【不死探偵・冷堂紅葉 02.君に遺す『希望』】  零雫/美和野らぐ GA文庫

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悪夢のような事件が過ぎ、平和な日常を送っていた冷堂紅葉と天内晴麻。
だが、ある日、今度は冷堂の旧友たちが殺されてしまう。
「犯人を……必ず突き止めます」
「あぁ、俺と冷堂ならできるさ」
不死探偵と普通の相棒。
真相究明を決意する二人だが――。
【同時刻連続殺人。喫茶店の密室。ダイイングメッセージ。
ショッピングモールの爆破。そして冷堂父の不可解な死。】
連鎖する事件。付き纏う死の影。運命のいたずらか、それとも……。
「生きてほしいです。一秒でも長く」
謎めいた事件に挑む学園ミステリ、衝撃の結末が待ち受ける第二弾!

きゃわわわわわ〜〜〜。ちょっとちょっとちょっと、冷堂さんちょっと可愛すぎないですか!? きゃわいすぎないですかっ!?
1巻のときはまだ天内くんとは初対面だし、周囲とも打ち解けないしと冷堂紅葉というキャラクターの人となりはまだ見えてこず、何なら彼女の本当の姿を解体していく物語だったと言えました。
んで2巻目ともなるともう天内くんには心開きまくってますし、学内にも親しい友人ができて見知らぬ他人に対しても堅い態度を取ることなく余裕ある柔らかい姿勢で接するようになって、もう1巻の最初の頃からすると見違えてるんですよねえ。
もう最初の冒頭から、喫茶店のウエイトレスさんの衣装を見つめていた天内くんにわかりやすく嫉妬してますし、ってか何なら四六時中いつも一緒にいるじゃないですか。なんで毎日下校デートとかしてるんですかね? 甘い甘い甘酢っぱーーーい!

一方で初手から殺人事件が起こったり、とこの街の殺人事件発生率ヤバいことになってるんじゃないだろうか、という頻度である。なんなら数ヶ月経たずに同じ学校で殺人事件起こるんですよねえ……金田一少年の事件簿レベルだな、これ。
ミステリとしては非常にわかりやすくヒントを提示していると言える。まだ事件が起こる前の段階で、これは事件の謎を解くための伏線だな、とかなりはっきり分かる形でセリフや事象が描かれている。一方で、そのわかりやすい撒き餌の方に意識を向けてしまうことで一番肝心の部分が気づかないようになってる感じなんですよねえ。
ぶっちゃけ、実行犯については速攻でわかってしまうくらいには露骨だったんだけれど、さらにその奥にもう一段階あることにも黒幕が存在していることにも、その黒幕の正体についてもまったく気がついていませんでしたからね。いや、自分察しがいい方ではないと思うんだけれどそれにしてもだ。
そして謎解きに関しても1巻に引き続き、探偵と助手じゃなくてダブル探偵スタイル。これは推理の能力というよりもそれぞれの持つ異能によって得られる情報の差異によるものなんでしょうね。
天内くんについては時間を遡ることによって生じる矛盾が。冷堂については不死であるが故に死ななきゃわからない情報が、彼と彼女に事件の真相にいたるための鍵となっているのだ。面白いねえ、これ。

しかし天内くん、キスしてくれる相手が出来たためか今回わりとひょいひょいと時間遡行していたような……いや、天内くん主導というよりも冷堂の方がキスしてきて、という場面のほうが多かったですけれど。なんなら、最初の喫茶店の事件の謎解きなんか真相を彼から聞く前に自分からチューして事件現場で警察諸氏相手にかっこよく解決してみせてください、てな感じで時間遡らせてましたしねー。
ってかそれ以上に、この娘ってば異能関係なく天内くんにキスしてやがるんですけど!? もうキュンキュンが限界突破して辛抱たまらなくなって、思わず天内くんにチューしてしまうとか可愛すぎなんですけど!? もう天内くんのこと好きすぎじゃないですか? 大好きやん!? この女、心が乙女すぎる。少女すぎる。26歳少女魂である。ってか、実年齢天内くんの方が一回り歳下という自覚あるんだろうか。
まあ仕方ないよなあ、天内くんカッコいいもんああ……なんか、女刑事の湯之宮さんも天内くん相手にぶっ壊れてたし、天内くんって年上キラーな容姿してるんだろうか。いや、双子のティリー姉妹の妹の方も天内くんにキャーキャー黄色い悲鳴あげてたし、天内くんってそんなにイケメンなのか? バイク乗りで愛車が川崎エリミネーターという時点でまあ相当にアレなんだが。

さても今回は転校生として冷堂の孤児院時代の友人、友人というよりももう姉妹同然と言って良いくらいの身内なエイレンとメイリンのティリー姉妹が登場。さらに、エイレンの方が冷堂や天内くんと同じ異能の持ち主、ということでこれはレギュラー増えるんかー、と。また賑やかになってきそうだなあ、と微笑ましく思ってたんですけどねえ。
何なら、ティリー姉妹の方に引っ張り回され彼女たちと過ごす時間にはしゃぎながらも、一方で意識の方は天内くんにべったりなままで、姉妹にも天内くんの事を紹介したくて仕方なさそうな冷堂さん。いや、どういう間柄の人として紹介するつもりなのか今お付き合いしているのとでも言いそうな距離感をチラチラを垣間見せて、これ冷堂にべったりなエイレンが天内くんに爆発しそう、妹の方は天内くんに目の色変えててこれ冷堂の方が爆発しそう、とこっから激しく人間関係刺激するような展開が起こりそうな下地が敷き詰められてたんですけどねえ。
まさかまさかの展開でありました。まさか双子両方ともって。しばらくこれ、何らかのトリックか妹ちゃんの方も異能の持ち主で復活する流れなのか、と……1巻では冷堂さん復活したこともあり、そういう展開もあるのかとうかがっていたのですけれど……。
おおう。おおう。

これ、犯人の動機ってほんと単なる八つ当たりにすぎないのがやるせないよなあ。被害者全然なんの責任もないじゃないですか。ただ、本来ならただの感情だけの問題ならこの事件は起こりえなかったんですよね。その行き場のない感情に方向性と手段という紐を括り付けて奈落へ突き落とすような後戻りできない後押しをした存在がいたからこそ起こってしまったこと。
その悪意の根源が個人によるものではなく個人を標的にしたものではなく、より大きなバックがあるというのはちょっとゾッとするような話になってきたんですが。
黒幕の正体と合わせて、これ安穏と学校生活送れるような状態でいられるんだろうか、天内くんと冷堂さん。いやマジで黒幕の正体は驚いたという以上にショックだったんだが。
天内くんにしても冷堂にしてもこれショック大きすぎるんですよね。そのショックの大きさがそのまま、よりお互いの存在を唯一無二の存在として。喪ったらもう生きていけない命の片割れとしてより強くしがみつき合うような深い関係に沈み込んでいったような感もあるんだよなあ。
ミステリってシリーズが続くほどこれバトルものよりも場合によっては、近しい人がザクザク消えていくこともある残酷な物語であるケースも珍しくないだけに、天内くんと冷堂紅葉が親密という以上の運命共同体、比翼の鳥、死がふたりを分かつまで、な関係になっていくことは。離れず傍に寄り添い合う関係になっていくということは、そういう相手がいるという心強さと、どこか破滅的な儚さを感じさせられて何とも感情が揺さぶられます。でも、二人はお互いに希望を見出している、いや相手の希望になろうとしている前向きさが失われていないだけに、二人一緒である間は折れず進み続けて行ってくれそう。
あと、ひたすら最初から最後まで冷堂ちゃんきゃわわわわわ〜〜〜、でした。可愛すぎんだろ、こいつ!