【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 6】  森田季節/紅緒 GAノベル

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300年スライムを倒し続けていたら――婚活パーティーに行くことになってました!?

ナタリーさんのお願い(ごり押し)で、しぶしぶ向かったものの、なぜか『娘たち』同士で結婚式を挙げるという話になり――!?
ほかにも、ライカが武術大会に出てみたり(職業:スライム使い)、ハルカラの故郷に行ってみたり(あの胸は遺伝でした)します。
あと、高原暮らしですが、今回は南国でバカンスも楽しみます! !

巻末にベルゼブブのドタバタわーきんぐ物語
「ヒラ役人やって1500年、魔王の力で大臣にされちゃいました」も収録でお届けです! !


新しく家族として迎え入れたマンドラゴラのサンドラ、色々と気難しい所のある彼女が人に囲まれて暮らす事にストレスを感じないように、周りから受け入れられるように、あれこれと気を配っているアズサ。
かくの如く、アズサって増えてきたファミリーに対して何だかんだと家長としてママとして姉として見守り引っ張ってるのである。わりと最近まで300年近く一人で生きてきた中でかなりの環境の変化なわけですけれど、アズサは今それを喜んで受け入れているわけですけれど大変なのは間違いないと思うんですよね。ベルゼブブのように頼れる友人はいますけれど、自分が甘えられる相手はいなかったわけです。
そこに現れたのがしたたりの精霊、母性の化身ユフフママである。大人になっても子供が出来ても、親にとって子供は子供だし、子にとっては親は親なんですよねえ。いや、ユフフママとアズサに血縁関係は一切ないのですけれど、もうユフフママの所でくつろぐアズサの様子は一時子供達を置いて実家に帰ってきた若いお母さんそのものである。ご飯作らなくても勝手に出てくるこの幸せ。ゴロゴロしてたらママが家事しながら構ってくれる幸せ。この甘える幸せは、さすがに友人や妹や子供からは得られないものなのである。
アズサにそういう親代わりになってくれる、というかママになってくれる相手が出来たというのはとても良き事だったんじゃないでしょうか。

と、今回は全体見てもいつもより家族がテーマの話が多かったような気がします。わりと家族が主軸にくる作品なんですけれど、今回は特に。

アズサたちが暮らす村のギルドの受付嬢をやってるナタリーさんに頼まれて、寂れた港町の婚約パーティーに顔を出すはめになったアズサファミリー。
ギルド本部からのノルマで参加者を募らなきゃいけなくなったナタリーさんの会社員の世知辛さを感じつつ、ついでにナタリーさん自身の出会いのなさも憐れみつつ、とりあえずノルマ達成のために顔だけ出して、観光旅行のついででいいから、と参加するはめになったわけですけれど、相変わらずエピソードの導入や経緯が世知辛いなあこの作品はw
何はともあれ、婚活パーティー参加者の港町の男性参加者の平均年齢が60代突破しているのは幾ら何でも手遅れすぎであるw 20年遅いわ! ってか20年前でも遅いわ!!
その港町の名物だった結婚式場でブライダルプランナーみたいな事をやってる土地神様、というか松の精霊? なんで松なんだろう。結婚式由来に松関係あるだろうか。松の葉が祝儀というか寸志?関連で云々というのが調べたら記されてあったけれど、松の木はどこにも出てこないしなあ。
この精霊、縁結びの神様とかじゃなくてあくまで結婚式のプランナーというのがなんともはや。縁は結びません、結んだら結婚式で祝福します! という迂闊なことを言わない徹底した姿勢w そして、寂れつつある式場を盛り上げるために手段選ばず普通の結婚式だけじゃなく、同性婚に友情婚にしまいには姉妹結婚式もやりますよー、となんでもありか! というこのガツガツした営業姿勢……怖い。
でも、アズサが前のめりになってやることになったスライムの精霊の姉妹ファルファとシャルシャの姉妹結婚式がちゃんと感動的なものになっていたのは……なんか悔しいぞ!?

そして、ポンコツ残念エルフのハルカラの帰省のお話。ベルゼブブと揉めてる(と誤解され)故郷を追われながらも、自分の会社を改めて立ち上げて企業経営に成功している実績だけ見ると凄いハルカラなので、これは凱旋帰郷ということになるんだけれど、そう言えばこれまで家族に対しては全然言及なかったよね。故郷の古老たちに魔族に狙われてると勘違いされて里に害をもたらす邪魔者として追い出された分そっちには恨み抱いているっぽいけれど、家族に対してはどうなんだろうと思ったら思いの外普通に仲の良い家族で。
家を出ていた娘が久々に実家に帰ってきた、くらいのわりといつも通りの雰囲気なのがむしろ優しく温かい感じがしてすごく良かった。
一方で、両親にしても兄弟にしても軒並みさすがハルカラの血筋!と言わんばかりの残念っぷりで、いやマジで生活に支障が出てる、ってかポンコツすぎて仕事首になるのがデフォルトになってるわ、非常に考え無しに金遣い荒かったり、と善良だけれどこれは駄目人間の集い!?
相対的にハルカラが非常にしっかりとした人間に見えてくる不思議! いや、ハルカラは会社経営現在進行系で成功させているように経営手腕は非常に高いし、やたらと不運で短慮だったり考え方が残念だたりするけれど有能で優秀なんですよね……いやマジで。
家族に安易にたくさん仕送りするとこの家族ダメになる、と的確に判断してたり、と残念な側面と優秀な側面がちゃんと両立している子なんだよなあ、というのが今回よく納得できた。ハルカラのダメバージョンな家族たちを目の当たりにするとなおさらに。
でも、ハルカラママがこっそりアズサと二人きりになって、娘がいつも迷惑かけてすみません、これからもよろしくおねがいします、という娘への愛情のこもった挨拶と謝罪とお願いをしてるシーンはなんか凄くジーンとキてしまった。駄目人間な家族だけれど、それ以上に愛情深い家族なんだよなあ。ハルカラも何だかんだとずっと気にかけてたみたいだし。
良い家族のお話でした。
いやでも、この家族のダメさ具合がやたらとリアルで身につまされて、妙にダメージ入るんですけど!?


さて、巻末にはベルゼブブが主人公のベルゼブブ農相物語が。この人、本編ではスライム姉妹にちょっかいかけてくるダメな友達っぽい姿ばっかりなんだけれど、何だかんだ一番しっかり仕事してる人なんですよねえ。しかも平民から叩き上げで頑張ってきた努力家だし。ある意味彼女の物語は成り上がりものなのですけれど、真面目に農業大臣としてあっちこっち駆けずり回り、ときに政争どころじゃない攻撃にも堂々と跳ね返す頼もしさ、本編と違ってカッコいいですぞベルゼブブさま。