや大人の女性だろうと誰だろうと早々簡単に揺らがせることの出来ないだろう大人だったんですよ。
その人を、このナユさんという子は奇策も奇襲も不意打ちも脅迫や騙しといった策略も使わず、情に訴えて引きずり下ろすでもなく、真正面から堂々と寄り切ってしまったわけです。暮井さんが何重にも敷いていた予防線を、軽やかに無効化して有無を言わせず圧勝してしまった。
この鮮やかすぎるくらいの暮井さん完落ち劇場が、もう圧巻としか言いようのないくらい物凄くて。未だにあそこまで見事に有無を言わせず、大人の男性が女子高生に落とされた展開は見たことがないですね。
そんな二人のその後がどうなっているかは大変気になっていたんですが……この短編で期待以上のとんでもねー答えを見せてもらえてしまいましたよ。
暮井の部屋に出入りするナユタに今更男の部屋で無防備でいるのは危機感が足りないと説教しようとして、逆に危機感と警戒心が足りてないのは貴方のほうです、とものすごい叱責を受ける暮井さん。
何度読んでも、ナユタがため息混じりに淡々と指摘する「現状は明らかに私が『狩る側』で、貴方は『獲物』です」のセリフで吹いてしまうんですが。 暮井さんが子狐扱いだよｗ
このへんの二人のやりとり、最高すぎてもう最高なんですけどｗ


【at the Children's Steps】　高野小鹿
キリトが今の年齢じゃなくてもっと幼い男の子だったら、というIF。周りがみんなお姉様ばかりで、年上の女の人達に弄り回されるショタキリトくんの爆誕である。
小学生でSAOサバイバーってとんでもねーな。それはそれとして、ショタおねというには周りの女性陣の年頃の小さな男の子に対しての扱いがなっていない。弄り回すのは男の子のプライドを傷つけるばかりだぞ。それはそれとして、直葉が妹ではなくお姉ちゃんという概念はありありのあり。
しかし、シリカはキリトより年上になっても、キリトが生意気なクソガキっぽい小僧になっててもなんでか年上のお姉さんっぽさはどうしても出ない感じですねえ。相手が小さくなろうと後ろからちょこちょことついてくるような。

【この呪いをどう解いたらいいの　シリカと幽霊少女】　牧野佳祐
これもシリカが主人公、というかこっちのお話ははっきりとシリカメインのお話になってますねえ。イラストのかれいさんのイメージのせいか、どこかコミカルに思えてしまいますけれど、結構シリアスというか真面目な雰囲気のお話だったんじゃないでしょうか。それをカレイさんの絵の雰囲気がうまいことマイルドに中和して、いい塩梅になってたんですよね。そのうえでラストシーンの挿絵は感動的になってて、挿絵と文章のコラボレーションが一番ステキな作品でも有りました。


【もしアスナがレストランを開いた場合の、キリトの立ち位置的なお話】　Y.A
こういうタイトルってアンソロくらいしか見ないよねえ。いや、どういう立ち位置だったんだろう。レストランをやる上でキリトくんがどう振る舞えばいいのか、という話じゃなくて、あくまでアスナに対してキリトがどういう立ち位置でいるべきか……べきか、というんじゃなくてどう居たいか、という感覚のお話だったのかな。同時にアスナもキリトとどうしていったらいいのか、というのを戦いからしばし遠ざかった穏やかな日々を過ごす中で改めて見つめ直すのに、レストラン開業ってイベントだったんですかねえ。
いやでも、お客二組だけで終了ってのは開店期間としては短すぎない！？　招く人居なさすぎ無い！？


【ソードアート・オンライン　If You Can Smile】　川原礫
あー、このへんとなると読んでないところなので、出てくるキャラやシチュエーションさっぱりわからないので、なんともコメントできず。話自体も一場面を切り取った掌編って感じでしたし。













タグ ：
#ソードアート・オンライン
#アンソロジー
#時雨沢恵一
#香坂マト
#周藤蓮
#渡瀬草一郎
#高野小鹿
#牧野圭祐
#Y.A
#佐島勤