【ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.22】 聴猫 芝居/Hisasi 電撃文庫

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残念で楽しい日常ほぼ=ネトゲライフ、ついにサービス終了でどうなる!?

ネトゲのサービス終了は嘘だと思った? ……残念! 本当に終わってしまいます……。
マスターの卒業式と同じ日、唐突に発表されたレジェンダリー・エイジのサービス終了。動揺するネトゲ部のなかでも、残念美少女・アコは特に重症で……。
「私はLAを諦めませんよ!」
事実を受け入れられずに現実逃避ですか!? このままサービス終了を迎えた場合アコは一体どうなってしまうのか……。
アコのため、そしてLAに悔いを残さないために──アレイキャッツみんなで『終活』をはじめよう! 残念で楽しい日常だいたいネトゲライフ、2か月連続刊行でいよいよ完結へ!

およそ三年ぶりの新刊ですよー。21巻で次が最終巻! と宣言されたままこっち、音沙汰なくなってしまった本シリーズ。ある意味、ネットゲーム・レジェンダリーエイジの終了以外は人間関係についてもリアルとゲームの違いと違わない部分のすり合わせなんかもこれまでのお話の中で大体終わっていて、アコと英騎の関係についてももうゆるぎのないものになってましたから、ほんとやらないといけない話は大体終わらせてくれていた、という感覚はあったんですよ。最後の最後のフィナーレが描かれないことは辛いけれども、中途半端で放り出されたような感覚はなかったので仕方ないなあ、という気持ちはあったんですよね。
さすがに3年近くも続きが出ない、それどころか聴猫さんの別作品なんかも一切新しく出てくることがなかったですから、これはもう難しいんだろうなあと諦めるしか無い状況でしたし。
それだけに、ほんと続きをこうしてちゃんと、最終回までをしっかりと出してくれる事になったのはホント嬉しい限りであります。

あれ? でもレジェンダリー・エイジ――LAのサービス終了って確か20巻のラストでぶちあげられてたんじゃなかったっけ? もう一回サービス終了直後のショック状態から描くの? 21巻の話はどうなった? と、若干混乱しながら前巻確かめたらこれ短編集みたいなもんだったんですね。一年前のホワイトデー絡みのお話がメインだったのか。ただ幕間でメインキャラそれぞれのサビ終了にあたっての心境を英騎と話し合うパートがあって、それではそれぞれに終わるに当たっての心構えや切り替えについて話していたので、このあたりは曖昧にぼかして改めてサービス終了直後からの大混乱と終わりに向けてのアレイキャッツの活動を描くことになったのか。
そうだよなあ、特にアコがそのまま落ち着いて終了を受け入れられるとは思えないもんなあ。それでも、ゲームとリアルを混同するような認識も、ルシアンやLAに依存する傾向もこれまでの英騎や他のアレイキャッツのメンバーたちの日々を得て十分解消されていたから酷いことにはならない、と思っていたんだけれど……まさか、そうしたこれまでの様々なトラブルやイベントを乗り越えてきた成功体験が、アコにどうすればいいかわからないけれどきっとなんとかなるさ! という全く根拠のない前向きさを与えてしまうことになるとは。いや、落ち込んで浮かび上がれないくらい沈んでしまわれるのも困るんだけれど、とにかく大丈夫大丈夫と現実を無視されても困るんだよなあ。
LA存続の可能性については、運営からの誠実な「これもうあかんねん」というギブアップ宣言によって完全否定され、これ金銭面の問題じゃなかったんですよね。なので21巻で部長が言及していた金にあかせて運営を引き継ぐ、という方法論も無理と決定づけられちゃったんですよね。
というわけで、避けられなくなったサービス終了に向けて「終活」としてメンバーそれぞれ目標を立ててそれをサビ終までに向けて一致団結して達成することに。
何気に本人の意志ではないにしろ一番はっちゃけていたの、猫姫先生ではなかろうか。この先生、ついにもうリアルでもにゃーにゃー言い出してキャラ変わらなくなってきたぞw
最後のイベントで、自分たちの分身と戦う展開になったのはちょっと笑ってしまった。いや、最後の相手が自分たちというのは全然珍しくないんだろうけれど、能力値変わらないコピーのはずの分身チーム達相手にコテンパンにやられて太刀打ち出来なかったの、ほんとどうしてなの、この人たちw
普通にチームワーク使って普通にスキルを駆使して普通に戦うコピーに連敗しまくるアレイキャッツ。そこから最適の構成戦術を組み直してクリアを目指す、じゃなくてアレイキャッツらしく個々がそれぞれ自由にやり倒すことでついに自分たちを撃破する流れは、やっぱりこいつらはこれでないと、という笑みが浮かんできてしまう納得しかなかったですねえ。
そんなこんなで、それぞれが目標をクリアしていくうちに、自然のアコの中でもこのゲームが終わりへと向かっていることが納得されていき……いや、まさか彼女がこの楽しき日々の終わりをようやく受け入れたことがまさかあんな事に繋がるなんて。
アコさん、もう本能からLAにハマり切っておられた!
理性ではLAの終了を受け入れられたにも関わらず、これ精神の方なのか肉体の方なのか、いずれにしてもアコの身体が終了を受け入れられずに、LAの起動画面を見てないと死んでしまう状態に! いや、ふざけてるんじゃなくてマジで一定時間起動画面を視覚に入れてないと身体が拒絶反応を起こしてしまうという、LA依存症状態に。
一時的に精神が不安定になっているだけ、という診断が出たものの日常生活にも支障が出てますし、春休みだからいいものの学校がはじまってもこれじゃあ登校もできない。いやそれ以前にあと2週間すればLA自体が終わってなくなってしまうために、LAの画面を見ることが出来なくなってアコ終了のお知らせ。
という、何気にリアルでピンチの状態に。ガチでピンチじゃん!!
これ、英騎ががっつりとアコの家族、玉置家ともう身内レベルすでに義父母状態になってなかったらもっと大変な事になってたんじゃないだろうか。それ以前から英騎がたびたび家にあがってまで介護しなきゃならない状態にアコがなってたって事でもあるんですけれどw
ここでいっぱいいっぱいになったのはアコよりもむしろ英騎の方で……でも、そんな彼をいつだって奮い立たせるのは相棒の瀬川なんですよね。こればっかりはアコよりも瀬川の方なんだよなあ。
きっとこのままならずっと明かされることのなかった瀬川茜の想いを、ここで切り札で切ってくるのはほんと瀬川・シュヴァインはヒーローです。
正直、瀬川はじめとしたアレイキャッツのメンバーたちの恋心は、アコとルシアンの関係がもうゲームでもリアルでも夫婦としか言えない堅いもので結ばれて、こんがらがってた恋もちゃんと成就した段階でもう表には出さないものだと思ってたんですよね。恋以上に友情として、一生涯の親友として続いていくだろう関係としてもう完成形に至ってましたからね。それを今更崩すとは思わなかったし、アコとルシアンの間に割って入るのはもう不可能としかいいようのない状態でしたし。
にも関わらず、へこんでいる英騎のために瀬川茜は切り込んでみせた。この関係を壊してでも、じゃなくてアコから英騎を奪ったとしてもアコとの親友としての関係は壊さずに成り立たせてみせる、と豪語いて。もう、こんなカッコいい告白ないですよ。それでいて、きっぱりと振られる前提でもあったわけですし。
よくぞ言ったなあ瀬川茜。マジで頑張った、カッコよかった。

さあ、次こそ本当の最終巻。今度は長引かせず、どころか来月に刊行予定で待たされることもなく。
この物語の本当の結末を、じっくりと心に染み込ませたいと思います。